入門その頃のバス

ボンネット形状の詳細

シャーシ ここでは、メーカーごとのボンネット形状の推移を俯瞰してみます。
ボンネットバスのボンネット部分は、シャーシに含まれるため、シャーシメーカーの特徴が現われるのはボンネットの形状です。
終戦後の初期のボンネットバスは、グリル、フェンダともに簡単な造りでしたが、次第にフェンダが大型化して前照灯を取り込み、メッキによる飾りがつくなど、スタイルを重視した形状に進化します。これには外国車の影響もあるようです。
ボンネットバスのシャーシは、トラックシャーシとの共通性が高いため、写真にはトラックのものを使う場合もあります。


いすゞ自動車

1947-50年
ボンネット形状
いすゞBX(いすゞ自動車史)

1950-55年
ボンネット形状
いすゞBX(カタログ)

1955-59年
ボンネット形状
いすゞBX(カタログ)

いすゞBXの1950年代までのボンネット形状です。
ボンネット脇のグリルが左右二つに分かれているのが特徴で、そこに「ISUZU」と書かれた丸いバッジが付きます。
1950年にフェンダが流線形になり、前照灯がそこに埋め込まれ、ボンネット下部にメッキの飾りが3本入りました。
1955年には、グリルの穴の上下寸法が大きくなり、数も減りました。

1959-64年
ボンネット形状
いすゞBX・BXD

1964-67年
ボンネット形状
いすゞBX(カタログ)

全輪駆動車
ボンネット形状
いすゞTS・TSD(カタログ)

1960年代になると、ボンネットがアリゲーター型に変わります。また、いすゞのリアエンジンバスなどと同様に、1964年には前照灯が4灯に変わり、それに合わせてグリル形状も変更になりました。
なお、全輪駆動車については、武骨な形状のまま、モデルチェンジは行われずに1970年代まで生産されています。ボンネット側面の左右二つに分かれたグリル形状は、1950年代のBXと共通性があります。

トヨタ自動車

1949-51年
ボンネット形状
トヨタBL/FL

1951-54年
ボンネット形状
トヨタBY/FY(カタログ)

1954-56年
ボンネット形状
トヨタBB/FB

トヨタの1950年代までのボンネット形状です。
戦前を踏襲した簡素なボンネット形状から、1951年にフェンダと前照灯、グリルを一体化し、丸みのある金属製のグリルをつけた独特な形状に一新しました。このイメージが、トヨタのボンネットバスを長く印象づけることになります。

1956-59年
ボンネット形状
トヨタDB/FB(カタログ)

1959-64年
ボンネット形状
トヨタDB/FB

1964-70年
ボンネット形状
トヨタDB/FB100系(カタログ)

ディーゼルエンジンのDB登場以降も、丸い印象のボンネットスタイルを続けますが、1964年のDB/FB100系へのモデルチェンジに伴い、4灯になり、ボンネットとグリルの形状を大きく変えました。

日産自動車

1949-51年
ボンネット形状
日産290(民生カタログ)

1951-52年
ボンネット形状
日産390(カタログ)

日産自動車の1949年からのバス用低床シャーシ290に始まるボンネット形状です。
民生のKD2型エンジンを搭載するJ290のみは、グリルが2枚に分かれた民生デイゼル風のボンネットスタイルでした。
1951年の390からフェンダと前照灯、グリルが一体化し、前面グリルが左右2枚に分かれた独特のスタイルに変わりました。

1953-55年
ボンネット形状
日産490/492(カタログ)

1956-58年
ボンネット形状
日産590(カタログ)

1959年
ボンネット形状
日産592

1953年の490からは、グリルに金属の飾りが3本入るようになりました。
1956年の590からグリルの金属製の飾りが大型化され、さらに1959年の592ではグリルの飾りが塗装され、フォグランプ部分の形状が変わりました。

1960-64年
ボンネット形状
日産690

1964-66年
ボンネット形状
日産690

1967-69年
ボンネット形状
日産690(カタログ)

1960年の690から、前照灯4灯化と併せてグリルをフルモデルチェンジし、前照灯の配置が縦型になる独特の形状となりました。1964年から、グリルにあった「NISSAN」のロゴがボンネット上に移りました。
1967年には、前照灯が横配置に変わっています。

民生デイゼル

1948-50年
ボンネット形状
民生KB3(ジーゼルニュース)

1949-51年
ボンネット形状
民生KB3

1951-52年
ボンネット形状
民生BN/BE

民生デイゼルでは、欧米を意識したグリルが縦に並んだスタイルを導入しました。
1951年からは、フェンダとグリルを一体化し、金属の飾りがついたデザインに変更しています。

1952-54年
ボンネット形状
民生BN/BE(名古屋市交通局絵葉書)

1955-61年
ボンネット形状
民生B70/80(ジーゼルニュース)


民生のボンネット形状はめまぐるしく変わり、1952年には金属製の大きな飾りがつきました。
1955年のUDエンジンの採用と同時に、これまでと全く異なる傾斜した剣道面になりました。これは、ドイツのクルップ社の影響だそうです。(ぽると出版「UDマークのバス達」による)

民生BS型

1950-51年
ボンネット形状
民生BS22(カタログ)

1952-53年
ボンネット形状
民生BS(カタログ)

1953-59年
ボンネット形状
民生BS(カタログ)

民生デイゼルのBSは、日産自動車のシャーシに民生デイゼルのエンジンを搭載した車種で、実質的には日産J290〜U590系列と同じ車両と言えます。そのため、ボンネットの形状もほとんど同じに推移しています。
最終期のグリル内の金属製の飾りの形状は少し異なります。

日野自動車

1950-66年
ボンネット形状
日野BH/BA

日野のボンネットバスは、約15年間の間、剣道面のボンネット形状に変化がないまま推移しました。

三菱自動車

1946-49年
ボンネット形状
三菱B1(三菱ボデーニュース)

1949-50年
ボンネット形状
三菱B20(名古屋市交通局絵葉書)

1950-55年
ボンネット形状
三菱B20

三菱のボンネットバスは、B20系列の登場とともに、フェンダを大型化しています。さらに1950年には、縦のグリル形状に変更するとともに、金属製の飾りをつけました。

1955-61年
ボンネット形状
三菱B200/300(カタログ)

全輪駆動車
ボンネット形状
三菱T370

1955年にボンネット形状を変えました。
トラック用シャーシの全輪駆動車は、いかついスタイルのまま推移しています。

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