日野自動車(RJ/RRの詳細)
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路線バスでの角張った車体は初めてのことで、他メーカーとの差は歴然としており、ユーザー層を広げる役目を果たしました。時は過疎路線などで中型車の市場が拡大基調にあり、この車両で中型車の持つ中途半端なイメージは完全に払拭されたと言えるでしょう。
同時に貸切タイプもスケルトン化されましたが、これもエアサスの採用やハイデッカータイプの設定など、中型車でのバリエーション拡大に寄与しました。中型観光タイプと言えば自家用という常識を覆し、豪華貸切バスへと市場を広げています。
路線バス、観光バス含めて、「レインボー」と言う愛称がつけられています。
日野レインボーRJ/RR 路線バスタイプ
路線バスタイプ 第1期(1981-1984)
西東京バス 日野K-RJ172AA(1981年式)
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撮影:武蔵五日市駅(1985.1.5)
弘南バス 日野K-RJ172AA(1981年式)
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撮影:弘南黒石駅(1981.8.16)
まず路線バスタイプについて、製造時期順に説明します。
路線バスとして初めてのスケルトン構造となったRJは、これまでにない角張ったボディが第一の特徴です。側面は窓が2個ずつユニットになっており、窓上の幕板の広さも特徴の一つ。また、フロント左側を視野拡大窓としたり、ヘッドライトを2灯にするなど、独特の個性を有しています。正面は方向幕を車幅いっぱいの枠に収め、後面はルーフラインまでの大型窓に方向幕を内蔵する形を取っており、これが以降のスケルトンタイプの路線バスの標準となりました。
京福電気鉄道 日野K-RJ172AA(1981年式)
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撮影:福井駅(1982.3.28)
西東京バス 日野K-RJ172AA(1982年式)
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撮影:武蔵五日市駅(1985.1.5)
基本スタイルは小型方向幕対応ですが、大型方向幕の場合は、正面上部全体が飛び出た形となります。
冷房付の場合、ユニットが最前部にあり、大型方向幕対応が標準になります。そのため、冷房付で小型方向幕の場合、大型枠の中に小型幕を配置する形となります。
この辺の前頭部が飛び出たスタイルも、日野RJをイメージ付ける大きな個性でした。
京王帝都電鉄 日野K-RJ172AA(1983年式)
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撮影:中野車庫(1983.8.10)
1983年にボディのマイナーチェンジが行われ、大型方向幕を標準とするスタイルになりました。基本的には、大型方向幕スペースを確保した上で、ルーフラインを平らにしたので、正面窓の縦寸法が若干小さくなりました。
路線バスタイプ 第2期(1984-1988)
上電バス 日野P-RJ170BA(1988年式)
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撮影:ヒツジさん様(上田車庫 2004.4.21)
宮崎交通 日野P-RJ172BA(1986年式)
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撮影:宮崎駅(2018.11.27)
1984年に昭和58年排ガス規制に対応するマイナーチェンジを行いました。外観はほとんど変わりませんが、フェンダに枠がつきました。
引き戸の窓は、縦寸法が大きくなるとともに、四隅のRがなくなりました。
路線バスタイプ 第3期(1988-1995)
茨城交通 日野P-RJ172CA(1989年式)
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撮影:水戸駅(2014.8.23)
防長交通 日野U-RJ3HJAA(1992年式)
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撮影:防府駅(2016.5.29)
1988年にボディのモデルチェンジが行われ、これまでより丸みの強いボディスタイルになりました。他メーカーのスケルトンタイプ化の流れの中で、初期スケルトンバスのスタイルの陳腐化に対応したものと思われます。ヘッドライトが4灯になり、クーラーユニットの位置も後ろに下がるなど、前モデルの前衛的なイメージは失われました。
平成元年排ガス規制に対応し、1990年に型式を変えますが、外観は変わりません。
路線バスタイプ 第4期(1995-2003)
日ノ丸自動車 日野KC-RJ1JJCK(1999年式)
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撮影:鳥取駅(2016.5.28)
平成6年排ガス規制への対応で、1995年に型式が変わりますが、この時も外観は変わりません。これまでオプションだった角形ライトが標準になったようです。
その後スタイルを変えないまま生産を続け、2004年にいすゞ「エルガミオ」との統合車種に整理されました。
これをベースにしたボディは、ノンステップの「レインボーHR」(10.5m車)として2010年まで作られています。
日野レインボーRJ/RR 観光バス・自家用バスタイプ
観光バス・自家用バスタイプ 第1期(1982-1984)
自家用 日野K-RJ172AA
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撮影:上田市(2013.7.6)
自家用 日野K-RJ172AA
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撮影:上田市(2016.8.21)
観光バス・自家用バスには正面窓が傾斜した独自のスタイルが用意されました。ヘッドライトは角型4灯です。
1982年にクラス初のエアサス設定であるリーフサス併用エアサスのRRが追加されました。貸切用途には、その後RRが主力になります。
車体のグレードには大きく3タイプがありますが、これについては第2期の所で詳細を説明します。
なお、この時期(第1期〜第2期)の観光・自家用タイプは、リアのライト類が縦に配置されているのが特徴です。
観光バス・自家用バスタイプ 第2期(1984-1988)
自家用 日野P-RJ172BA(1988年式)
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撮影:山中湖村(2013.5.25)
昭和58年排ガス規制に対応して、1984年にマイナーチェンジを行いましたが、外観的にはフェンダに縁がついた程度の違いしかありません。
写真はスタンダードタイプです。自家用バスにはこのタイプが多く用いられました。
自家用 日野P-RJ172BA
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撮影:上田市(2010.7.28)
観光バス用のデラックスタイプは、床の段上げがされているため、外観上も側窓の位置が高くなっています。幕板が標準床より狭いので見分けがつきます。
貸切バスにはこの仕様が多く見られます。
岩手開発鉄道 日野P-RR192BA
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撮影:盛岡駅(1987.7.26)
観光バス用の超デラックスタイプであるフルデッカーです。クラス初の設定で、全体的に縦長の印象があります。
1984年のマイナーチェンジの際に、ターボ付高出力タイプが新設され、エアサス、ハイデッカーとの組み合わせで、ワングレード上の貸切バスとしてシェアを広げました。
写真はスィングドア、固定窓仕様です。
観光バス・自家用バスタイプ 第3期(1988-1999)
弘南バス 日野P-RJ172CA
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撮影:左党89号様(鯵ヶ沢営業所 2001.5.3)
1988年にボディのモデルチェンジを行い、丸みの強いスタイリングになりました。7mサイズのハイデッカー日野レインボー7Mと共通するものです。
ハイデッカーには高床式フレームを採用し、型式末尾の記号がDAになっています。
自家用 日野KC-RR1JJAA
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撮影:上田市(2014.9.7)
1990年に平成元年排ガス規制に対応してモデルチェンジ、1995年に平成6年排ガス規制に対応してモデルチェンジされましたが、ボディスタイルはそのままです。
自家用・観光バスタイプは1999年に「メルファ9」にモデルチェンジするまで、この基本スタイルのまま製造されました。