保存車の世界

保存バスギャラリー

戦前〜終戦後のバス

ここでは、戦前から終戦後のバスの保存車を取り上げます。
当然その数は多くありませんが、奇しくも残されていた物、或いは当時の姿に近づけて復元された車両などが見られます。

復元保存車
横川

撮影:シンコー様(ひろしまバスまつり会場 2005.9.18)

日本最初の国産バス(レプリカ)
横川

撮影:シンコー様(ひろしまバスまつり会場 2005.9.18)

横川

撮影:旅男K様(横川駅 2006.9.30)

1905(明治38)年に広島県の横川−可部間に開業した乗合自動車を、1枚の写真を元に忠実に復元したもの。12人乗りの木製ボディを持ち、運転台は最前部にオープンになっています。馬車や初期の電車とも共通性のある二重屋根の美しい木造車体で、オリジナル車は大手メーカーの日本車輌製であったとのことです。
2004年に完成し、横川駅前のガラス張りの建物の中に保存されています。
地元のイベントの際には外に出てくることもあるようですが、エンジンはあるものの、公道での自走はできません。

保存車(円太郎バス)
円太郎バス

撮影:トヨタ博物館企画展(2012.1.8)

元東京市営 フォードTT(1924年式)

1923年の関東大震災で被災した東京市電の代替に、アメリカのフォード社から800台もの車両を輸入して運行されたもので、「円太郎バス」と呼ばれます。現在の都バスの起源であり、バスが大量輸送を行うきっかけとなったという意味で重要な車両です。
なお、この車両はフォードT型1.5トントラックシャーシに簡易ボディを架装したもので、家畜輸送用ボディが原型だそうです。
2008年に国内最古のバスとして、日本機械学会の「2008年度機械遺産」に認定されました。現在、鉄道博物館で所蔵されていますが非公開。写真は、トヨタ博物館の企画展に貸し出されたときのもの。

保存車(国鉄バス第1号車)
TGE

撮影:リニア・鉄道館(2012.1.8)

鉄道省 東京瓦斯電気工業MA型(1930年式)

「国鉄バス第1号車」として保存されている最初期の国産バス。鉄道省が岡崎〜多治見間に初めてバスを運行したときの7台のうちの1台。
東京瓦斯電気工業(日野自動車の前身)の製造で、国産品使用を奨励するという国策に基づいてユーザー主導で作られたもの。鉄道省向けであったためにここまで大型で高級仕様になっていますが、当時の一般的なバスはもっと簡素なものでした。
1969年指定の鉄道記念物。

保存車
スミダM型バス

撮影:いすゞプラザ(2018.1.13)

スミダM型バス(1932年式)

いすゞ自動車の前身である石川島自動車製作所が製造したバスをいすゞ自動車が復元し、2011年の東京モーターショーで展示の後、いすゞプラザで保存しています。実走可能だそうです。
日本で最初の国産バスとして同形車が作られたのが1929(昭和4)年ですが、この車両は1932(昭和7)年式とのこと。
経済産業省の「近代化産業遺産」に認定されています。

復元保存車
木炭バス

撮影:five thousand様(福島県立博物館 2009.9.20)

いすゞ木炭バス(レプリカ)
木炭バス

撮影:five thousand様(福島県立博物館 2009.9.20)

福島県立博物館で福島の歴史を辿るタイムトンネルのような展示コーナーにある1/1スケール模型。多少縦に長い感じはしますが、戦時中のバスの形状が正確に復元されているのに驚かされます。
解説板によると、省営自動車(国鉄バス)福浪線(福島−浪江)で使用されていた木炭バスだそうです。「いすゞA型(小型車)」とありますが、A型が何を示すのかはよく分かりません。車体には動輪マークやA10011という番号、「福島行」の札、ナンバープレートなどがついており、元になった実物があったことをうかがわせます。
(注1)

保存車
80

撮影:日本自動車博物館(2005.3.20)

日本自動車博物館 日産80(1939年式)

ボンネットバスとキャブオーバーバスの合いの子とも言えるセミキャブ型。日産80型はトラックシャーシ(90型がバスシャーシ)だそうですが、これは病院車に使われるためバスボディを架装したということです。後面に開き戸がありますが、非常口ではなく、担架を出し入れする扉のようです。

代燃バス「三太号」
三太号

撮影:小野澤正彦様(厚木営業所 2011.7.3)

神奈川中央交通 トヨタFS(1950年式)
三太号

撮影:小野澤正彦様(厚木営業所 2011.7.3)

神奈川中央交通が1981年に創立60周年を記念して復元した代燃バス。
1950年式のトヨタFS型消防車のシャーシと、国鉄新橋工場製ボンネットバスの廃車体とを組み合わせ、新製した薪ガス発生炉を取付けたもの。現存する代燃バスの保存車の中では、最もその時代の実物に近いと言える車両です。
イベントなどに顔を出していましたが、エンジン等の老朽化により出番が減り、現在では車庫内で保管されている状態です。写真は、同社の90周年イベントで久々に顔を見せたときの姿。

薪バス「まき太郎」
まき太郎

撮影:小野澤正彦様(ニセコ町 2010.8.22)

北海道中央バス トヨタ
まき太郎

撮影:旅男K様(ニセコ町 2005.9.24)

北海道中央バスが1992年に創立50周年を機に復元した薪バス。
タネ車は廃車になっていたトヨタのガソリンエンジンの電源車で、消防車のボンネットや呉羽製のリアエンジンバスのリア面などを組み合わせて手作りしたとのこと。客室部分のボディは、尾張車体のように見受けられます。
後部の薪ガス発生装置は当時の資料を基に完全手作りをしたそうです。なお、カラーデザインは終戦後の自社カラーだそうです。当時の完全な復元ではありませんが、それらしい雰囲気を出しています。
北海道中央バスが所有していますが、自家用登録で、イベント時などに無料バスとして運行されます。 (注2)

薪バス「もくちゃん」
FC80

撮影:小野澤正彦様(日本海クラシックカーレビュー会場 2009.9.6)

大町エネルギー博物館 トヨタFC80

終戦後に製造された薪瓦斯発生炉(1950年製)を活用し、エネルギーの歴史を後世に伝える目的で復元された保存車。薪バスは、戦中から戦後にかけてガソリン不足を補うために制作されたもの。
バスそのものはトヨタ消防車(FC80)のシャーシと日野中型バス(RM100)のボディを組み合わせて製作されています。ボンネットはトヨタ車のものをそのまま使用しているため,特徴ある形状がそのままです。車体は薪バスにしては近代的ですが,帝国車体でボンネットバスを製造した実例もあるため,それほどの違和感は感じません。
薪のほかガソリンでも走行でき,自家用登録されてイベント運行にも使用されています。

過去の保存車

保存車
フォード

撮影:小野澤正彦様(湯平温泉 2009.11.28)

フォード1929年式(レプリカ)

1986年の松竹映画「キネマの天地」で使用されたという昭和初期のフォードです。グリル部分は本物のようですが、運転席部分など作り物然とした部分もあります。
説明書きによると、昭和初期には湯布院〜別府間を同型車が運行されたとのこと。
九州自動車博物館で展示されていましたが、2009年に湯平温泉観光協会へ寄贈され、屋内展示されました。
(ストリートビューによると、2013年時点で存在せず)

(注1) 福島県立博物館の木炭バスのレプリカ作成のプロセスについては、「小さなプロジェクトX・・・特殊技能集団 菊地組」ブログ(現在リンク切れ)に詳細に記述されていた。
(注2) 「まき太郎」のシャーシやボディの出自は、鉄道ジャーナル93-1「バスコーナー」、年鑑バスラマ2003−2004の記述などを基にした。
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80s岩手県のバス“その頃”