その頃
のびぞう 「ノラざえもん! またジャイアントにいじめられちゃったよ。何かジャイアントを懲らしめるものを出してよ」
ノラざえもん 「のびぞう君、またいじめられたのか。しょうがないな。じゃあ・・・♣ライフル銃!」
のびぞう 「何ストレートなもの出してんだよ。こんな物持ち出したら、人殺しになっちゃうよ」
ノラざえもん 「なんだ・・・早く結果が出るほうがいいかと思ったんだ」
のびぞう 「ジャイアントが死んだとしても、ボクが少年院に入るんじゃあ、元も子もないでしょ」
ノラざえもん 「じゃあ・・・♣実現遺書!」
のびぞう 「それ、ただのレターセットじゃん」
ノラざえもん 「いやいやいや、そんなわけないさ。これに遺書を書くと、記名人がその通りの死に方をするんだよ」
のびぞう 「信じられないな」
ノラざえもん 「じゃあ、ちょっと試してみよう。ちょっと書くもの持ってきて」
のびぞう 「これでいい?」
ノラざえもん 「うん。そのペンで、この便箋に『いじめを苦にしてライフル自殺します』って書いてみ」
のびぞう 「ほいほい。書いた」
ノラざえもん 「次にこの便箋の記名欄に『のびぞう』って書いて」
のびぞう 「ほいほい。書いた」
ノラざえもん 「その封筒に便箋を入れて、はがれないように糊付けして」
のびぞう 「ほいほい。糊をしっかり塗ってと・・・おい! それじゃボクが死んじゃうじゃないか」
ノラざえもん 「大丈夫大丈夫。そのあとでちゃんと♣解凍棺桶!に入れて生き返らせてあげるから。死んでる姿は証拠写真で見せてあげる」
のびぞう 「やだよ。一瞬だって死ぬのはいやだよ」
ノラざえもん 「いつもながらわがままだなあ。そいじゃあ、♣おサンポ死神!」
のびぞう 「うわっ。気味悪!」
ノラざえもん 「この死神のお散歩コースをのびぞう君が設定するんだ。お散歩中に同じ人に何度も会うと、4回会った人が死ぬ」
のびぞう 「よし、ジャイアントの家の周りを散歩させよう」
ノラざえもん 「ちょっと待って。ジャイアントの家はお豆腐屋さんだろ。のびぞう君のお母さんも買いに行くんじゃない?」
のびぞう 「本当だ。じゃあ、いつも野球やってるグランド」
ノラざえもん 「そこはのびぞう君だって行くじゃない」
のびぞう 「本当だ。じゃあ、この部屋にジャイアントを4回呼んで、死神に会せよう」
ノラざえもん 「4回呼ぶ前に、のびぞう君が4回会っちゃって死んじゃうんだろうな」
のびぞう 「使用者特権はないのかい?」
ノラざえもん 「使用者はボクだからね」
のびぞう 「もう、ボクはどうすればいいんだ」
ノラざえもん 「このライフル銃の弾を抜いておくから、これ持ってってジャイアントを脅してくるというくらいのジャブなら、のびぞう君でもできるだろ」
のびぞう 「分かった。それやってみるよ。行ってくる」
ノラざえもん 「本当に世話が焼けるな。さあて、うっとうしいのがいなくなったから、疲れたし昼寝でもするかな。ゴロンっと」
ズドン!
ノラざえもん 「アレ? 何の音だ? しまった。抜いたはずの弾が1個少ない。ライフルに1個残ってたんだ。 ア! さっき糊を付けた封筒がボクの下で密封されてる」
岩手県のバス“その頃”