小説
アフターコロナ
Episode 08 トンビの見解
今、羽虫の人がいいこと言った!
私たち鳥類もおんなじことを思います。
バードストライクって知ってますか? 私たち鳥類が飛行機のエンジンに吸い込まれて、エンジントラブルになることを言うんです。人間は、それを防ぐため、色々な工夫をしているらしいんですが、事故はなくなりません。
当然ですよ。前をちゃんと見ないで飛ぶんですから。
それなのに、空港を巡回する警備車両で鉄砲の音鳴らしたり、変な鳥の声聞かせたり、犬とか大きな鳥とかを使って、私たちを追い払おうと間の抜けた防止策をやってるだけなんですから。そんな暇があったら、自分の目で見える速度で飛ぶように改良すればいいだけなのに、頭が悪いとしか言いようがありません。
はい、人間は頭悪いですよ。
よく田んぼや畑で、キラキラ光るテープ張ってるのを見ることあるでしょう。あれ、太陽が反射して光るんですが、何の意味もないです。ちょっとまぶしいけど、あれを見ると「ああ、人間はここでおいしいもの作ってるんだ」と分かりますね。
目玉風船も面白いですね。鳥は目玉を見ると逃げるって、誰が教えたんでしょう。逃げませんよ。鳥は。
ちょっとびっくりしたのは、カラスの死体がぶら下がってた時かな。あれは嫌だから近寄りませんよ。でもね。カラスの死体をぶら下げる作業をやる人間の方が嫌でしょうね。
頭が悪いから、あんな頭の悪い飛行機を作っちゃったんでしょうね。ちゃんと、障害物が飛んで来たらよける機能をつけろよ、と思います。
ただ、私たち鳥類も黙ってはいませんよ。
もし飛行機が突進してきて、ぶつかりそうになったら、エンジンに突っ込めと指導しています。
無駄死にするなということです。
自爆テロ? とんでもない。避けようがない最後の死に際に、決死の抵抗をしろということです。名誉の戦死です。