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介護レポート:2004年4月度
「母はバーチャル(幻聴)の世界と行ったり来たり」

今月も母の徘徊は、下表の通り合計時間が大幅に減りました。(詳細は徘徊実績に示す) 1回当たりの時間も14分と減り、10分から15分の短時間の徘徊が多くなりました。幻聴は先月同様に増えています。 幻聴の世界に入り込むと1時間以上もその状態が続くことがあります。幻聴が聞こえているだけでなく、バーチャルな世界に浸っている 感じです。先月も書きましたように、「ザー」と言う雨が降るような雑音が聞こえたり、音楽や話し声が聞こえたりしているようです。 場合によっては、話し声に「はい」とか「分かりました」などと返事をしています。
一見、徘徊が減って楽になったように思うかも知れませんが、 幻聴の世界に入り込むと、何かにとりつかれたようになり、人の言うことを全く聞かなくなるので介護する側としては扱い難くなります。 困った問題としては、食事の時間に幻聴の世界に入り込むとそれが終わるまで食事をしないことです。対応としては見守っているしかありません。

 10月11月12月1月2月3月4月
合計848分763分855分1282分1010分430分240分
回数32回28回26回31回36回12回17回
1回当り時間26.5分27.3分32.9分41.3分28.1分35.8分14.1分
1回当り60分以上回数3回3回6回10回3回4回0回

なぜ、徘徊が減って幻聴が増えているのか?
徘徊が多いときには、自分の心に生じた疑問を外を歩くことによって解決しようとする強い気持ち(欲求) があったような気がしますが、今はその気持ちが弱まり、幻聴が代替しているような気がします。これは痴呆の進行過程のひとつの症状のような気もします。
幻聴の世界に入らないようにするにはどうすればいいか?
いろいろ試してみていますが、今のところ下記方法が効果ありそうです。
炊事、洗濯などの日常生活行動をできるだけ一緒にしてあげる
日常生活行動を一緒にしているときには、幻聴は聞こえないか、聞こえたとしてもそちらに関心は行きません。
母の自叙伝「私の人生」を大きな声で読んであげる
母の自叙伝は自分でも時々読んでいますが、どの程度理解できているか分かりません。そこで私が補足説明を加えながら大きな声で 読んであげると、「初めて聞いた」「びっくりした」「おかしいよ」などをを連発しますが、それでもすごく関心をもって聞いているのがよく分かります。 少なくとも、読んであげている間は幻聴は聞こえないようです。
赤ちゃん(ひ孫)の写真を見せる
何回も見ていると、「これ、見たことがある」と言って興味を示さなくなるので、時々新しい写真を追加します。そうすれば、再び興味を持ちます。 アルツハイマー病の人は新しいことを記憶できないと言いますが、母の場合、赤ちゃんの写真を何回も見ているとその写真を見たことを記憶できています。 右脳はアルツハイマー病に侵され難いというのは正しいようです。
好きな音楽を聞かせる
好きな歌をかけてあげると一緒に口ずさんだり、指揮をとったりして楽しそうです。最近、母が好きな歌は「母さんの歌」、「瀬戸の花嫁」です。
笑顔が多い、楽しそうなテレビ番組を見せる
笑い顔が溢れている楽しそうな番組がいいです。怖い顔や怖い風景が出てくる番組は見せない方がいいです。そこから妄想の世界に入り、幻聴が始まるからです。

要は母が関心を持てそうなことを現実の世界に見つけて上げることだと思います。

○母との会話
1.母の大演説
母はいつも、食事の後の食器洗いを自分の仕事と思ってやっているのですが、 先日、ほとんど私にやり方を聞かずにできたときは満足そうに私のところに寄ってきて次のような演説を始めました。
「私のお母さんは私が食器を洗えるように厳しく叱って教えてくれた。 だから私は食器洗いが上手にできるようになった。あるとき先生が生徒に食器を洗わせたが、できたのは私だけだった。それで私は先生に褒められた。 他の人は、家でお母さんに厳しく叱られなかったので食器洗いができなかった。 母親は子供を厳しく叱らなければいけない。私は母親に感謝している。」
「パチパチ」(拍手)

○体操選手権のテレビを見ていて、選手と一緒に自分も着地姿勢をとる母
  
(2004年5月3日撮影)


(2004年5月4日)

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