路地裏の散歩者
Webニュースの知能程度
Webニュースといえば、誤字脱字はもちろん、テレビやSNSで見聞きしたものをただ書き連ねるなどの安易なものが多いが、一般人は、それをそのまま信じ込んでしまうから、間違った世論が次々と広がって行く原因となっている。
ここでは、そんなWebニュースの一端をご覧いただく。
お題はこちら
画像:那須優子(2024.3.21 アサ芸プラス)
まず、今回のお題はこちら。
原文へのリンクを張っておくけれど、多分そのうち消えてしまうだろうから、全文コピーも貼っておく。
アサ芸プラスの記事(2024年3月26日閲覧)
アサ芸プラスの記事の全文コピー
問題提起
画像:那須優子(2024.3.21 アサ芸プラス)
この人が問題提起しているのは、以下の3点。
- JR東日本は、「みどりの窓口」を2025年までに7割削減する。
- 仙台駅では、2階の「みどりの窓口」を4/3〜10のうち平日の6日間を「受付番号制」にする。
- さらに、状況によっては営業終了時刻よりも前に受付を終了する場合もある。
批判
画像:那須優子(2024.3.21 アサ芸プラス)
そして、それぞれの論点について、以下のように批判している。
- 窓口を削減した代わりにモバイルsuicaやネット予約、自動販売機は受け皿になっていない。また、証明書が必要なきっぷは、窓口のみの取扱いである。外国人や高齢者などは販売機の操作が難しい。
- 政令都市の仙台市でさえ、仙台駅の4か所を含む3駅にしか窓口がない。なので、入学シーズンに窓口業務がパンクする。
- 繁忙期に営業時間を延長するどころか、営業時間前に受付終了するとは、殿様商売である。
結論
画像:那須優子氏(2024.3.21 アサ芸プラス)
最後に、JR西日本の金沢駅の例を出しながら(SNS情報らしい)、下記の結論を出している。
- 紙の証明書の確認というアナログ性を残しながらの合理化が原因である。
- 4月と盆暮れぐらい窓口の増設をしてほしい。
私の見解
那須氏の論点の一部は正しい側面もある。
問題提起の「窓口削減」から結論の「アナログ性を残しての合理化が原因」につながる部分や、「繁忙期に窓口増設」にも、半分くらい同意する。
しかし、この文章の題名では、大々的に「事前受付」を批判しているのだ。にもかかわらず、それについての腰を据えた批判記事が見つからない。題名でこれだけ煽ったんだから、しっかり議論して答えを出してほしい。
また、営業時間前に受付を終了する点についても、「殿様商売」とレッテルを貼っただけで、これも結論を出していない。
そこで、私が那須氏の論じることを6点に分けて、詳細を考えてみよう。
画像:那須優子(2024.3.21 アサ芸プラス)
- 受付番号を配らざるをえない異常事態・・・受付番号制は非常に合理的。列に並ぶ必要がない。番号札の順番が来そうな時間まで、どこかに座っていられるし、お茶飲んでてもいい。郵便局だって銀行だってやっている。
- モバイル等が受け皿になっているわけでもない・・・その根拠はどこに? かなりの人が便利に利用しているのでは? ただし、それが利用しづらい層があり、きっぷの種類によっては利用できないのは事実。
- 証明書の提示が必要なきっぷは窓口扱いのみ・・・ひとり親世帯についてはおっしゃる通り。しかし、通学定期券は、2023年3月18日からモバイルsuicaで購入可能になり、2024年3月16日から親のクレジットカードで決済できるようになっている。
JR東日本ニュースリリース(2023年1月25日)
JR東日本ニュースリリース(2023年12月18日)
障害者割引についても、2023年3月18日から「話せる指定券券売機」で購入可能になり、2024年2月26日から「えきねっと」で購入可能になっている。
JR東日本ニュースリリース(2022年12月22日)
JR東日本ニュースリリース(2024年2月20日) - モバイルsuicaもアプリからの事前予約が必要・・・何が問題なんだろう? アプリで予約できれば便利だと思うが・・・
- 政令都市の仙台市にも窓口が3駅6か所しかない・・・窓口の数の多い少ないは、何をもって判断するのだろう。JRには駅があるからその数だけ窓口を置けばいいという前提か。
また中小企業が「人員不足で事業所を閉鎖せざるを得ない」と表明した時、アサ芸は批判し続けるのか。「アマゾンや楽天はネットだけでなく、高齢者や弱者のために店舗販売せよ」と批判しないのはなぜなのか。 - 営業時間前に受付終了する・・・営業時間前の受付終了は、「営業時間前に窓口終了」ではない。受付人数によっては、営業時間を大幅に超えてしまう可能性があるから、番号札の配布を早めに終える。携帯電話ショップだって歯医者さんだって、事前受付制で、営業時間内に終了しない分は受け付けない。