大阪くらしの今昔館
実物の展示がないにもかかわらず、ここで取り上げるのは、バス車両に関する特異な文化の歴史資料がここに模型として残されているからです。それは何かというと、終戦後に空襲で焼け出された住民のために廃車のバスを活用して作られたという「城北バス住宅」のジオラマです。
さらにここには、江戸時代から昭和時代にかけての時代ごとの大阪の暮らしがわかるさまざまな展示物が、見ていて楽しい演出のもとに凝縮されています。
- 名称・・・大阪くらしの今昔館
- 所在地・・・大阪市北区天神橋6-4-20 住まい情報センター8階
- アクセス・・・地下鉄谷町線・堺筋線、阪急千里線「天神橋筋六丁目」駅下車 3号出口直結
- 開館時間・・・10:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日・・・火曜日及び年末年始ほか
- 入場料・・・大人600円 高大生300円ほか
- 公式サイト・・・http://konjyakukan.com/
この情報は、2018年8月現在です。
住居の歴史を知るための博物館と言っても、それは中心街のモダンなビルの中にあります。「大阪市立住まい情報センター」というビルで、地下鉄の駅から直接エレベーターでアクセスできます。
エレベーターで8階まで上がると、そこにエントランスがあり、入場券の販売機があります。
エントランスの正面にあるのは出口のようで、左側にあるゲートが入口でした(右写真)。そこを入って奥のほうに進むと、上に向かう長いエスカレーターがあり、10階の展望フロアに着きます。ここからは実物大のなにわの町を見下ろすことができます。専門家の時代考証のもと、江戸時代の町を正確に再現したものだそうです。桂米朝の語りによる放送を聞きながら9階に下りると、そこで先ほど見下ろした街の中に、実際に足を踏み入れることができます。
さらにもう一つ下ると、そこ8階は「モダン大阪パノラマ遊覧」と題した近世、近代の大阪の町並みを再現したフロアになります。ここの近代の部屋の中に、「城北バス住宅」のジオラマが置いてあります。
城北バス住宅
城北バス住宅は、第二次世界大戦の空襲によって焼け出された大阪市民のため、大阪市が廃車になった木炭バスを利用して作ったバス住宅です。
旭区豊里町(当時)に、26台のバスをめがね形に配置し、中央部の空き地に炊事場や洗濯場、便所などを設けた市営住宅が作られたのです。バスの内部は約2坪半と狭いため、住民が建て増しなど独自の空間を作り出していたとのこと。1951(昭和26)年まで存続したそうです。
このジオラマは、そういった一人一人の暮らしぶりも丁寧に再現されています。さらに、バスそのものも、エンジンのあったボンネット部分や木炭の燃焼装置部分が取り外された姿を再現してあるのはもちろんですが、年式やメーカーによる差異をきちんと区別してあるのも特徴です。
多分3種類のバスが作り分けられているのだと思いますが、中央写真の左側にある側窓幅が広い車両は1935年型フォードではないかと思います(注1)。
ここでの展示には、1時間に1回「住まいの劇場」という八千草薫さんの語りによるジオラマの変化を活用した上演があります。
先ほどの、めがね形に配置されたバス住宅のジオラマが下に下がり、上からその一つを拡大した大きなバス住宅のジオラマが下りてきます。
庭で弟たちが裸で駆け回り、母が煮炊きをし、父親が小さな畑から鶏を追いかけているバス住宅に、悦子の恋人が訪ねてきたというストーリーのようです。
北船場
1932(昭和7)年の北船場のジオラマにもバスが登場します。明治の終わりから昭和の初めにかけて行われた「軒切り」と呼ばれる都市改造により、道路にも建物にも大きな変革が訪れます。
ここには大阪市電にまじって、3台ほどのバスの模型も見えます。「銀バス」と呼ばれた大阪市バスと「青バス」と呼ばれた大阪自動車のバスのようです。
古市中団地
川口居留地
大阪通天閣