図書紹介:『痴呆老人が創造する世界』
本書は、痴呆専門病棟に入所しているかなり重度の痴呆老人たちはどのような生活を繰り広げているのかを彼らの生活に入り込んで 詳細に調査した結果をもとにノンフィクション風にまとめたものである。著者は現在、北海道医療大学看護福祉学部教授である。 この病棟の痴呆老人たちの知的機能は、長谷川式簡易知能評価尺度(注.1)で10点以下という重症度の高い人たちである。食事、排泄、更衣などの日常生活行動は、 大半は部分的な介助を必要とし、食事で箸を持たせてもそれが何なのか分からない人、手づかみで食べようとする人など多様である。 また、ここが病院であることを分かっている人は数人のみである。 注1.長谷川式簡易知能評価尺度:30点満点。21点以上を正常範囲、20点以下を痴呆の疑いありと解釈する。 著者は彼らの中に溶け込み、詳細に観察し、起こっている事態となりゆきを忠実に述べ、そのことの意味について著者なりに分析し、 解釈を行っている。表面的な観察では見えない、一緒に生活して初めて見える内容が多い。本書ではそれらの内容を下記五つの章に まとめている。
私もアルツハイマー病の母の介護を行っているが、介護する立場で私の心に響いた言葉を下記に示す。
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[コメント] 私はアルツハイマー病の母を在宅で介護している。痴呆はかなり進んではいるが、身体は比較的元気で寝たきりにはならず、 会話や意思疎通はある程度できる。 今後の不安として、痴呆がもっと進んだ場合、母の状態はどのようになり、どのように介護すればいいかということである。 本書はこのような不安に対して、痴呆がもっと進んだ場合の母の日常の状態、そのときの介護のやり方などについて具体的イメージや ヒントを示してくれる。私と同じような不安を持っている方が読めば有益であろう。 | ||||||||||||||||||||||
(2004年5月31日) | ||||||||||||||||||||||
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