ことの始まりは、職場の向かいの席のふぢのさんが九州地図をおもむろに取り出し、「ぼく歩いてるんですよ」と話し始めたこと。

 自宅から歩き始め、帰りは公共交通機関で自宅に戻り、次には進んだところまで車か公共交通機関で行きそこから歩くというのを繰り返し、福岡、佐賀、長崎と歩き、熊本県へ入っているらしい。進んだルートをマーカーで塗り、歩いた日付を書き込んでいる。数年前から続いているらしい。
 なにやら面白そうだと思い、折に触れ、ちょこちょこと話を聴くようになった。

 自分の職場では、夏休みは7月から9月の間に取るようになっている。9月に残した夏休みに、東北にでも行こうと考えつつ、特に、事前準備もしないままにいると、「歩いてみたらどうですか?」とのふぢのさんの一言。「そうか、歩くのもいいなあ。」と思い出すと、東北旅行はとりあえず保留ということにして、歩く旅行のほうにアンテナがむき出した。同じルートを追いかけるのもつまらないので、ふぢのさんとは逆に、福岡から大分、宮崎と時計回りで行くことにした。

 歩く旅を決心してしまうと、形から入る派の自分としては、まともな練習もしないまま、道具だけは買いそろえた。

 丸善で買った福岡の詳細地図。(マップルの地図は見やすくて気に入っている。ちなみに、観光雑誌でも「るるぶ」よりも断然「マップル」の方を贔屓にしている) 小さい道まで表示してあるこの地図なら迷うこともまずなさそうだ。「スーパーマップルジュニア広域福岡圏」 スーパーなのにジュニア、大きいんだか小さいんだかわからないネーミングだが、実際はA5サイズぐらいの大きさである。

 ネットで見つけた、歩いて九州一周をした「あんやん」さんに倣い、万歩計で歩数を記録するためミスマで手頃なものを物色して、「テクマル」という歩数・時計・距離の機能のついたものを購入。距離は一歩分の距離を入力し、歩数をかけて算出するので、実際使ってみるとあてにならないことがわかった。(かえるウォークの記録には使用しているが、正確な距離ではない。実際より短めに計算されているみたい) ミスマでは、さらにラジオも購入。CDもいいかと考えたが、荷物はできるだけ軽くしたいし、ラジオなら聞き飽きることもないので、ラジオに決めた。

 かばんはヒップバックで身軽に行こうとも考えたが、マップルさんが入らない上に、カメラ類もかさばるので、最終的には、友蔵さんから以前から借りっぱなしのティンバーランドの黄色のリュックにした。これなら工事現場のような配色で、車にひかれる危険も多少は避けられそう  
 カメラはAPSとデジカメ(これも借り物)、ともにIXYを使用。フィルム、バッテリー、コンパクトフラッシュなど忘れずに詰めた。

 準備はばっちり。あとは、きちんと朝起きることだけ。歩いて行くというごくごく原始的な方法なのに、なんだか飛行機や列車の旅よりもわくわくするのはなぜだろう。
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