【シンセン】(Shen Zhen China)
【シンセンの概要】
● シンセンのシンと言う字は深いという字です。センという字は土編に川と書きます。 この字は中国の文字にも無い文
字で、地元の人が自分で作った文字だと言われています。畑のそばに小川のあるところという意味で、誰も見向きもし
ない立ち遅れた土地だったというのです。
● シンセンの面積は東西49Km、南北7Kmです。 1980年のシンセンの人口はたった3万人の農村でした。 現在は
1200万人の移民都市となっており、400倍に増えました。シンセンの平均年齢は28歳です。
● ここの元々の住人は広東語ですが、今は共通語の北京語で話します。 土地が赤土で農業にも適さないこの地では、
魚,鳥、蛇、アヒルなどの養殖が細々となされていて、鉄道駅の税関を通して産品を香港に出荷されていました。 当時
は人の行き来は出来なかったので、国境の川に掛かった橋を動物だけ歩かせて渡したと言います。
● 1980年にケ小平が、香港に一番近いところなので、「経済特別区」に指定して以降、経済的に開放されて今日の繁
栄を見ました。 現在はシンセンと香港をつなぐ橋を海上に建設中で中国本土から香港に運ぶ物資の税関はここ一箇所
だけになります。
【国 境】
● 香港から中国本土に入るのに今はビザはいらない。
● バスで香港からシンセンに行くには高速道路を通って約一時間。 本土との国境に近い新界の香港税関で出国手続
きをする。 バスは香港と中国の二枚のナンバープレートを付けているので、車内に荷物を残さないようにして、運転手
一人で回送して点検を受ける。 乗客は税関でパスポートを出して出国の手続きをして回送されたバスに乗る。バスで
2〜3分走って川を渡ったところにあるシンセンの税関で再度下車し、運転手のみのバスの回送をする。 乗客は税関
で中国への入国の手続き(黄色線の用紙と健康カード)をしなければならない。ガイドは出国しないでシンセンのガイド
と交替した。 帰りには又逆の手続き(シンセン出国は青線の用紙)をしなければならない。税関は2004年までは午後
10時までだったが現在は24時間開いている。
● 電車で香港からシンセンに行く場合は、九龍のホンハム駅から5〜15分おきに出ている電車で、約35分で新界の
羅湖(ロウゥ)に着く、羅湖駅の改札口を出ると、駅の構内に出国の税関がある。 税関を通って建物を出ると、すぐ目の
前の川に橋が架かっており、この橋を歩いて渡るとそこには中国の税関が有るので、入国の手続きが出来る。帰りはこ
の逆の手続きを行う。 中国人は税関で身分証明のようなカードを見せるだけで通過していた。
【香港への通勤者】
● 税関のそばに林立するマンションは住人の95%が香港に勤めている人。 香港よりもマンションが安いので、シンセ
ンのマンションに住んで香港まで通勤している。 物価も安いので、金曜日の夜にシンセンに来て、土曜日の夜香港に
帰る人や、月曜日の朝帰る人で駅は混む。 道路事情も同じである。
【中国の人口】
● 中国13億人の人口の内、1番多いところは重慶の3000万人、次は上海の1800万人、3位は北京の1500万人
である。
【通 貨】
● お金は人民元に替えなくて良い。 人民元は香港ドルよりレートが低いし、シンセンではどこでも香港ドルが使える。
場所によっては、日本円を欲しがるところもある。
【土地と家】
● 男子が18歳になれば、政府から70坪位の土地が無償で貸与される。 殆どの人が、そこに1階が70uくらいの3階
建ての家を建てる。 丸ごと売ると1億円くらいで売れる。1階が一番高くて2階が一番安い、高速からの距離にもよるが
2階部分は2000万円くらい、3階は自分で住む人が多い。
● 香港の人たちの平均月収は8500KH$(日本円約13万円)、夫婦での共稼ぎが多い。 マンションの家賃は1万HK
$(15万円)のところも有るが、公営住宅は夫婦の収入の1割で良いので、25,000円くらいで入れる。
【工業団地、奥地からの出稼ぎ者】
● シンセンの工場の75%は電子部品を製造する中小企業で、工業団地には男性1人に対し、女性5人くらいが働いて
いる。洗濯物がところ狭ましとベランダに干されている社員寮には、16歳から25歳の女子労働者が入っており、8人部
屋で二段ベットが普通です。奥地から働きに出ている彼女たちは1ヶ月で奥地の1年分の収入を得ている。 家族の生
活のためとか、男の兄弟を学校に行かせるためとか、中には自分の花嫁支度に働いている。通常寮費は無料で食費も
安い。
● シンセンには進出する企業が少なかったので、政府は税制優遇政策を取った。通常は33%の税を17%とし、最初の
3年間は無税としている。初期にはおもちゃなど雑貨の会社が多かったが、現在は電子部品の会社が多い。 中国本土
の共産主義政府の下では、どんなに働いても給料は同じであるが、ここでは働けばお金になるので奥地の農民はここ
に着たがる。
【ゴルフ場】
● シンセンには世界第2位の広さの大きいゴルフ場がある。「ミッションヒルズ・ゴルフクラブ」と 言い、10人のトップ
プロが18ホールのコースを一箇づつ設計したので、180ホールの巨大な ゴルフ場となったと言う。総面積が20平
方キロメートルあり、クラブハウスは3,000人が着席でパーティを行える広さのものが二つあるという。ここにはテニス
コートも51面あると聞いた。
設計者は、ジャック・二クラウス、ニック・ファルド、デビッド・デュバル、アニカ・ソレンタム、アーニー・エルス、グレッグ・ノ
ーマン、ホセ・マリア・オラサバル、ビジェイ・シン、デビッド・レッドベタ ー、ジャンボ・尾崎の10人である。
よく教育されたキャディが2,500人いて、一人のプレーヤーに一人のキャディが付くが、ゴルフルールやマナー、接客
サービスに関する筆記試験や実地試験で昇給や昇格があるそうで、日本のアマチュアなら恥ずかしくなるくらいの、よく
教育されたキャディさんたちだそうな。ここは主に香港駐在の外国人が利用しているというが、ぜひ一度挑戦してみたい。
【ライチ】
● シンセンの土は赤土で、農産物は育ちが良くない。 しかし、ライチの生育には良くあった土であるので、シンセンはラ
イチの特産地である。 ライチは熟すと皮の色が赤味を帯びた薄茶色になる。中の実は透明に近い白色で、糖分が多く
て甘い果実である。種の大きい品種は龍眼という。
● 我々日本人は食べなれていないので美味しく食べられるが、いつも食べている土地の人が食べると身体が熱くなると
言う。身体が熱くならないように塩水を飲みながら食べると聞いた。(なぜそうなるのかは聞いていない)
● 雨に弱く雨が続くと落果し産量が少なくなる。 残念ながらライチは保存技術が確立していない。保存のために冷蔵す
ると三時間くらいで黒くなり甘みが落ちる。 保存技術がすすめばもっと美味しい本来の味で食べられるが、変色しない
で甘いライチの保存技術を開発すれば億万長者になれるといっていた。
【マンゴウ】
● シンセン市内の街路樹には、マンゴウの木が多い。 実は鳥の餌として残しておくので、市民は熟しても実を勝手に
取ると罰金を科される。
【土地の使用権】
● 中国の土地は国のものであるが、昔から住んでいた人には土地の使用権がある。 最近は5階〜8階建てのマンショ
ンを建てて、1〜2階を店舗として貸し出し、3階から上を貸し部屋とし、最上階を自分の部屋としている人が多い。家賃
収入が1ヶ月60万円くらいになっている。
【足裏マッサージ】
● シンセンは「足つぼマッサージ」を知らぬ人がいないほど有名。 羅湖の駅前には「足つぼマッサージ」のチラシを持っ
た客引きが大勢いる。 市内にはいたるところに大型のマッサージ店がある。 店内に入ると小さく区切った小部屋がた
くさんあり、中にベットが並んである。大きい店だとベットは50台以上ある。最初にズボンを膝まであげて、5分くらい両
足を暖めた薬湯の中に浸す。 二十歳くらいの女性が足の裏やふくらはぎに丹念に薬油を塗ってマッサージをしてくれ
る。 足つぼマッサージの料金は1時間で50HK$(750円)くらい、その他にお姉さんにチップが10ドル位いる。
【中華料理】
海景酒家(SEAVIEW HOTEL) ( すべて自分たちのグループが食べ私が撮影した料理です )
【職業技術大学】
● 市内にあるこの大学は、シンセンの周辺に進出している企業の技術者を養成している。 学科は企業の仕事とつな
がりのあるものであるから、卒業するとすぐに技術者として働ける。
【バイクタクシー】
● 中国では都市部を離れると、どこに行ってもバイクタクシーが待っている。1m四角位の箱に布の幌が掛かっており、
中では長いす状に二人ずつ向き合って座る。 この箱には両方に1輪づつタイヤが付いている。箱の前にはサドルから
後ろの後輪部分を外したバイクが付いている。 町外れの国道のバス停などで、老人がいつ来るか判らない乗客が降り
てくるのをタバコをくわえて待っている。 シンセン市内にも何台か見えた。
【交通と信号機】
● 市内のどこででも見ることができる緑色のマイクロバスは、どこででも手を上げれば止まるし、好きなところで降りるこ
とが出来る。 降りる人は広東語で落者という。
● 広い道路では信号の無いところで、道路を横断する人が多い。 大人も子供も目の前の車列が切れたら、道路のセ
ンターラインまで行ってそこで止まり、反対側の車列が切れるのを待ち、通過したら横断する。
【民族文化村】
● 中国には56の民族が住んでいる。 漢民族が一番多い。 民族村のショーには560人の芸人がいるが、一晩のショ
ーに出演するのは350人くらいとなる。 龍と鳳凰は中国で作られた神様で、龍と鳳凰の踊りは魔除けの踊り、龍が水
を吐いて滝になり、火が発明されて人類の文明が発達したことを踊りで表している。
【小人国】
● 民族文化村の中に小人国がある。中国国内の有名な景観や建造物などを、鬼怒川の東武ワールドのように縮小し
て作っている場所で、園内を循環している観覧車に乗って観て廻るように出来ている。
【少数民族の家】
● 民族文化村の中にある。 いろいろな民族が自分たちの住まいの中で生活している様子を再現しているもので、民
族ごとに家の形や衣装が違うので観て廻ると楽しい。園内を循環している観覧バスに乗って回れる。
【市 場】
市場には市民が買物に来ていた。食材は豊富で活きたままで売られているものが多かった。
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