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トヨタ博物館企画展「大正自動車ものがたり」
東京モーターショーでスミダM型バスを見ることが出来てほっとしているとき、ふと円太郎バスはどうしているだろうかとWebで検索してみたら、何と愛知県のトヨタ博物館の企画展で展示されているとのこと。円太郎バスは夏の江戸東京博物館の企画展にも展示されていましたが、結局行けずじまい。なら今回を逃す手はないと、閉幕1日前に急遽訪問したのでした。
この企画展の趣旨は、大正元年(1912年)から100周年を迎えることを記念して、日本で自動車が人々の生活に役立つようになった時代を生活文化とともに振り返ろうというもの。様々な所の所蔵物件が集められている貴重な機会のようです。
(撮影はすべて2012年1月8日)
企画展は2011年10月8日〜2012年1月9日の3ヶ月にわたる長期間のものでしたが、いかんせん気付いたのが遅かったせいで、訪問は終了1日前の1月8日でした。
これまで2回ほど訪れたことのあるトヨタ博物館ですが、今回は名古屋市営地下鉄とリニモを乗り継いでの訪問です。
大正自動車ものがたり
本館2階に特別展示室が作られており、このようなゲートが入口になっていました。
ここから始まるタイムトンネルというような感じでしょうか。
人力車(明治後期)
まず最初に迎えてくれるのが、明治後期の人力車です。
人力車は1869(明治2)年に日本人が発明したそうです。今の自動車と同様に、自家用からタクシーのような使われ方まで幅広く普及していたそうです。
展示車は明治期の鉄車輪で、大正期には空気入りタイヤが主流になっていたそうです。
ルノー タイプDJ(1913/大正2年)
高級車の香りを漂わせるルノーです。馬車の名残から運転席と客席が完全に分離されているという車体構造や、前から開くボンネット構造などに特長があるとのこと。
当時の名士が愛用した車と言うことで、庶民にとっては馴染みは薄かったのかもしれません。
フォード モデルT(1914/大正3年)
1912(大正元)年に東京に初めてタクシー会社が創立されますが、そのとき導入されたのがT型フォードでした。オープン構造ですが、折りたたみ式の幌がついているようです。
T型フォードは馬力があり、車体も頑丈で悪路にも強く、さらに価格も安かったそうで、各地にタクシーや乗合自動車の会社が出来ると、相次いでこのタイプが導入されて行きます。
女性車掌の和服の展示です。
説明板によると、1917(大正6)年に「女運転手」が誕生、1920(大正9)年に「女車掌」が誕生したようです。これを昭和のはじめに和製英語の流行により、「バスガール」と呼ぶようになったそうです。
なお、写真には洋服姿が多く写っており、必ずしも和服ばかりではなかったようです。
三菱A型・レプリカ(1918/大正7年)
1918(大正7)年に三菱がイタリア製フィアットを参考にして製造した漆塗りの豪華な自動車。22台が作られたものの、コスト面や第1次世界大戦などの関係で量産にはつながらなかったそうです。
なお、この車両は1972年に作られたレプリカだそうです。(三菱オートギャラリー蔵)
ベルリエ VE型(1922/大正11年)
大正期のフランス車。やはり上級車で、皇族や名士に貸し出された車両だとのこと。
これは山口勝蔵商店が輸入し、自宅で保管していた車両だそうです。
(日本自動車博物館蔵)
企画展には、大正時代の自動車を取り巻く小物類の展示もありました。
木製の電話ボックス、信号機、自動車雑誌などです。自動車雑誌のタイトルは「モーター」「スピード」などが右書きで書かれています。他にも、大正時代のおもちゃで遊ぶコーナーなどもありました。
円太郎バス(1924/大正13年)
関東大震災直後、壊滅状態の東京市電の緊急代替として、フォードTT型シャーシに屋根と座席をつけて11人乗りのバスに仕立てたもの。1区間10銭(1円)で走らせたとのこと。
「円太郎バス」の由来は、明治末期ラッパを吹き鳴らして「ガタ馬車」の物まねで人気者になった落語家の名前にちなんで、東京下町でそう呼ばれたからだそうです。
(鉄道博物館蔵)
オートモ号(1925/大正14年)
アメリカ車が主流の大正時代に作られた国産自動車。モータリゼーションの先進地のアメリカを範とし、白楊社が手がけた車両で、1924年から300台が作られたとのことです。しかし、その後白楊社は、フォード、GMとの低価格競争に巻き込まれ、閉鎖に追い込まれたそうです。
(国立科学博物館蔵)
フォードA型(1929/昭和4年)
T型フォードの後継として1927(昭和2)年から製造されたもの。実用的かつ高級感があり、人気車種となった車両です。
展示車両は右ハンドルで、日本フォード横浜工場で組み立て生産が行われた車両のようです。
トヨタ ボンネットバス
トヨタ博物館といえば、エントランスの所に保存されているボンネットバス。大正時代の自動車を見た後では、なんとも新しい車両に見えてしまいますが、そんなことを言っているのは私くらいで、子供たちは「古い〜」と言いながら通り過ぎていくのでした。
IMTS
2005年の「愛・地球博」で会場内交通として活躍した新交通システム。IMTS(インテリジェント・マルチモード・トランジット・システム)と呼ばれ、一般道路では通常のバスとして、専用道では無人運転可能な乗り物です。隊列運行も可能。燃料は圧縮天然ガスだそうです。
実用化されるのかどうかは分かりませんが、1台が残され、トヨタ博物館の前に展示されています。
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