みんなでしあわせになるまつり 2019
宮城県栗原市の六日町通り商店街で、第1回目の「みんなでしあわせになるまつり」が開催されたのは2006年のこと。思えばあれから14年が経っていたのです。
当初は試行錯誤で始まったこのイベントも、六日町通り商店街にレトロな車が並ぶ1日というスタイルが完全に定着したようです。
海和さんが秘かにサルベージし、この日にお披露目されるボンネットバスがあるという誘いに負け、2012年以来7年ぶりに現地を訪れました。
(写真は2019年9月15日撮影)
栗原電鉄カラーのボンネットバスがデビュー
ボンネットバス試乗会の周回路を走って、みちのく風土館に向かって水路の脇を行くボンネットバス。
地元栗原電鉄がかつて運行していたバスのカラーに復刻されています。
山の駅くりこまがオープンしたことで、ボンネットバスの周回コースも山の駅経由に変わっていました。
まつりの会場からは外れていますが、岩ケ崎鶴丸城跡というところをバスはかすめてゆきます。
ボンネットバスの周回コースの見所でもある細い路地を曲がります。
山の駅くりこまを経由するルート変更により、以前と異なり、右折で進入するルートに変わりました。
最も難易度が高いのは、路地の入口の電柱と張り出した屋根を躱すところ。車掌さんは、バスを降りて安全確認。運転士へ左右の安全距離の指示を与えると、次の交差点に向かって走ります。
元栗原電鉄(その後くりはら田園鉄道)の栗駒駅前を行くボンネットバス。
そういえば、Google Mapで「栗駒駅」を地図検索すると、東北新幹線の「くりこま高原駅」にポインタが立ってしまうということに、時代の移ろいを感じてしまいました。
お馴染みの日産ボンネットバスも活躍
まつりではお馴染みになった日産U690も周回運行に活躍します。
幅の広い馬場通りを走るバスの写真は、2006年の時も2012年の時も記録に残しているので、今回もここでの撮影が肝になります。
路肩に駐車して用を済ませても、交通の邪魔にはならないという、車で買い物に来ても便利な広い道路です。
細い路地に入ってゆく、コース内では最大の見せ場。運転手さんの技術が試されます。
ミラーの幅ギリギリの細道を慎重に走ります。
ボンネットバスとの並び2題。
なぜかバスのりばにやってきたピンク色のスバル360。年代的にはボンネットバスとよく似合います。
黒塗りの高級車トヨタセンチュリーは、ボンネットバスと同じように会場で試乗会を実施中。VIPになった気分で、後部座席から手を振ったりできるオプション付き。
みんなに愛されるボンネットバス
ボンネットバスの乗車会は、毎回満席で乗り切れないこともあるほどの人気です。
小さな子供にとっては、階段を下りるのは一苦労。車掌さんの制服を着て千葉県の被災地への募金箱を手にした下河原さんとバス所有者の海和さんが親切にお手伝い。
ボンネットバスが到着すると、子供を撮ろうとするお母さんたちで賑います。
「立って! 座らなくていいから!」
お母さんの思い通りにポーズをとってくれないのが子供です。
「ゆうくん、こっち見て!」
でも、彼の目線の先には、もっと面白いものがあったようです。
賑う六日町商店街
だんご・たい焼きの大手屋さんは、今日はかき氷の暖簾を出して大賑わい。
何せ今日の気温は28度まで上がるということで、午前中の段階で、ちょっと歩いていると汗がにじみ出る気温でした。
重機メーカーのツナギ各サイズを取りそろえるブースも発見。
ワンマンバスの押しボタン展は、子供たちに人気です。
全国から集められた押しボタンは、それぞれ押した時に鳴る音色が異なり、全部押したくなる衝動に駆られます。
上の方のボタンは、お母さんに抱っこされても押したいんです。
女の子だって押したいんです。
演奏会もやってます。
くりこま山車まつりの山車もさりげなく
7月に開催されるくりこま山車まつりの山車(だし)も、商店街の各所に配置され、まつりに彩りを添えています。
飛翔会の山車は、天岩戸をイメージしているのでしょうか。
その前に置かれているのは、赤く輝くホンダZ(1974年式)とホンダステップバン。
親和会の山車は、平安絵巻陰陽師(おんみょうじ)というタイトル。不気味な生き物が煌びやかな中に配置されて、不思議な雰囲気を醸し出します。
もっとも、その前に置かれたベンツのリムジンのほうが存在感を主張していました。
一区協和会の山車は、商店街の西側入り口に配置。ちょうどボンネットバスの停留所のすぐ近くで門番の役割を果たします。
レトロな車が集まった
六日町通り商店街が主会場となり、皆さんが持ち寄った懐かしい自動車が並べられます。
これは西側の入口から眺めたところ。赤い屋根のスバル360から展示が始まります。その前にいるのは黒いスバル360ですが、オープントップになっています。
1966年式の日野コンテッサです。
子供の頃、普通の車と違って「後ろにギザギザがある」ことを不思議に思ったものです。乗用車なのにリアエンジンだからということは、大きくなってから知りました。
1969年式のダットサンサニー。ナンバープレートは、排気量と同じ番号を選択しています。
何気なく置かれた赤い車は、今回の特別展示車両のN600E(1968年式)。軽自動車のN360はよく知られた存在ですが、海外型600cc車の日本向けモデルは、1,500台しか販売されなかったとのこと。熱心に写真を撮ったりメモを取ったりする人の姿も見られました。
右の顔は三菱ランサーセレステ。
木造2階建ての古びた菅原薬舗の前には、水色のトヨペットコロナバン(1973年式)とトヨタカローラレビン(1981年式)がボンネットを開けてお出迎え。
なんかおかしな車がやってきました。
伏見さんによると、ドイツの航空機メーカーが作ったメッサーシュミット(1962年式)という3人乗りの車だそうです。排気量200ccだとか。
暑いのでコックピットの屋根は上げています。
この後、ちゃっかり展示車の列に加わりました。
爽やかな水色のオープンカーは、MPラッフェルという外車だそうです。もともとはイギリス車で、それを復刻した1981年式だとか。
ピンク色のスバル360には、女の子たちも興味津々。
「シートカバーがキティちゃんだよ」
「これにおじさんが乗ってたらキモいよね」
締めのパレード
まつりのフィナーレは、参加者全員が連なって会場を1周するパレードです。
ライトを点灯した桂田さんの重機を先頭にして、つわもの達がぞろぞろとやってきます。
ボンネットバスTSD40が、日産スカイラインの集団を従えてやってきました。
まだお客さんが乗っていますので、周回運行の途中にパレードに巻き込まれてしまい、なし崩しでパレード参加になってしまったという状況のようです。
日産セドリックのハードトップを先頭にした集団。
途中に信号機や交差点があるので、なんだか普通の車もパレードに紛れ込んでしまっているように見えます。
メイン会場の六日町通り商店街だと逆光になるので、私は広い馬場通りの方に移りました。こちらで撮っている人は、私のほかには一人だけでした。
こちらは外国車の一団。先頭はポルシェ911(1972年式)、続くはポルシェ356A(1959年式)、そしてフォルクスワーゲンやフィアットが続きます。日本車とは色味が異なるのが面白いところ。
六日町通り商店街はこんな感じ。
先頭に信号があるのでノロノロ運転になりますが、ギャラリーはたくさんいます。
終わりに
パレードを見守った後は、私も会場を後にします。
朝9時から夕方15時まで開催された「みんなでしあわせになるまつり」は、汗ばむ陽気の中、無事終了しました。
写真は13時ごろの商店街。展示されている車が見えないくらいの通行人であふれていました。ここに来られる機会はそうはありませんが、いつもホッとした気持ちで会場を後にできる、そんなまつりなのでした。