警告看板の部
線路脇の金網に、高架線の橋脚に、ホームの突端に、そしてまた高圧電線の鉄塔に。立ち入り禁止を強く主張する警告看板の新幹線は、表情が豊かです。
侵入系
怒っている0系
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撮影:東京都(2007)
東海道新幹線から山陽新幹線までの沿線広範囲に存在する「あぶない」看板の0系ですが、こんなに恐い顔をすることもないと思います。210km/hでひっぱたいたら、子供は死んでしまいます。
怒っている200系
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撮影:カメやん様(福島県 2008)
上の東海道新幹線の色違いバージョンが東北新幹線にありました。
このデザインの警告看板は、多分国鉄時代に大量に作られたようで、2種類を合わせると東北から山口までかなり広範囲に分布していることが報告されています。
カメラ小僧と200系
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撮影:カメやん様(宮城県 2008)
東北新幹線宮城、福島両県で見られるという警告看板。線路に入った田舎少年が新幹線にびっくりして靴が脱げてしまっているという瞬間を捉えた絵ですが、上のほうにカメラが飛んでいるのが見えますので、少年の目的は撮影だったようです。
下のほうに同じような頭の友達が手を差し伸べています。
冗談じゃないよの0系
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撮影:広島県(2016)
ホームの端につけられた看板です。右上には0系が仁王立ちして赤い右手を差し出しています。
1970年代にはこのように0系の顔を擬人化する例が数多く見られました。リフレッシュ工事のときの工具を持った0系や日本食堂のコック帽をかぶった0系が思い出されます。
いじめられている200系
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撮影:左党89号様(岩手県 2007)
石を投げつけられて「ひゃあ〜」と言っている200系の看板です。危険看板の一つですが、こういう弱そうな相手を見ると、わざといじめてやろうと思い立つ人もいるので注意が必要です。
口の形がペコちゃんの舌と同じようにも見えますが、状況から考えて舌なめずりではなく「ひゃあ〜」に軍配が上がると思います。
釣り目のシャークノーズ200系
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撮影:埼玉県(2021)
上越新幹線の線路への侵入を禁止する100系スタイルの200系。全身が緑色で、スカートが紫色という熱帯の昆虫のような色合いで、釣り目を更に吊り上げて威嚇しています。
鉄道警察隊が設置したものなので、1987年の民営化後のものであることは間違いありません。
柵と手錠と700と
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撮影:東京都(2008)
イラスト系が多かった警告看板の中では斬新なピクトグラム系。文字は最小限にとどめられており、二つの絵によって敷地に無断侵入するのは犯罪であることが分かりやすく説明されています。
車両もこの手の看板では初登板の700系です。
箪笥と手錠とごみ捨てと(参考掲載)
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撮影:静岡県(2014)
新幹線車両が出てきませんが、「柵と手錠と700と」のバリエーションが発見されましたので、参考掲載します。
こちらは、ごみを捨てると罰せられるという趣旨の看板。箪笥やパソコンの絵も描かれており、こういうものを新幹線高架下に捨てる輩もいるのだということが分かります。
目が怖い200系
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撮影:宮城県(2012)
ヤブの間に大きな手のひらを伸ばす新幹線の看板。
「物を置くな!!」と言っています。大きくする文字を選ばないと「物置」という逆の意味に取られかねません。
それはさておき、数ある警告看板の中では指折りの気味の悪い表情をした新幹線です。私が子供なら、この看板の近くに物を置こうとは思いません。夜になって物を取りにいくのもちょっと怖いです。
帽子と靴が青いので0系に見えますが、腕と短いスカートが緑色なので200系。
E2系の警告看板
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撮影:左党89号様(仙台駅 2023.1.5)
仙台駅でスーツケースをひく人たちに睨みを利かすE2系。
JR東日本のあらゆる新幹線で活躍したE2系ですが、車種統一のため上越新幹線から意外に早く引退したため、2023年時点では東北新幹線に残るのみとなっています。
凧揚げ系
困っている0系
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撮影:京都府(2007)
新幹線の近くで凧を上げると電線に当たって危ないですよ、という看板。パンタグラフは新幹線電車から離れて凧に跳躍しています。
ゲイラカイトと0系電車。1970年代チックな取り合わせ。少年のシャツの「T」の字の理由は不明です。
0系の怒りに負けない子供
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撮影:愛知県(2008)
警告看板の名古屋地区バージョンを発見しました。
まずは馬のように歯をむき出して怒りを表現する0系、次はスーパージョッキーのミサイルのように怒る0系です。しかし目が死んだ少年は、そんな怒りをものともせず同じ姿勢で凧揚げを続けています。
消え行く0系
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撮影:東京都(2008)
新幹線高架に描かれた「たこあげはやめようね」という壁画ですが、長年の風雪に耐えてきた結果、修復不可能なほど退色してきています。上のほうに新幹線電車0系が描かれていますが、窓周りのブルーが完全に見えなくなっています。
黄色い野球帽を後ろ向きにかぶった少年の分厚い唇も気になりますが、やはり5つも描かれた凧のすべてがゲイラカイトであるということに注目すべきでしょう。
凧くんと0系
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撮影:東京都(2008)
ブルー1色でデザインされたアートポスターのような危険看板。新幹線総局作成なので、どんなに新しくても1987年ですが、古さを感じさせません。
内容も、凧そのものに責任を負わせ、凧を上げている子供には何の責任もないという姿勢を明確にしているあたりは、親にも気を遣う80年代チックな発想が見て取れます。
新幹線0系が凧に対して出している親指ポーズの意味は分かりません。
ゲイラカイトと200系
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撮影:栃木県(2007)
東北新幹線に見られる「キケン凧」看板は嬉しいことに200系。開業当初のものでしょうか、かなり退色が進んでいます。
凧はやはりゲイラカイト。ゲイラカイトと新幹線の不思議な関係は続きます。
ゲイラカイトとE3系
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撮影:栃木県(2007)
上の200系のリニューアルバージョンは秋田新幹線「こまち」のE3系が描かれました。側面の塗り分けが違うという指摘はナシです。こういう緩さがないと、看板の新幹線は面白くありません。
それにしても、高架の形状からゲイラカイトまで、車両以外はほとんど旧バージョンの焼き直しです。
解離性同一性障害(二重人格)
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撮影:カメやん様(福島県 2008)
警告看板の多くはイラストをメインに据えて端的に理解できるようなデザインにすることが多いのですが、これは二つのイラストを使い長めの文章で効果的に訴えるという形式を採用した珍しい警告看板。高圧の架線にビニルや凧が巻きつくと列車が長時間ストップし、多くの利用者が待たされて迷惑がかかるので、沿線の皆さんは気をつけてくださいね、ということが書いてあります。
この趣旨をきちんと読んで納得してくれる人なら、線路脇でキケンな遊びはしないでしょう。
しかし、私が着目するのは、むしろ看板に描かれた2つの200系新幹線の大きな落差です。上の200系は凧に驚いて両手を振りかざし、大きな口をあけて汗(涙?)を浮かべた大げさな表情です。一方下の200系はホームに静かに停車し、一切無表情に乗客を待たせています。
この看板は、200系の二重人格についてもさりげなく触れている奥の深い看板と解釈しました。
こんなに取り乱してどうする
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撮影:群馬県(2009)
ゲイラカイトだけでなく、風船やビニルシートやらが全員悪意に満ちた表情で架線にまとわりついています。よく見れば、汗と涙を飛び散らせて歯をむき出しにしているのは200系でした。
ここまでいたぶられ、また本人も取り乱している警告看板は初めて見ました。日本が世界に誇る安全神話を持つ新幹線のことですから、もっと強い人なのだと思っていました。幻滅です。
なお、この看板は新幹線ではなく、田園地帯の在来線にありました。
鉄塔系
国鉄の鉄塔0系
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撮影:キュービック様(神奈川県 2011)
今となってはかなりの希少価値があると思われる「日本国有鉄道」の鉄塔看板です。
JRバージョンと基本配置は同じですが、子供の顔やポーズは赤塚不二夫系の完成されたキャラクターで、その後のJR版での退化が証明されました。
0系の窓周りはなぜか白色ですが、これは子供の半ズボンとともに青色が退色した結果と想像します。
鉄塔の0系
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撮影:神奈川県(2011)
JRが所有する自前の高圧電線の鉄塔に付けられた警告看板です。やはり基本は0系バージョンでした。
0系の下に薄くJR東日本と書いてあり、JR東日本も当初は東海道新幹線沿線では青色の0系をモチーフにしていたことが分かります。
なお、これと反対側の看板はもっと新しいもので、車両も200系に変わっていました。
鉄塔の200系
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撮影:東京都(2008)
JR東日本の鉄塔看板。鉄塔に登ると感電するので危ないという警告を主体に、右下に200系が描かれていてJR東日本のアイデンティティを強調しています。
鉄塔の300系
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撮影:神奈川県(2008)
上のJR東日本と基本デザインは同じですが、JR東海所有の鉄塔には300系が描かれています。
鉄塔のJR東日本300系
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撮影:東京都(2021)
JR東日本の鉄塔に300系を発見。これで、鉄塔看板の3車種に、青と緑の両方が存在することが明らかになりました。
看板を作成した業者さん、これを取り付けることを承認したJR東日本の発電担当の責任者様、その英断に感謝します。
鉄塔の700系
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撮影:神奈川県(2008)
JR東海の最新バージョンは700系。基本デザインを変えることなくここまで続けていただけるのなら、次はN700系を期待します。子供もちょっと成長していたりすると面白いかもしれません。
鉄塔のJR東日本700系
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撮影:神奈川県(2018)
JR東日本の鉄塔看板に、緑色のラインの700系を発見しました。
やはり日本が誇る新幹線は、会社の違いに左右されずに、ホワイトベースにラインカラーを巻いたカラーリングで進化して行ってほしい、という日本国民の希望が込められた看板です。
ミニ新幹線の踏切系
踏切の400系
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撮影:カメやん様(山形県 2008)
通称“山形新幹線”の奥羽本線は法律上は在来線なので踏切があります。けれど、やはり新幹線車両が通るということで特別に強調された標識が見られます。
こちらは登場時の400系をイラスト化した警戒看板。警笛を鳴らしている感じが表現されています。
踏切の400系
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撮影:カメやん様(山形県 2008)
通常の道路標識と同じ形をしていますが、絵は上と同じ400系で、ほのかに緑色の着色もされています。なお、同じ山形新幹線の踏切にも、下のように通常の蒸気機関車バージョンや電車バージョンもあります。新幹線が走ってくるのに蒸気機関車のマークというのもミスマッチです。
踏切の400系
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撮影:山形県(2018)
400系の写真が貼って「山形新幹線の踏切」を強調した看板で、JR東日本作成のもの。
ちなみに、東北地方ではほかに「電」をアレンジした電車のイラストの看板もよく見かけます。赤い目がちょっと恐いです。
ジャングル坊やとE3系
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撮影:左党89号様(岩手県 2008)
秋田新幹線の踏み切りにある「止」看板にE3系「こまち」のイラスト。その上には謎の子供がまたがっています。
ここに写っている以外にも、この踏切にはいろんな「止れ」看板や注意看板が林立しているようですが、逆に注意が散漫になってしまうのではないかと心配になります。
二つの絵の整理がつかない踏切看板
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撮影:左党89号様(秋田県 2009)
秋田新幹線の秋田〜大曲間は新幹線と在来線(奥羽本線)が単線並列となっているため、どちらのレールも左右両側から列車が来ます。同じ方向から続けて列車が来たり、もちろん両側からすれ違うこともあります。
ということを絵にした看板ですが、手を抜きすぎた絵です。
E3系「こまち」はそこそこの出来ですが、斜め前から見た上の絵の側面をそのまま下の側面イラストに当てはめたので、チョロQのような短い電車になりました。
在来線の485系は正面の写真しかなかったのか、側面の絵は完全な手抜き。下の絵を見ると既に原形をとどめていません。ましてや下の絵の架線の幅は広すぎです。上の絵で描いた架線柱をそのまま架線にしてしまったみたいです。
そもそも、上下の絵の角度を変えたり自動車の色を変える必要があったのでしょうか。・・・などと、文句ばかり言ってみました。
その他
スズメのような0系
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撮影:新潟県(2007)
新幹線から300mの広告看板を禁止する看板です。高架線の上に丸々とした新幹線が描かれています。
新潟なので上越新幹線なのですが、その丸さと青い色から0系に分類します。
アンダーパスのE2系
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撮影:長野県(2021)
この先新幹線をくぐるアンダーパスがあるから気をつけろ、という看板です。
長野新幹線E2系全盛時代に作成したもの。北陸新幹線E7系に代わってからも、急勾配に気を付けることに変りはありません。
(参考掲載)在来線系
「いろどり」の原画を発見
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撮影:長野県(2015)
信越本線安茂里駅に掲げられた警告看板。かなり色あせていますが「よい子はホームで遊ばない」と書いてあり、アラレちゃんと思しき女の子が、特急電車にはねられそうになっています。
恐らく在来線に特急「あさま」が走っていた時代に作られたもの。モデルは189系でしょう。
この怖い顔をした特急電車は、21世紀になってから、地元の団体列車「いろどり」として現実のものとなりました。
総武本線に113系健在

撮影:千葉県(2016)

撮影:千葉県(2016)
千葉駅の地下道からホームに上がる階段の壁に貼られた警告看板。まずは階段から駆け込み乗車をしたら鞄だけが挟まれてしまい、発車した列車に引きずられたところ。次はドアに手を挟まれてしまったところ。目ん玉が飛び出るほど恐怖におののき、駅員さんは赤い旗を振って帽子が飛び上がってしまっています。
描かれている電車は、既に総武本線から引退した113系1000番代。スカ色とかユニットサッシとかが表現されたイラストです。
この電車は、1970年頃から約40年間にわたってこの駅を発着しており、この看板の作成時期は不明。ただし、駅構内の改修工事が行われており、いずれ消える運命かも知れません。