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小説

アフターコロナ


Episode 01 猫の見解


え? だれが、絶滅したですって?
ああ、そうですか。彼らが絶滅したんですか。はあ。
・・・
え? 何か言わなければいけないんですか?
はあ。そうですか。
「かなしいニャー」
とか
「これからどうやって生きればいいのか、分からニャイ」
とか言えばいいんでしょうか?
正直言って、彼らが私たちに何をしてくれていたのか、私にはよく分からないんですよ。
私たちを可愛がると、女性の株が上がるんでしょうか? ホント、不自然に猫可愛がりする若い女性が多くて、本当は迷惑しているんです。
「わたし、ネコちゃん、大好きなんですぅ」
って言うと、男の人にモテるらしいんです。
なのでね、男の人と歩いていて、道端にネコがいるのを見かけたりすると、そこで女子力発揮のチャンスになるんでしょうね。「カワイイ〜」とか叫びながら、小走りに寄ってきたり、中にはキスしようとしたりする人もいるんですよ。
うっとうしい。
あと、あの方々は、何も考えないで生きてますよね。
私たちが道路を渡るときにですね、ちゃんと前を見ずに突っ込んでくるんですよ。あの「自動車」とかいう乗り物で。
普通、スピードを出すなら、誰かが急に飛び出してこないかとか、気をつけながら走りますよね。でも、あの方々は違うんです。前も横も見ずに、ただまっすぐ走ってくるんです。
私たちの仲間も、おおぜい轢かれて死にました。
なので、彼らが絶滅したのも仕方がない話だと思います。彼らには知恵がない。ちゃんと、左右を確認し、安全に前に進む能力がない生き物が、滅びてしまうのは、仕方がないんじゃないでしょうか。
え?
あ、そうでした。
「滅びちゃうのも、仕方がないニャー」

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