介護レポート:2004年6月度 「時々、デイサービスを拒絶するようになった」
今月も母の身体の体調は先月と変わらず、良い方でした。しかし、痴呆の進行の影響によるものと思われますが、行動パターンには三つの顕著な変化がありました。
一つ目は、徘徊パターンの変化です。「徘徊実績」から分かるとおり、短時間の回数が増え、1回当たり
の徘徊時間が今までの最低の約12分になりました。特に、5分から10分の短時間を10回位繰り返すことが2日ありました。このようなパターンは
今まではありませんでした。原因はよく分かりませんが、見当識障害が進んでいるため、今居る自分の家が自分の家と認識できなくなり、
それを確かめに出て行っているのかも知れません。夕方や夜に自分の家に帰ると言って出ていこうとすることはしょっちゅうあります。
そのときに助けになるのは、部屋の中に貼ってある、昔自分が描いた絵です。「ここは自分の家だよ。ほら、自分の絵が貼ってあるでしょう」
と言うと、じっと<それらの絵>を見て「あっ、自分の家か。それじゃ、帰らなくていいんだね」とうれしそうに納得することも多いです。
| 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 |
合計 | 848分 | 763分 | 855分 | 1282分 | 1010分 | 430分 | 240分 | 185分 | 370分 |
回数 | 32回 | 28回 | 26回 | 31回 | 36回 | 12回 | 17回 | 12回 | 31回 |
1回当り時間 | 26.5分 | 27.3分 | 32.9分 | 41.3分 | 28.1分 | 35.8分 | 14.1分 | 15.4分\td> | 11.9分 |
1回60分以上 | 3回 | 3回 | 6回 | 10回 | 3回 | 4回 | 0回 | 0回 | 1回 |
二つ目は、デイサービスを拒絶するケースが出てきたことです。6月前半の7回の予定中、行かない日が4回ありました。約6割行かなかったことになります。
行かない理由をみると、編み物に集中していて、「今、人に頼まれた編み物をやっていて忙しいので行っている暇はない」と言って頑として行かなかったこと2回、
なぜかヘルパさんが迎えに来たときに立てなくなったこと1回、不明1回でした。デイサービスは、週3回午前9時頃ヘルパさんに迎えに来て
もらって車椅子で連れて行ってもらい、12時45分頃ヘルパさんに連れられて帰ってきます。デイサービスに行ってくれることは、
我々介護する者にとって約3時間45分の自由時間ができますので助かります。また本人にとってもリハビリや気分転換になり、社会性を残す意味でも良いことと思っています。
いずれは行けなくなると覚悟はしていますが、できるだけ先延ばしにしたいと考えています。そこで、下記拒絶対策を考えました。
・対策1:デイサービスに行かない場合、次の当番の人が来るまでの時間を前の当番の人が面倒を見なくてはなりません。
これで一番困るのは働いている妹(次女)です。10時には母の家を出なければ勤務に遅刻してしますからです。
そこで妹(次女)の当番の曜日をそのような心配のない月曜日泊に変え、木曜日泊は私の当番に変更しました。
・対策2:デイサービスに行く日の朝は、編み物に集中しないようにする。できるだけ音楽を聴かせたり、自叙伝「私の人生」を読んであげたりしてヘルパさんが迎えに来るまでの時間をつぶすことにしました。
・対策3:デイサービスに行く日の朝は、できるだけ好きな歌を聞かせ、心を歌に向かせます。そして「歌を歌うことは身体に良い」、「その証拠にお母ちゃんは子供のときから
病気になったことがないでしょう。それは歌を歌っていたからだよ」ということを繰り返し話す。このことは本人も非常に納得しやすいです。そうしてヘルパさんが来たときには、
「お楽しみ会へ行って、でみんなで歌を歌いましょう。みなさんも愛子さんを待っていますよ」とヘルパさんに言ってもらいます。
そうするとかなりのケース、うまく行きます。
以上の対策を実施することにより、7月後半は1回も拒絶は起きませんでした。大成功!!です。
三つ目は見当識障害が進み、物や場所が分からなくなるケースが増えたことです。その例を下記に紹介します。
@テレビというものが分からなくなった。テレビの画面に出ている人が自分の家に来ていると思うのです。「あの人は呼んでいないのに
何故うちに来ているの?」とか、ご飯を食べているときにアナウンサがこちらを見ていると「あの人が食べたそうに見ている」と言って
後ろ向きになって食べたりします。
A身の回りにある物が、そのときに母が考えてことに関連つけて見えてしまうようです。例えば、「買い物に行かない?」と誘うと「私はこんなに
一杯食べるものがあるから行かない」と言って、毛糸の玉や本やお金を指差します。また、手編みの靴下を編んでいて、それを足に合わせるだけでなく
身の回りにある、財布の中に足を入れてみたり、千円札を足に合わせたりします。このときにはきっと身の回りのいろいろな物が靴下に見えているのだと思います。
B今居るところが自分の家ではなく、本当の家は他にあると思っている。
C今までできていた自分の髪の毛の手入れのやり方が時々分からなくなり、私に「やり方分からなくなった」と聞きにきます。
私も分からないので放っておくとそのうちに手が動いてできています。
いろいろありますが、時折見せる母の笑顔が我々の救いです。
○スイカをうれしそうに切る母
(2004年7月7日撮影)
(2004年7月22日)
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