80s岩手県のバス“その頃”裏サイト

小説

アフターコロナ


Episode 02 犬の見解


あれ? あの人たち、滅びちゃったの?
困ったなあ、あの人たち、ご飯出してくれたり、散歩させてくれたり、円盤投げてくれたりしてくれるんだけど、これから誰がやってくれるんだろう。
自分でエサ探せって?
いやいやいや。そんなことしたことないし。
ああ、昔? ご先祖様の時代か。それは確かに、自分で狩りとかしてたのかも知れないよね。
でもさ、先祖がやってたからって、今の僕たちができるわけないでしょ。
あの人たちだって、先祖は槍とか使って、マンモスを仕留めて、輪切りにして焼いて食べてたかもしれないけど、今の人たちにそれやれって言ったって、無理でしょ。
それと同んなじ。
ご飯っていうのは、毎日3回、あの人たちが何も言わなくても持ってきてくれるんだよね。
散歩くらい自分でできるでしょ、って?
でもね、コースとか、ペース配分とかね、色々難しくてね。自分一人で歩き出すと、何だか1日中歩いちゃいそうな気がするし。
僕たちはさ、おしっこしてマーキングするでしょう。あれ、快感なのよ。だから、あっちに柱見つけると、あっちの柱にもマーキングしたくなって、その先に柱見つけると、そっちにもマーキングしたくなるの。
1日仕事になっちゃうんだろうなあ。
円盤? そうか、鳥とか虫とか追っかけてりゃいいのか。
それこそ、動物追っかけて、かみついて、食べれば一石二鳥だって?
あ。あんた今いいこと言った。
そうなんだね。それがまず最初にやらなければならないことかも知れないね。
そうかそうか。今日から、自分で森とか山とかの方に散歩に行って、木々にマーキングしながら、走り回る小動物を追いかけて、とっ捕まえて、それを食う。そういう生き方をすればいいんだね。
分かった。ありがとう。
ところで、この首輪と鎖は、一体だれがいつ外してくれんだろう?

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