特別快速リアス登場 −国鉄のささやかな逆襲−(1985.3.14)

1985年のダイヤ改正
特別快速リアス登場 このダイヤ改正の目的は、東北新幹線にいかに多くの乗客を乗せるか、という事につきるのかも知れません。 幹線バスに対抗するには心もとない「リアス」や「八幡平」の新設の一方で、若年層に人気のあった快速「くりこま」を廃止するその方向性は、当時一人の乗客としては納得が行きませんでしたが、そう考えれば分かる気がします。
1985年3月14日のダイヤ改正は、東北新幹線の上野直結と速達形列車(通称「スーパーやまびこ」)の新設により、北東北の輸送体系見直しに重点が置かれました。
山田線には特別快速「リアス」が新設されました。山田線は、交換設備の廃止など合理化による本数削減と、1978年に岩手県北バスが運行を開始した「106急行」の影響などから凋落の一途を辿っていました。新幹線の大宮暫定開業の1982年には急行列車の運行も廃止し、都市間輸送からは完全に撤退した形になっていました。
そういった対比の中、今回のダイヤ改正では、盛岡と宮古を直結に近い形で結ぶ特別快速「リアス」を登場させたのでした。もっとも、1日1往復の運転で、車両は普通列車と変わらない車両で、とても「106急行」への宣戦布告には程遠い状態ではありました。

岩手山を車窓に望みながら北上川を渡る山田線の特別快速「リアス」。カーブをひとつ曲がれば、やがて盛岡駅に到着です。
この日はGWのせいか長い4両編成でしたが、当初は1両で走る姿も見かけました。

特別快速「リアス」
特別快速リアス

撮影:盛岡−上盛岡(1985.4.29)

一方、花輪線には快速「八幡平」が運転されました。これも、高速バス「みちのく号」(盛岡−大館間)に対抗しての設定ですが、やはりさえない印象を受けるのは「リアス」のケースと同じです。

快速「八幡平」
快速八幡平

撮影:渋民−好摩(1985.5.24)

その一方で消えたもの

快速「くりこま」
快速くりこま

撮影:前沢−陸中折居(1984.12.27)

盛岡と仙台をグリーン車つきの電車で結ぶ俊足快速「くりこま」。かつての急行「くりこま」が1982年の東北新幹線開業の際に格下げされた列車です。
普通運賃で乗れる快速は、いつも始発で座れないほどの人気列車でした。しかし、東北新幹線と完全併走することから、この改正で廃止されてしまいました。
もっとも、その需要は数年後に高速バスによって汲み上げられる事になるのですが・・・。

当たり前の話ですが、上野と大宮を結んでいた「新幹線リレー号」もお払い箱となりました。1982年の新幹線大宮暫定開業時に運行開始した「リレー号」ですが、以来この「リレー号」という名前は、新幹線接続の際に各地でよく使われるようになりました。
なお、写真はリレー号の車両が特急「踊り子」に転用されてからのものです。

新幹線リレー号
185系

撮影:川崎−鶴見(1985.4.3)

ダイヤ改正を祝うツール

国鉄のPRチラシ
国鉄パンフ

国鉄の盛岡鉄道管理局が1985年3月14日のダイヤ改正をアピールするために発行したA4サイズのチラシです。東北新幹線上野開業のイメージキャラクターの叶和貴子さんをメインに「和貴子、ワク、ワク。」のキャッチコピー、「時代・瞬感・240」というTHE YAMABIKOの丸いマーク、下のほうに小さく書かれた「時刻革命」の文字。イメージチェンジを狙っていた国鉄の姿勢が読み取れます。
肝心のダイヤ改正のトピックスは裏面に14点が書かれています。盛岡局としてのメインは「新花巻駅、水沢江刺駅誕生」とか「やまびこ号大増発」などになりますが、「4月1日から新幹線・特急列車の指定席に禁煙席が設けられます」の文言には時代を感じました。
なお、本項のメインで取り上げた特別快速「リアス」は13番目のトピックスとして取り上げられ、「従来のバス路線よりスピーディで経済的」と書かれています。

岩手県交通の記念回数券
記念回数券
記念回数券

岩手県交通では、東北新幹線上野開通を記念して、売価1,000円の記念回数券を発行しました。特にエリア内にある新花巻駅と水沢江刺駅の開業を押し出しており、表紙裏面には各駅の地元市長のあいさつまで書かれています。
券片には、上の国鉄チラシにもある「時代・瞬感・240」のマークも登場しています。

ページ上部へ戻る
メニュー

80s岩手県のバス“その頃”