介護レポート:2002年8月度
 「最近の母の日常生活」


母は今月も良い状態で落ち着いていました。足が痛いということも殆どなくなり、近くのコンビニへも歩いて何回か買い物に行きました。 今月のレポートは現在の母の標準的な日常生活について紹介します。このような記録を残しておくことは、今後、例えば1年後に母の状態を比較 するときに役に立つし、また同様の境遇にある人にとっても比較の参考になると考えるからです。

母の起床は通常朝5時か6時です。ただ、その日によっては朝4時頃起きて編物をしたりして再び寝て7時頃に起きることもあります。 母が起きると、私はすぐに母の着る物を一式揃えてベッドの手すりに並べてかけます。そうすれば、あとは自分で着替えができます。 私はその間に自分の着替えを済ませ、自分の布団をあげます。 母が着替えを終わった頃、「顔を洗って」と声をかけますと、母は「ああ、そうだね」と言って洗面所に行って顔を洗い、 髪をとかします。母が洗顔している間に私は朝食の準備をします。母は洗顔と髪の整えを終わると台所に来て「何か手伝うことは ないかい?」と言いますので、味噌汁の具を切ったり、電気釜のご飯をほぐしたり、お膳を拭くこと、ご飯やおかずをお膳に運ぶこと などをやってもらいます。

大体6時か7時のNHKニュースを見ながら母と二人で朝食をとります。母は食欲旺盛で味覚もしっかりしており、「おいしいったら、 おいしいったら。おいしいだけでなく体にいいね。」と言って喜んで食べます。食べ終わると母はすべての食器を台所の洗い場に運び、 洗います。私はその間に自分の洗顔を行い、それと同時に洗濯機で洗濯を始めます。母は洗濯機を使えなくなりましたので、脱水槽に 洗濯物を移すときからやってもらいます。脱水が終わると洗濯物をバケツに入れてもらい、二人で2階に干しに行きます。2階へは まだ一人で上り下りできます。 母は洗濯物を一つずつバケツから出し、振ってしわを伸ばし、私に手渡します。私はそれを洗濯物架けに吊り下げます。天気がよければ それをベランダに出します。それが終わると、昨日の洗濯物を母にたたんでもらいます。たたみ方は手が覚えているようで非常に上手に 丁寧に行います。それが終わると二人で家の前の道路沿いにあるゴミ置き場にゴミを捨てに行きます。部屋の掃除は私が電気掃除機の 本体を持ち、母がホース部分を持って二人で行います。

そうしている内にデイサービスのある月、水、金は9時過ぎにヘルパーさんが迎えにきます。母はデイサービスについて理解しておらず、いつも次のような会話があります。私「お母ちゃん、お楽しみ会に行くよ」、母「お楽しみ会ってなんだっけ?」、私「みんなで歌を歌ったり、絵を書いたりして楽しい会だよ」、母「こんな年寄りでもいいのかい?」、ヘルパーさん「愛子さんは人気者だから皆さん待っていますよ」、母「そうかい」などのやり取りがあり、本人も満更でない顔をして車椅子に乗って出かけて行きます。

私たちの介護当番は大体母がデイサービスに行っている間に入れ替わります。デイサービスからは午後1時45分頃にヘルパーさんに連れられて車椅子で帰ってきます。母は連れて帰って来てくれたヘルパーさんにお礼をしなければといつも名前を聞きます。しかし、すぐに忘れてしまいます。 晩御飯の仕度は午後4時半頃から始めますのでそれまでは自由時間です。母は編物をしたり、自分の自叙伝を読んだり、お金を数えたり、おしゃべりしたりします。また、そのときの様子で絵を描かせたり、音楽を聞かせたりもします。買い物は、母が「一緒に行く」と言ったときは一緒に、「行かない」と言ったときは一人で行きます。15分程度なら家をあけることは大丈夫です。

4時半頃から母と一緒に夕飯の支度を始めます。一人でやった方が早いし、楽なのですが、できるだけ母に手伝ってもらいます。手や身体を使うことはアルツハイマー病の進行を止めるのに良い影響があると思うからです。母は連続した一連の作業は出来ませんが、細かく分けた単一の作業はできます。例えば、野菜炒めを作るときには、キャベツを切る、玉ねぎを切る、ピーマンを切る、もやしを洗うなどの作業はひとつずつ頼んでやってもらいます。フライパンに油をしいて温めることは私がやり、その後野菜をフライパンに入れて、炒めることは母にやってもらいます。このように単一作業で頼んでいけば上手にできます。 料理ができたらそれをお膳に運んでもらい、朝食と同様に二人で食べます。母はおしゃべりで、料理一つづつに講釈を述べます。例えば、「これは中まで味がしみておいしい。なかなかこのようには作れない。」、「この豆は柔らかくておいしい。昔私も作ったけれどこんなに柔らかくできなかった。今度覚えたい。」、「これは今の季節にしか食べられない。きっと身体にいい。」などとよくしゃべります。食べ終わると朝食のときと同様に母は食器類を流しに運び、全部洗います。

7時から寝るまではまた自由時間です。ただ、お風呂に入る仕事があります。お風呂は毎日沸かすのですが、そのときの気分でスンナリ 入るときと、入らないときがあります。入らないときは、少し時間をおいて何回か言ってみます。それでも入らないときはあきらめます。 母はお風呂へは一人で入れますが、自分で身体を洗ったり、シャンプーをしたりはできません。それは妹が当番のときにやってもらいます。 母が入っている間に着ていた下着類は洗濯機へ入れ、新しいパンツとパジャマを置いておきます。そうしないと古いものを着てしまうからです。

お風呂から出た後、母は編み物をするか、お金を数えるか、自叙伝を読んでいます。時にはテレビのニュースに関心を持って見ること がありますが、耳が遠いので音量を大きくしてあげます。しかし、理解力が落ちているようで音は聞こえたとしてもなかなか理解できない ようです。「もっと分かり易くしゃべってくれるようにお国の偉い人に手紙を出そうか」なんて文句を言いながら見ています。 寝る時間はまちまちですが、早いときには8時頃、遅いときには10時頃寝ます。編物が佳境に入っているときには11時ころまで 起きていることがあります。寝てから朝起きるまでにトイレには2回程度行きます。それは全部自分でできますので、私は何にも手伝い ません。以前に、真夜中に「何がなんだか分からなくなったから、ちょっとお母さんの所に行ってくる」と言って服を着て外に行こうと したことが何回かありましたが、最近はありません。

以上が母の標準的な一日です。介護する側も慣れてきたせいか、今のところ毎日がスムースに動いていきます。出来るだけ現在の状態を維持できるようにしたいと思っています。

母は今月も絵を描きました。身近にある果物や野菜を描いてもらっています。

今月、母が描いた絵
  1.梨                   2.ニンジン

(2002年8月27日)

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