テレビが壊れて、買い替えて、設定するまでの顛末。
11月ごろから様子がおかしかった。スイッチを入れてもすぐに画面が表示されない。しばらく待っていたり、ON/OFFを繰り返すと点く。
最初は修理するのが無難と考えていた。問い合わせると基板交換が必要で4万円程度ということだった。
ハイテク業界の端くれにいたので事情はわかる。今のテレビは非常に簡単な構成になっていて、大きく三つの部品——半導体を敷き詰めた小さな基板と電源、LEDを並べたパネル——でできている。半導体が小さすぎるので、昔のように基板の上の部品を交換するような修理はできない。修理となれば基板ごと交換となる。
一度は修理を依頼した。その後で、ふと考えた。テレビは2012年に買ったものなので保証期間はとっくに過ぎている。今、基板を交換しても、来月、パネルや電源が故障したらまた修理代がかかるいっそのこと買い替えた方がいいのではないか。
修理をキャンセルして、何に買い換えるか考えはじめたところ、タイムシフトのハードディスク(HDD)が壊れた。ランプも点灯せず、動作もしていない様子。精密機器のHDDが8年もったのだからマシかもしれない。画面が表示される待ち時間もどんどん長くなり、仕舞いには2時間もかかるようになった。修理しないことを選択して正しかった。
タイムシフトとは地デジの全チャンネル24時間3日間録画しておいてくれる機能。見逃した番組を見られるので非常に便利。この機能がないと新聞のテレビ欄を隅々まで読んで見たい番組をあらかじめ予約しなければならない。タイムシフトに慣れてしまうとこれが面倒。
家電は、どこか一つが故障するとあちこち故障しはじめる。要するに寿命、いわゆる耐用年数が近づいているのだろう。もっと早くから買い替えを検討すべきだった。
結局、買い替えを決断したのは年が明けてから。そこからは早かった。
我が家のテレビにはタイムシフト用のHDDとは別に通常録画用のHDDが付いている。この中身は同じ会社のHDD付きレコーダーでないと引き継げない。
タイムシフトの機能があって、今のテレビと同じメーカーのレコーダーを同時に買う。その要望を満たす製品は1種類しかない。あとはサイズと価格の折り合いで1機種に絞られた。
量販店で下見をして、今より一回り大きいサイズでも以前買った時よりも安く買えることがわかった。しかも、モデルチェンジ前で在庫一掃のためのキャッシュバックのキャンペーンもしている。想定しなかった出費ではあるものの、何とか賄える範囲に収まった。
買ったもの。
- 大画面4Kテレビ
- HDD付きブルーレイレコーダー
- タイムシフト用HDD(6TB)
キャッシュバック・キャンペーンや販売店のポイントなどが複雑で、結局、総額でいくらになったのか、きちんとわかるまでに長いレシートを何度も見返した。
まず入手できたのはBDレコーダー。サイズも小さく、ちょうど在庫もあったので、商談をした日に持ち帰った。
レコーダーの接続と設定で早くも手間取った。我が家にはHDD付きのDVDレコーダーとBDレコーダーがそれぞれあり、今度の製品で3台目になる。これらの機器はAVアンプを内蔵したテレビ台に収納されている。レコーダーはAVアンプを介してテレビにつながっている。アンテナは壁面から各機器を数珠つなぎをして最後にテレビに接続している。
3台、アンテナをつなげるとケーブルが複雑になりますよ。1台は再生専用にしては。
量販店の販売員にそう助言された。そこで一番古いDVDレコーダーはアンテナをつなげず再生専用にした。
DVDレコーダーから地デジとBS、それぞれのアンテナの入出力、合わせて4本を外す。DVDレコーダーをテレビ台から引っ張り出し、新しいBDレコーダーを中に入れてアンテナをつなげる。狭いテレビ台の中での作業で、ケーブル長に余裕もなくて難儀な作業だった。
使用中のテレビのHDDから最新のBDレコーダーにはLANケーブルでダビングをする。これまた簡単ではなかった。ただつなぐだけではなく、IPアドレスを手動で設定しなければならない。これはメーカーのサポートに電話越しに数字を言ってもらい対処した。
これで、ようやくこれまでに録りためた番組をテレビの内蔵HDDから新しいレコーダーにダビングすることができる。
あとはダビングするだけだから簡単だろうと思ったらそうはいかない。今のテレビは一度スイッチを切ると次にいつ点いてくれるかわからない。だからダビングをしている間もずっとテレビをONにしておかなければならない。
もう一つ、タイムリミットの問題がある。新しいテレビは10日後に来る。それまでにダビングを完了しなければならない。壊れかけているテレビを宥めながら、テレビをつけ放しにしてダビングを進める。もういつ画面が消えてもおかしくない。
優先的にダビングするのは音楽やバラエティ番組。映画はあとで借りることができるので後回し。こうして番組の引越は成功したかに見えた。
ところが新たな問題が浮上。新しく買ったレコーダーのHDD容量は1TB。元のテレビから番組を移していたらあっという間に「メディアが不足しています」の警告が出てきた。レコーダーはHDDが増設できるから量販店に行き、4TBのHDDを購入、帰宅してすぐ接続、引越を再開した。
ここでまた問題が発生。普通のHDDは通常録画用に増設はできるが、データの引越用にはSeeQVaultという規格に対応したHDDでないといけない。買ってきた4TBのHDDは無駄にはならない。これから録画していく番組を溜め込んでいけばいい。問題はSeeQVault対応のHDDをあらためて買うか、ということ。
すでにテレビ、レコーダー、タイムシフト用HDDに加えて、レコーダー用の増設HDDまで買った。予算は超過している。
HDDをもう一台買うか、引越する番組を1TB内に厳選するか。
緊急家族会議の結果、残す番組を1TBに厳選することになった。
選んでみるともう一度見たい番組はそう多くない。一度目は大笑いしたお笑い番組でも、何度も見たいと思うものはそれほどない。
結局、厳選の結果、1TBにも余りができた。
新しいテレビが来るまで1週間。今のテレビは電源を入れてから3時間経っても絵が出ないようになった。それでも一度点いたら消えることはない。何とかあと1週間もってくれ。
ところで、新しいHDDを買いに量販店に行った時、私が注文したテレビは「販売終了」となっていた。
毎年2月に新製品が発表されるからその直前に買うとよい
ネットで見かけたアドバイスは正しかった。いい買い物ができた。
そしてついに新製品到着の日。朝、一度電話で配送時刻の連絡があり、その後、前の客がキャンセルになったので早めに来られるという連絡がきた。
トラックが来た。在宅勤務中なので日中でも対応ができた。設置はすぐに終わった。
見映えはどうか。
思ったほど大型化した感じはしない。4K映像も相撲中継なので特別精細な感じはしない。
それでも新鮮さは十分にある。何より、スイッチオンですぐに映像が表示されるのがいい。これは当たり前のことだけど。
一つ、心配していることがあった。前のテレビは首振りができる台に載せていたので、横からでもよく見えた。大型化して、なおかつ薄くなっているので、首振りできる台ではない。我が家の設置位置だと、横から見る場合もあるので、できれば回転できるようにしたい。
横に立ってみると、意外と画面がよく見える。画角が従来機より広くなっているのだろう。ニュースの字幕や時刻は十分に見える。当面はこのまま使うことにする。
ネットワークの設定も完了してYouTubeもAmazon Primeも見られるようになった。
これで設定もすべて完了。
領収書や保証書の画像を添付してキャッシュバックキャンペーンに応募。これで2月に郵便為替が送られてくるはず。
家族が揃い最初に観たのは映画『記憶にございません』。皆で大笑いしながら観た。これから、"Family Theater Time"が増えるかもしれない。
追記。
時系列に出来事を書いただけのつまらない文章になった。文章が上手な人ならば応対した店員や設定ミスをもっと面白おかしく書けるだろう。実際、量販店で対応してくれた店員とのやりとりは愉快だった。
そういう軽妙洒脱な文章に憧れはするものの、私にはそういう才覚はないらしい。