広汎復刻
復刻カラーがイベントや限定車両でなく、広範囲の車両に対して展開された例もあります。標準カラーを過去カラーに戻した事例、特定の用途の車両について復刻カラーを標準とする事例などが見られます。ここでは、これらを広汎復刻カラー車両と位置付けて、限定復刻とは区別して掲載します。
広汎復刻
島原鉄道
スリーレッドライン(2003年〜)
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撮影:島鉄BT(2018.10.15)
島原鉄道 日野KL-HR1JNEE
島原鉄道では、2003年に新車導入したノンステップバスから、1970年代まで採用されていたカラーデザインに戻しました。同社では、スリーレッドラインと呼称しています。
当初の意図は不明ですが、結果的にすべてのバスがこのカラーデザインに戻されました。
秋北バス
旧塗装車(2008年〜)
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撮影:左党89号様(鷹巣駐車場 2014.6.22)
秋北バス いすゞU-LR332J(1995年式)
2008年に創業65周年を記念して、中古車2台を旧カラーに塗装しました。この時点でまだ旧塗装車が残存していたので、復刻とは言えないかも知れません。その後の国際興業以外からの中古車にもこの塗装を採用しており、実質的に旧カラーに戻ったということのようです。
全但バス
復刻カラー(2011年〜)
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撮影:播磨観光タクシー様(出石車庫 2016.8.24)
全但バス 日野LJG-HU8JLGP(2011年式)
全但バスでは、2011年以降に導入したハイブリッドバスについて、1970年代までの濃緑色の旧カラーに塗装しました。アニバーサリーとは関係なく、低公害車両のカラーデザインを区別したという事例です。
しずてつジャストライン
しずてつジャストラインでは、2019年の静鉄グループ100周年を前に複数の復刻カラーを登場させていますが、その後、かなりの台数に波及しているため、記念復刻ではなく広汎復刻のページに掲載します。
銀バス(2011年〜)
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撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン 日野LJG-HU8JLGP(2011年式)
しずてつジャストラインが復刻カラーを連発する前、2011年に導入されたハイブリッドバスに採用された銀バスカラー。窓下の青帯が、前面のライトを避けたことで、偶然か意図的か昔日のライン形状を再現した結果となっています。
旧貸切・急行カラー(2015年〜)
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撮影:静岡駅(2024.1.1)
しずてつジャストライン いすゞQRG-LV290Q1(2016年式)
静鉄では、2015年の新車から復刻カラーを積極的に導入しています。
赤系のこのカラーリングは、かつての貸切バスや長距離バスのカラーです。1953(昭和28)年に採用されたデザインだそうです。
旧路線カラー(2015年〜)
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撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン 三菱QKG-MP38FM(2016年式)
緑系のカラーリングは、近距離路線バスのカラーで、1948(昭和23)〜1969年の間に採用されたもの。
銀バス(2016年〜)
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撮影:静岡駅(2017.3.19)
しずてつジャストライン いすゞQPG-LV290Q1(2016年式)
銀色地に青いラインが入った1970年代カラー(1969〜79年に採用)を復刻。当時の「静岡鉄道」ロゴが入ります。
赤バス(2018年〜)
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撮影:静岡駅(2024.1.1)
しずてつジャストライン 三菱2PG-MP38FM(2022年式)
しずてつジャストラインでは、2018年に複数の復刻カラーが追加されますが、1980年に採用された「赤バス」も新たに加わりました。縦の赤いラインは前後ドアを前提にデザインされているので、後ろの部分には違和感があります。
なお、復刻時点では、このカラーのオリジナル車両は現役でした。
旧貸切カラー(2018年〜)
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撮影:静岡駅(2024.1.12)
しずてつジャストライン 日野2TG-RU1ASDA(2019年式)
静岡鉄道のかつての貸切カラーを復刻。1970年代に用いられていたデザインで、窓周りがエンジ色です。
創立100周年を記念して県内高速車両に採用されたカラーで、台数は多くないようです。
旧貸切カラー(2018年〜)
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撮影:静岡駅(2024.1.1)
しずてつジャストライン 三菱2TG-MS06GP(2020年式)
静岡鉄道の旧貸切カラーを復刻。1980年代にセミデッカーなどに用いられていたデザイン。その後、スケルトンタイプのバスになると、現在も県内高速バスに使われているゴールドのラインが入ったデザインになります。それと比べると、ちょっと物足りない気もしてしまいます。
最初の車両は前面塗り分けも復刻していましたが、2019年のモデルチェンジ車からヒゲ部分を赤く塗りオリジナルデザインに。その後も増備され、今では県内高速の標準カラーのようになっています。
十和田観光電鉄
鉄道代替バス(2012年〜)
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撮影:左党89号様(三本木営業所 2014.6.21)
十和田観光電鉄 いすゞP-LV314K(1989年式)
2012年に十和田観光電鉄の鉄道廃止に伴う代替バスとして導入した中古車が、旧カラーを採用しています。この時点で元々の旧カラー車は残存していました。また、このカラーになったのは、鉄道代替バスのみです。
鉄道車両がこれとよく似たカラーであったからなのかもしれませんが、粋な計らいです。
一畑バス
青バス(2012年〜)
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撮影:出雲市駅(2016.5.28)
一畑バス いすゞQPG-LV234N3(2014年式)
一畑バスでは、100周年を記念して、2012年4月よりかつての「青バス」を復刻した車両をデビューさせました。このカラーは、1980年代まで採用され、2000年3月まで使用されていたとのことです。
なお、その後の新車にもこのカラーが使われています。かつてのカラーの評判がよく、継続的に採用されるというのは、島原鉄道に続く事例です。
頸北観光バス
復刻カラー
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撮影:本社営業所(2016.9.3)
頸北観光バス いすゞKL-LV280L1(2001年式)
頸北観光バスでは、中古車両に、頸城グループの旧カラーを採用しています。
北陸鉄道
高速バス(2015年〜)
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撮影:金沢駅(2022.7.30)
北陸鉄道 三菱2TG-MS06GP(2020年式)
復刻カラーと言えるかどうかは分かりませんが、一旦新塗装に移行したものが旧塗装に戻ったということで、ここに含めます。
北陸鉄道では、2000年に路線バスを新デザインに移行し、2008年から高速バスも同じカラーになっていましたが、2015年の新車から高速バスのみ旧カラーをまとうようになりました。
北海道の阿寒バスと似たような事例です。
阿寒バス
丹頂鶴カラー(2016年〜)
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撮影:釧オロ様(本社 2017.9)
阿寒バス 三菱KL-MS86MP(2001年式)
阿寒バスでは、路線や用途ごとに色々なカラーが存在していましたが、伝統的な丹頂鶴カラーをリファインし、2016年より路線バスや中距離バスに採用しました。この時点で旧カラーは現存していましたので、厳密には復刻カラーではありません。
旧カラーでは前面まで回り込んでいた丹頂鶴が側面で完結するようになり、車体裾の英語も省略されています。
祐徳自動車
復刻カラー(2016年〜)
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撮影:佐賀駅(2016.11.5)
祐徳自動車 日野SDG-KR290J1(2016年式)
祐徳バスでは、2016年の新車から、旧カラーを採用しました。屋根上が赤色ですが、この部分は本物の旧カラーとは異なります。
その後、在来車もこのカラーに塗り替えを進めているようです。
ジェイアール北海道バス
国鉄バスカラー(2023年〜)
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撮影:釧オロ様(札幌駅 2023-7-16)
JR北海道バス いすゞQTG-RU1ASCJ(2016年式)
JR北海道バスが高速「おたる号」の標準カラーとして2023年から採用した国鉄バスの高速バスカラー。
北海道では民営化当初から独自カラーを採用しており、このカラーを自社採用するのは初めてです。現在JR各社では車種や時代の変化で細部の塗り分けには細かい差異が生じていますが、今回の塗り分けはJRバス関東と共通しているようです。