ACT3 BLACK DOG
〜黒き獣はラムの夢を見るか〜

                                                        1.桃ノ花女子学園

新しい”悪魔憑き(ディアボロス)”との出会い。学園を舞台にした”悪魔憑き”事件の物語が始まります。


88:今回のセッションでGMを担当する88です。nigaさん、cyanさん、高城さんよろしくお願いします。
一同:よろしくお願いしま〜す。
88:今回はみなさんの出会い編にしたいと考えています。個人的には「なんの接点もないキャラクターがセラフィムに呼ばれて事件を依頼される」という導入はありきたりかなと思いますので、「ある事件をきっかけに出会う」という展開にしたいと考えています。まずは楽しむ事を最優先でプレイして行きましょう!


■新規参入キャラクターの作成

88:それではキャラクターの設定を決めていきましょう。

裏コメント:今回はcyanさんと高城野亜さんが初参戦です。既にお二人のキャラクターは完成していましたが、細かい設定などは話し合って決めました。さて、どんなキャラクターになるのやら…。

88:お二人の「職業」や「生まれ」などを拝見すると、皐月真白(こうづき ましろ)(高城さん)が喫茶店の店主、クック(cyanさん)の飼い主が教師となっていますので、次の舞台は大馬(nigaさん)の娘、の通う高校の文化祭を考えています。

cyan:クックの飼い主は笹見宗男(ささみ むねお、52才)で、繭の学校の生物教師。一人娘は他のセッションで使ってる獣医の似鳥比奈子(モリオン)です。ちょっとパラレルに自分のキャラの繋がりを作ってみたくて。ゆえに宗男は非感染者ですが、”悪魔憑き”の存在を知っています。彼はクックに学校を守らせようと思い、車に乗せて一緒に通っています。クックは学校にいるときは鶏小屋の中にいます。繭が生物部だと接点が出来て楽しいかもしれません。
niga:他のセッションワールドとのつながりは良いですね。設定に奥行きが出ますし。

裏コメント:比奈子とは、cyanさんが別セッションで遊ばれてるPCさんです(そのリプレイはこちら)。共演なんて日があったりすると楽しいかも。

高城野亜:真白の外見特徴は「畏怖を覚える美形」です(笑)。「中性的な顔立ち」「ロングの黒髪を適当に縛っただけ」「右眼が鮮やかな銀色」て感じでイメージしてます。数年前とある事件(”悪魔憑き”事件、真白は巻き込まれた時に感染)の容疑者として捕まりそのまま投獄される。
88:壮絶な過去だ。きっかけになった”悪魔憑き”事件は今後のネタに使えそうですね。
高城野亜:そして出所後に母校(繭の学校)の近くの商店街に店を構え、”悪魔憑き”から今の平穏な時間を守ろうと暗躍したりしなかったり。何故店が喫茶店かと言うと、真白の趣味です([芸術:料理]はその為だけに取りました(笑))。繭、或いは笹見宗男氏が店の常連とかどうでしょう?
88:真白の喫茶店は”悪魔憑き”関係者の憩いの場になりそうですね。

niga:いやー。みなさん素敵な設定で楽しいですね。
88:お二人のいい感じの設定を生かしたセッションをしていきたいと思います。

niga:ACT3は宗男さんがキーマンになりそうな気がするのですが、どうでしょう?
cyan:全員をつなげるのは宗男さんかもしれませんねー。非感染者だけど”悪魔憑き”を良く知ってるっていうのが自分ながら美味しい!

裏コメント:こんな感じで新キャラクターの設定が完了していきました。さて本編では、どんな活躍をしてくれるのか楽しみです!

GM(88):では早速、オープニングです。


■オープニング〜嵐の晩

大型台風が関東地方に上陸した日の夜、3日後に控えた学園祭の準備で私立桃ノ花女子学園の校舎には灯りが点在していた。その校舎の脇にある灯りの射さない飼育小屋でそれは起こった…。

小動物の悲鳴が激しい雨音で消される。飼育小屋の金網には大きな穴が開けられ、中には惨殺された小動物の残骸と床を染める鮮血が広がる。
やがて、グロロロ…と喉を鳴らし、小屋から出てきた獣は、叩きつける雨を受け体毛を身体に張り付かせ、暗闇の中で赤い目を輝かせていた。
その目の輝きを隣の飼育小屋の外から見ていた1羽の鶏がいた。視線に気付いた獣が次の標的を決めたその時、横殴りの突風が植栽の枝をへし折り、2匹の間を隔てた。そして、次の瞬間、獣の姿はもうそこにはなかった…。

GM:今回シナリオの舞台は大馬の娘、繭の通う「私立桃ノ花女子学園」の文化祭です。


■導入〜クック

GM:クックの登場場面は学園祭当日朝の飼育小屋です。

生物部顧問であり、クックの飼い主でもある笹見宗男(ささみ むねお)が生物部の催し物に必要な動物たちを取りに来ました。
生物部の催し物は「幻獣お化け屋敷〜二人の恋もUMAくいくかも?〜」。お化け屋敷と見世物小屋が融合したかの様な怪しい催しです。生徒はお化けに、生き物は幻獣に仮装して脅かすアトラクションです。学園に2つある飼育小屋のうち、ひとつは嵐の夜の“悪魔憑き”事件で金網に大きな穴が開いていて中の動物たちも今はいません。

GM:嵐の夜、“悪魔憑き”事件を目撃した白色レグホンのクック。
クック(cyan):宗男さん、先日は申し訳ございませんでした。わたくしが目を離していたばかりに。あの時屋上にさえ行っていなければ、こんなことには。
GM:「もうその件はよろしいですよ、クックさん。いつものように巡回されていたのでしょう?たまたま間が悪かった、それだけのことです。…でもなぜそのような所に?」と宗男。
クック:…あの強風なら…飛べるかな、と思ったのです。ばさっと翼を扇のように広げ、口元を覆い隠す。
GM:「あなたは鶏でしょう?」。
クック:ワタクシも鳥類の端くれとして、青い空へ渇望は抑え切れぬものなのですよ。
GM:「で、飛べたのですか?」。
クック:残念ながら。強き風は私のか弱き体を支えてくれるどころか、あらぬ方へ飛ばし去ろうとする始末でして。滑空して降りてくるのが精一杯でございました。なんとも口惜しや。ううっ。
GM:「でしょうねえ…。そして、彼の獣に出会ったと」と宗男。

裏コメント:実は、宗男は状況に応じてcyanさんが演じたり、GMが演じたりしていますリ。リプレイではややこしいので、全てGMが演じていることにしています。

大馬(niga):クックはそんな感じのキャラなんですね(笑)。
クック:大馬とビスマルクがハードボイルドに熱いので、雅な落ち着きキャラでいこうかと。オスなのに色素が薄いので、いうなれば女形な感じで。オカマじゃないです。
GM:いや〜、嵐の晩にそんな試みをしていたとは。大声じゃ言えないですね。
ビスマルク(88):まあ、無理すんな。鶏はニワトリらしくしてろ。
大馬:お前が言うなよ。

GM:では、クックに与えられた任務を宗男は伝えます。「事件のことは、私からセラフィムの方に伝えておきましたよ。クックさんにこの学園を守って頂きたい考えは変わっていませんが、今回の相手はすこし危険な感じがします。今日、セラフィムから調査員の方がお見えになるので、協力して頂けますか?10時頃、職員室へ私を訪ねてくる予定になってますから」。

クック:セラフィム…。まさか比奈子さんですか?驚きと嬉しさとが混じった微妙な表情を見せる。
GM:「違いますよ、比奈子は比奈子で急がしいようですから」と宗男は言うと、こちらも微妙に想いをにじませる。
クック:そうですか…。ですが、他の方の介入は喜ばしき事ですね、ワタクシはどちらかといえば、荒事よりも搦め手の方を得意としておりますが故に。

GM:「さて、そろそろ準備の方を始めませんとね。クックさんには生徒達も期待しているようですから、しっかりお願いしますよ」と宗男は手に持った段ボール箱にウサギなどを移すと、生物室へと歩いてゆく。
クック:それはワタクシも心待ちにしていること。おまかせください。


■導入〜真白

GM:真白の登場場面もクック同様、学園祭当日の朝です。

「私立桃ノ花女子学園」の最寄り駅である「目黒駅」の商店街からすこし外れた、ちょうど学園の通学路に位置した場所に西洋風アンティークな外観の喫茶店「リポーゾ」があります。朝の時間帯は出勤前のサラリーマンがよく訪れています。木製の扉が開くと、ドアに付いている鐘がカラン、カラ〜ンと音をたてます。
「おっはよっ、真白」と言って、腰まで伸びた栗色の髪の女性が入ってきた。真白には馴染みのお姉さん的存在、セラフィムエージェントの安西東子(あんざい とうこ)です。いつも見慣れたシックなスーツ姿に、今日は上等なブランド物の白いコートを羽織っています。

大馬:羽振りがよくなってねーか?
GM:喫茶店のラジオで「アメリカの大富豪が隕石を購入し…」とかニュース流れていたり。

真白(高城野亜):はい、モーニングお待たせしましたー。…あ、お早うございます、東子さん。
GM:「気持ちの整理は済んだかしら?」安西は1年間の頃合を伺って、真白のような被害者をこれ以上出さないためにも彼女自身に“悪魔憑き”事件の解決への協力を依頼しようと考えていました。
真白:ええ、まあ。…自分にしか出来ない事があるのにやらないのは逃げるのと同義ですから。これ以上被害者を増やさない為にも。
GM:「ふふ、逞しくなったわね。真白にとっては“悪魔寄生体”の力を使う初めての仕事だけど、パートナーには信頼の置ける子をつけたから安心していいわよ」。
真白:東子さんが信頼している人、ですか。…せいぜい足を引っ張らないように気をつけますかね。
GM:「人じゃなくて、犬なのよね。目つきの悪い大型犬よ。ま、会えば分かるわよ。ヤニ臭いから」サラリと言う。
真白:目つきの悪い犬、ですか。…ヤニ臭い?きょとん。
GM:「学園に付いたら生物教師、笹見先生に会ってほしいの。彼が今回事件の依頼者よ。”悪魔寄生体”の知識がある人で、あなたたちの協力を喜んでくれたわ。10時に職員室で待ち合わせってことになってるから、後はよろしくね!」小銭をカウンターにジャラッと置いて安西は足早に店を出て行きます。

真白:10時か、…そろそろ準備しなきゃ。最後の客を見送ると表の看板を仕舞い、扉に「CLOSED」の札を下げる。そしてエプロンを外しベージュのジャケットを着て店を出る。まずは目先の未来を守る為に…、そう呟くと学校に向かって歩き始めます。

GM:前向きな感じがしていいですね。本日は快晴です。眩しい日の光を浴びながら学校に向かうところで真白の場面を終えましょう。


■導入〜大馬

GM:では、大馬の導入です。

今日は「私立桃ノ花女子学園」の学園祭の日。大馬は愛娘、繭から「絶対きてねっ!」と念を押されている建前もあり、一人で学園に来ています。学園内は生徒たちの出店が出ていて、既に他校の生徒や来校者で溢れています。

真白:そこで私は背景として後姿だけカメラに映ってたり(笑) 。
GM:いいですね、その演出♪

GM:大馬は今、「私立桃ノ花女子学園」の校舎1階、男子トイレにいます(女子高ですけど、職員用に男子トイレは各階にあります)。
大馬:いきなり便所からスタートかよっ!
GM:小用をたしていると、個室からなにやら白い煙が立ち昇っています。この臭いは…煙草?
大馬:…まあ、いい。煙草?ふふん、この健全な学園の風紀を汚す不届きな輩がいるのかな。ここは大人としてちょいと注意を与えるか。ドアをノックして、煙草なら喫煙所で吸ったらどうだい?あんたが煙草を吸える年齢ならね♪
GM:その言葉を聞いてか、ギィッとドアが開かれる。「ふう、トイレで吸う煙草の味は格別だな」そこには便座に腰を据えて新聞を広げて読んでいる犬の姿があった!
ビスマルク:よお大馬、来てたのか。
大馬:お前はヤンキーの高校生かっ!
ビスマルク:見ろ、この記事。アメリカの大富豪が”隕石”を購入したってよ。安西の奴、きっと臨時収入を貰っているに違いない。
大馬:いかん、お前といるとロクな目に会わねえ、あばよ…。ドアをそっと閉めて立ち去ろう。

裏コメント:ここでビスマルクの言う“隕石”とは、ACT2で大馬とビスマルクが回収した石です。ACT2のリプレイ参照ください。

ビスマルク:ちょっと待てーっ!新聞を置いて個室を出よう。
GM:大馬とビスマルクのファーストコンタクトはいつもこんな調子だね(笑)。大馬がいつもそっけない。
大馬:まあ腐れ縁てことで。

ビスマルク:俺は今日、ある”悪魔憑き”事件の調査でこの学園に来ているんだ。ここで女性と会う予定なんだが、安西の奴「会えば分かるわ。畏怖を覚える美形だから」などと抜かしやがる。犬の俺に人間の美しさの基準が分かるはずもなくその女性には会えていないのだ。まあ俺だけでも問題の無い仕事だが、ここで会ったのも何かの縁だ。大馬一緒にやるか?
大馬:遠慮しとくぜ。今日は”悪魔憑き”事件抜きのオフなんだよ。俺から一つアドバイスしてやろう、トイレで煙草なんか吸っててもパートナーには会えないぜ♪

GM:ビスマルクと大馬は合流することなく別行動ですね。

裏コメント:それぞれの導入場面も終わり、いよいよ本編に突入です。


■桃ノ花祭

GM:私立桃ノ花女子学園の学園祭「桃ノ花祭(もものかさい)」。生徒たちからは「ひな祭り」の通称で親しまれている。ここで学園内の各教室等の位置付けを簡単に紹介します。

・屋外−体育館、飼育小屋
・校舎1階−職員室、医務室、用務室
   2階−理科室(生物部催し物)
   3階−1-B教室(繭のクラス催し物、喫茶店)
・屋上
・各階にトイレ(男女別)

と、なっています。他にも教室はありますが、あまり関係ないので省略します。

GM:現在時刻は午前9時50分です。各PCの現在位置は…。

大馬−校舎1階トイレを出たところ
真白−学園内に入って校舎へ向かうところ
クック−校舎2階理科室で脅かしているところ

GM:各PCは、次の行き先又は行動を宣言してください。
クック:2階理科室で脅かしまっさい中です。
大馬:繭は教室にいるのかな?3階、1-B教室に向かいます。
真白:私はそのまま職員室へ直行します〜。


■職員室にて

GM:職員室へ向かった真白は廊下を歩いていると、「あ、真白さんだぁ」とか生徒に声をかけられます。「後でうちのクラスに来てね〜」と言って生徒は去って行く。真白はこの学園の生徒の間でも有名らしい。
真白:では、さっきの子のクラスの出し物をパンフレットで確認しながら職員室へ。

GM:1階の職員室に到着すると、見慣れない来校者に気付いた男性職員が声をかけてきます。「あなたはセラフィムの方でしょうか?」。
真白:ええ、そうです。正確にはセラフィムに派遣された近所の喫茶店のオーナーですが(笑)。
GM:「喫茶店?そうですか、普段はそのようなお仕事をされているのですね。お忙しいところ態々御越しいただき、恐縮です。私は今回の事件を依頼いたしました笹見宗男と申します。ところで…」と言って宗男はキョロキョロと周りを見る。「もう一方、大型犬がいらっしゃると伺っておりますが、ご一緒ではないのですか?」。
真白:(汗)。きょろきょろ見回します。

GM:「どうでしょう。学園内を大きな犬が歩いていればすぐに分かりますので、まずは私と一緒に来ていただけますか?事件の現場にご案内いたします」と宗男。
真白:そうですね。
GM:真白は宗男と一緒に飼育小屋へ移動ですね。


■幻獣お化け屋敷〜二人の恋もUMAくいくかも?〜

GM:2階の理科室。生物部のお化け屋敷は大盛況です。入口付近には入場出来ずに列を作って待っている生徒たちもいるほどです。

クック:迷宮を模した生物部の教室。最終エリアにワタクシはいます。

暗がりの中、部屋には石像(美術部の石膏像を拝借)や大小の石が散乱。部屋の奥には祭壇(教卓)があり、薄明かりに1個の宝箱が浮かび上がる。生徒達が宝箱に近づくや否や「きゅああぁぁ!」高らかに響く奇声と共にスポットライトが照らされる。

上半身は鶏のそれに違いないのだが、その下半身はまさしく蛇。そのモンスターは黄色く輝く眼光で対象を睨むとしゃべり始めた。「我は蛇王、コカトリス。欲に目がくらみの我の元へやってきた愚か者共よ。今更悔いても時遅し。我が毒の嘴の餌食となり、かつての愚か者同様、生きながらにして石像と化し、永遠に苦しむがよい!」ばさっと大きく翼を広げると、再び「きぇああ!」と甲高く鳴く。

大馬:普通に喋ってるようですが…(笑)。
クック:コカトリス発言は、宗男さんが録音してあるということにしてあります。毎回違うので生物部の生徒達は「ササミー、結構ノリノリじゃん」「手間かけてんなー」とか言ってると思います(笑)。
GM:宗男はササミーって呼ばれてるんですか。ウケる。

大馬:よし、お客さんを演出しよう。私服を着た高校生カップルが来た。「あ、これ。幻獣お化け屋敷だってさ、ダサ。超ウケるんですけど」と女子。「やべ、俺こういうのマジ苦手」と男子。「ふふふ、入ろ」「こんなのつまんねーって」とお化け屋敷に入っていくカップル。

裏コメント:PC同士で場面の演出に協力的です。GMは楽です(笑)。

DM:「きゃあ〜!」と逃げ出すカップル。
クック:ばさりと翼を扇のように広げて口元へ。くくく、たわいもない…。楽しいったらありませんね。おや、また来ましたか。盛況で何よりです。



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