ACT3 BLACK DOG
〜黒き獣はラムの夢を見るか〜
3.”悪魔憑き”の学園祭
学園内に”悪魔憑き”たちが集結します。そこは非日常の世界に侵食されていきます。
■飼育小屋
理科室でクックの応援をしていた真白(のプレーヤー)ですが、実はその時、真白自身も事件に遭遇していました…。
GM:真白は飼育小屋へ向かいながら先日の事件の説明を宗男から聞きました。飼育小屋のそばまでくると、小屋の前に茶色い背中に白い足の大型犬の後ろ姿が見えます。「さすがですね。もう現場の調査をしているようですよ。あのセントバーナード犬のお名前はなんというのですか?」と宗男は聞きます。
真白:いえ、「特徴的な犬だから会えばすぐ分かる」としか上からは聞いていないので名前までは…。
GM:そうなんです。安西はビスマルクの名前はおろかアフガンハウンドって事も言ってないですね。なんていい加減な奴なんだ(笑)。
クック:真白さんもやばそうですよ?
真白:そうですね、なんたってヤニ臭い犬(ビスマルク)はアフガンハウンド。セントバーナードな訳ありませんよね(笑)。
GM:大型犬は2人の気配に気付いたのか、後ろを振り向きます。円らな瞳がなんとも優しげな感じの犬です。あ、ちなみに目は赤いんですけどね。
真白:赤い目、ですか!…なんか嫌な予感が。
クック:宗男さんをよろしく(笑)。
GM:真白は赤い目の獣の事は当然聞いています。「あの犬の目の色は…」宗男も少し不安を感じて真白を見ます。
真白:頭の中で思考がぐるぐる回ってますが、意を決して≪生体火器(フィジカルアーム)≫を使用します。右手にモーゼルミリタリーが顕現。そのまま身構えます。『衝動』1点蓄積しました。
裏コメント:真白の共生生物はアルバレスト(上級ルールより)です。
クック:か、かっこいいー!そういう使い方も出来るのかー。
真白:≪生体火器(フィジカルアーム)≫で作れる武器の形状は自由と上級ルールブックに書いてありましたから(笑)。
大馬:ほう。クールな描写だ。
GM:美しい女性が銃を構えている姿、絵になりますね。幸い周りに生徒たちはいません。ここで戦闘が始まっても影響は少ないでしょうね。しかし、宗男は困惑している様子です。「あの犬は本当に”悪魔寄生体”なのでしょうか?目が赤いというだけでは…」。そして、セントバーナード犬はというと、真白が武器を形成したと同時に再び2人に背を向けて校舎の裏へ走って行きます。撃つ、追う、どちらも可能ですが、どうしますか?
真白:まだ敵かどうかも分からないのに発砲するのはアレなので追いかけます。
GM:セントバーナード犬を追って校舎の裏手に周ると、既に犬の姿はありませんでした。【感覚】又は[知覚]技能で目標値20の判定に成功するとなにか分かるかもしれません。
真白:目標値20って高いですね、このままじゃクリティカルしないと無理ですわ。…という事はここで何か分かっておいた方がいいかな?
1回目の達成値は11。振り直しますが、なんと致命的失敗。更に振り直し達成値は22でようやく成功。
真白:2回振りなおしで何とか出ました…。『衝動』3点蓄積しました。でもまだ第1段階行ってないです。貯金使い切ったのでここからが本番ですね。
GM:ふふふ、まんまとGMの思惑通り、振り直しを重ねましたね♪ここからは転がるように『衝動』溜まりますよ!
真白:思惑通りって…。
校舎の裏側には開きっ放しの窓があり、そこから校舎内に犬は逃げ込み、トロフィー等が飾ってある棚の影に身を潜めていました。すると、「おい、お嬢ちゃん。その物騒な物を仕舞いな。」犬を発見した真白の後ろから、しわがれた声がかけられます。
声の主も大型犬です。目付きの悪いアフガンハウンドが話しかけてきた!
真白:しかもこのタイミングでビスマルク登場と言う事は。この判定はトラップ!?うがー!無駄に『衝動』溜めてしまったぁ(涙)!
GM:いや、トラップって訳じゃないので…。
ビスマルク:安西の言う意味が分かったな。確かに犬の俺でも近寄り難い美女だな。俺はあんたのパートナーのビスマスクだ。よろしくな。
クック:ついに出てきましたね!やはりそちらにゆきましたか。
真白:ではモーゼルを腰に挿して。あなたが東子さんの言っていた…。私は皐月真白です、よろしく。
GM:モーゼルっぽい物、腰に挿せるんだ(笑)!
大馬:すげー。
真白:えーと…冗談デスヨ?解除です解除!
裏コメント:モーゼルっぽい物…。形成から解除まで、笑わせていただきました。腰に挿してもOKですけどね。
真白:セントバーナードの方を見て。…この犬は?
GM:もういません(笑)。
真白:ええーっ!
裏コメント:せっかく苦労して[知覚]判定に成功したのに、この仕打ちはヒドイですね(笑)。
声をかけたビスマルクが悪いっ!
ビスマルク:知らん。ただの犬だろ?今のところは…な。いいか、真白。俺たちの倒す相手は<ヴィシャス>だ。ましてや”悪魔化”していない奴を証拠も無しに威嚇なんてするな。と先輩ぶって忠告する。
大馬:誰か止めないと、この犬どこまでも調子に乗るぞ。
ビスマルク:それよりも気が付いたか?今、この学園内で”悪魔化”した奴の気を感じた。かなり近いぞ。(ダイスを振って)達成値13で“悪魔憑き”の気を感じた。真白も【幸運】又は[直感]技能で判定してください。達成値が高いほど詳しい位置が分かります。
真白:では(ダイスを振って)1と2…何だこの出目。えーと、今は衝動表振りたくないので振りなおしはしません。赤い目のセントバーナードを追うのに必死だったと言う事で。全く気付かなかった…。今回は先輩に任せます。
ビスマルク:まあいい。とにかく校舎に入るか。あんたが追っていた犬の存在も少し気になるな。大型犬が学園内をフラフラしているなんてかなり不自然だからな。
クック:自分でいう(笑)。
大馬:何様だ。
GM:そこで校舎内から鶏の絶叫が聞こえる。「きっと2階の理科室です。急ぎましょう!」と真白の後を追ってきていた宗男が言う。
クック:む、宗男さーん!
ビスマルク:よし、そこへ行くぞ。ところで、こいつ(宗男)は誰だ?
GM:真白は宗男とビスマルクと一緒に2階の理科室へ向かいます。
■クックvs凶暴化した鳥−その2
GM:理科室の戦闘は第3ターンに突入です。大馬はお化け屋敷の仕掛けを抜けて出口付近まできました。そこには、睨み会う2体の鳥類型”悪魔寄生体”がいた!大馬は【知力】又は[知識(悪魔寄生体)]判定をしていいですよ。それぞれ目標値11で判定をお願いします。
大馬:ふふん、やれやれだ。やっぱり”悪魔憑き”かい。2体いるが、さて…どうしたもんかな。
大馬は2体について【知力】で判定し、2体それぞれに振り直した結果(『衝動』2点蓄積)、異様に嘴の尖った鳥類の方が「凶暴化した鳥」<ヴィシャス>である事、触覚のたなびく鳥類はウォーコイト【プライム】、<マイト>である事が分かった。
大馬:ふふん。とりあえず<ヴィシャス>をぶちのめせばいいってことか。終わらすぜっ!
GM:そうですね。ちなみに<マイト>と<ヴィシャス>の判別だけなら目視で確認できます。
大馬:早く言えーっ!無駄に『衝動』溜めちまったじゃねーか。
第3ターンのターン開始時のタイミングで凶暴化した鳥は再び≪行動値上昇(イニシアティブアップ)≫を使用。行動順は凶暴化した鳥(17)→クック(13)→大馬(8)の順になりました。
GM:大馬はターン開始のタイミングで行う行動はありますか?
大馬: ないよ。とりあえず変身しないでやってみよう。
真白:おお、大馬介入で戦闘が更に派手に(笑)?
GM:事情の分からない”悪魔憑き”同士の遭遇ですので、益々混乱することは必至?下手すると三つ巴の対戦ですね(笑)。
クック:ぐ、変身しないとなると、クックには”悪魔憑き”だと解らないので一般人としか認識できませんね…。やる気をみなぎらせている侵入者をちらりと見とがめて、ため息1つ。…ふぅ、ワタクシの至らなさが招いた事態とはゆえ、宗男さんになんと言えばよいのやら。取り敢えずはヴィシャスを片づけてしまわないことには始まりませんか。そのあとであの方には夢現の出来事であったと思っていただきましょう……。
GM:お?クックは大馬に≪記憶操作(マインドコントロール)≫をかけるつもりですな。この戦闘終了後にクックvs大馬が見られるかも?
GM:凶暴化した鳥の行動からです。仕留め損なったクックに攻撃を仕掛けます。「ギイェェー!」とひと鳴き、鋭い嘴で突きます。肉弾攻撃の固定値は20です。
クック:不可視の帳よ、我が前に!≪磁力障壁(マグネティックバリア)≫発動。『衝動』は第3段階に突入しました。肉弾回避は(ダイスを振って)13。振り直しはいたしませんのでダメージくださいませ
。
GM:ダメージは(ダイスを振って)8なので≪磁力障壁(マグネティックバリア)≫とクックの肉弾防御力を差し引くと僅か1!バリア硬っ!嘴の一撃はまたも電磁的な壁に阻まれた!
クック:ギチュィイと嫌な音を立てて嘴が空中で止まるわけですね。先っちょがちょっと突き刺さってますが(笑)。『衝動』の副作用は(ダイスを振って)「絶叫」。あらん限りの声でターン終了まで叫ぶ、その間回避−10。「コッ…コクワァアア!!」。経験値10点頂きます。
GM:「え?なに?なに?」「キャー!何の声!?」とか理科室の外ではまた騒ぎになっている訳だ。そしてその中には父親を心配する繭の姿もある。
クック:通常行動で≪人形使い(パペットマスター)≫!エナジー残り11点。今度は右翼を翻し、そこに現れるは割れた卵の殻をズボンにした白いヒヨコ。ずんぐりむっくりの重量系。
GM:いろんなバリエーションがあるんですね♪ズボンっていうよりオムツ?
大馬:ははは。かわいいな。
クック:攻撃行動で突撃命令。「ピヨ」と一鳴きすると身軽にクックの体をかけ登り重力を纏って<ヴィシャス>へとダイブ。(ダイスを振って)達成値は21。命中したのでダメージを(ダイスを振って)特殊攻撃で13点。いけたかな?
GM:凶暴化した鳥の特殊防御力1を差し引いて12点きました。そして逝きました…。「ギュッ!」詰まった感じの唸り声を上げ、暗幕にしていた黒いカーテンへすっ飛び、その勢いでカーテンに絡まりながら鳥は倒れて動かなくなった。カーテンの外れた場所から、眩しい日差しが理科室へ入りクックを照らす。大馬は敵を倒したウォーコイトと人形の姿をはっきりと目撃する事になる。
クック:出した傀儡を背中の羽毛の中にしまう。破壊されていないのでこのまま存在させます。
クックは大馬を横目に見ながら倒れた<ヴィシャス>の元へ歩いて行き≪魔種吸引(キャプチャー)≫。
経験値5点の「魔結晶」と≪行動値上昇(イニシアティブアップ)≫の「魔結晶」を手に入れました。<ヴィシャス>は普通の白いコサギの姿に戻った。
クックは「魔結晶」を嘴で器用に拾い上げて同じく羽毛の中へしまいこむ。
大馬:ふふん、大したもんだ。おっと、俺まで攻撃しないでくれよ。俺も<マイト>って奴さ、おたくと同類だよ。まあ、あんたも鳥みたいな格好してないで元の姿に戻りなよ。落ち着いて話をしようぜ。
GM:ちっ、簡単に正体を明かしたな。対決が見れないじゃないか。
クック:…すでに覚醒した”悪魔憑き”でしたか…どおりで彼らでは封鎖できなかった訳です。得心がゆきました。優雅に翼を広げて向き直り変身を解く。そこに現れるは白い鶏(笑)。てくてく大馬の元へ行くと片翼を広げてぺこり。
大馬:結局、鳥なのかいっ?!
■クックと大馬
クック:本学園の生物教師、笹見宗男氏よりこの学園の守りを仰せつかっております、笹見クックと申します。ここで催し物のお手伝いをさせて頂いておりましたところ、先なヴィシャスがこの部屋へ紛れ込み、生徒達に害を成さんとしていたため、僭越ながら退治をば。お騒がせした事、誠に申し訳なく思っております。
大馬:こめかみに手をあてて…。わ、わかった…が、鳥にも”悪魔憑き”がいるとは初耳だぜ…。なんで俺の周りは犬とか鳥なんだ…。俺は伴大馬。この学園の生徒、伴繭の父親だ。
クック:おや、繭さんのお父上でしたか。これはこれは。繭さんにはいつもかわいがって頂いております。彼女がこっそり差し入れてくれる、ぽっぷこーん。ワタクシ楽しみにしているのですよ。そうですか、繭さんのお父上が”悪魔憑き”とはねぇ…。ばさっと翼を扇の用に広げて口元へ、値踏みをするように大馬を見る。
大馬:…。
クック:一つお願いが。ワタクシは普通の鶏として過ごしておりますので、どうかこのことはご内密に。
大馬:繭を、この学園を陰ながら君が守ってきたというわけか。
クック:そういうことになりますね。
大馬:ありがとよ。俺も繭には”悪魔憑き”であることは内緒にしている。ふふん、これからよろしくな。
クック:大馬さんにご協力して頂けるならそれに越したことはございません。ワタクシからもよろしくお願いいたします。
大馬:俺の知り合いの犬の”悪魔憑き”がセラフィムからの依頼でこの学園内の<ヴィシャス>を追っているらしい。このコサギがお目当ての奴ならいいが…。
クック:その依頼したのは恐らく宗男さんかと。となれば追ってるという<ヴィシャス>はワタクシがあの日見た赤い目をした獣。かような鳥ではございませんでしたよ。
大馬:そうか…。まだ他にも<ヴィシャス>がいるってことか…。ビスマルクに任せておくのは心配だな。クック、俺は学園をぶらついてみるが、君はどうする?
クック:先の騒ぎで消耗してしまいました。少々食事をしてから宗男さんに事の次第を報告しておこうかと思っております。それではまた、どこかでお会いした際にはよろしく。
「お父さーん、大丈夫?」激しい絶叫の後、急に静まり返った理科室の外から繭が心配して声をかける。
「もう入ってもいい?」繭は生物部の部員と共に恐々理科室に入ってきた。
理科室内は暗幕のカーテンが破れていたり、机や仕掛けが倒れていたりといった状態です。
「どうしたの、これ?」と繭。大馬は繭に「コサギとクックが暴れていた」というような説明をする。
「よかった、クックも無事だよ!」と喜ぶ部員の姿もある。
「あっちゃー、こりゃ直さないと無理だわ。いったんここ閉めるわね」とメガネをかけた生徒が言う。
その子は大馬の姿を見ると「どうもありがとうございます。なんか騒ぎを納めていただいちゃって。私、生物部部長の松戸佐絵子(まつど さえこ)といいます」と挨拶をする。
「マユ。ここの片付けは私らでやっとくから、お父さんに学校を案内してあげなよ。」と気を使ってくれる部長。
「ぶちょー、あたしたちは主事さんからガムテープとか借りてきますね。あ、ドアの修理も頼んできます!」と素子。数人の生徒と一緒に1階の主事室へ向かいます。
「おーい、ササミーにも報告よろしく!あいつ一応顧問だからっ!」と部長は素子に声をかける。
クック:部長は名前からしてマッドなサイエンティストかと思いきや、生徒会長っぽいキャラですね。さばさばして好き。
GM:「じゃ、行こっか?」と繭は大馬の左腕にしがみついて笑顔を見せる。「まずは、あたしのクラスね。喫茶店やってるのよ♪」繭は大馬を3階の1−B教室へ連れていきます。
クック:大馬の腕に抱きついた繭を見て、生徒たち。「あー、いいなー繭。お父さんかっこいいもーん。うらやましー」「うちなんてメタボリック症候群のくたびれた中年&禿げ&加齢臭オヤジなのにー」「そうそう、うちも絶対来んなってゆっちゃった」なんて、過去の大馬を彷彿とさせる単語が飛び出したり(笑)。
GM:面白い演出ですね♪
大馬:みんなに大馬のタフガイぶりをフォローしてもらって助かってます(汗)。
GM:では、大馬は3階の1−B教室へ、クックは屋外の飼育小屋へ移動します。
大馬&クック:了解!
|