バスカタログ聖地巡礼

ダイハツライトバス(1969)


ダイハツが販売していた小型バスのカタログ。20人以上のサイズをライトバス、15人乗りをマイクロバスと呼称を分けていますが、この時期までどのメーカーも同じような区分でした。


カタログ表紙
ダイハツライトバス

画像:ダイハツ工業カタログ(1969)

ピンク色の衣装と飾りをつけた大勢の女性ダンサーが、非常階段を下りてきて、ダイハツライトバスに乗車するというシチュエーション。こういう場面をカタログ表紙にしようと考えるあたりが、ダイハツたるゆえんでしょう。
NO.7と書かれた倉庫のような建物がどこの物件かは分かりません。

白浜温泉「白南風」(和歌山県)
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ダイハツライトバス

画像:ダイハツ工業カタログ(1969)

表紙をめくった見開きにはこんなインパクトのある写真。会社の慰安旅行でしょうか。ダイハツライトバスに乗って旅館の玄関に乗りつけた男女の御一行。目的地に着いたというのに、バスの窓から不必要に体を乗り出している社員の皆さん。そして待ちきれずにバスを降りて早くも女子社員を口説き始めている茶色のジャケット。
いや、何より一番前でアップになっている課長は、部下よりも自分が目立つことが大事のようです。

ダイハツライトバス

画像:ダイハツ工業カタログ(1969)

背後に見える風景を拡大してみました。
この場所のヒントは高台から見下ろす二重の湾と温泉旅館。瀬戸内海に面した坂のある尾道市かと考えましたが該当地が見つからず。鳥羽にも似た風景があると思って探したが見つからず、最後に見つけたのが和歌山県の南紀白浜でした。
ここは、白浜温泉を一望する場所で、眼下の入り江は白良浜のある鉛山湾。慰安旅行の目的地である聖地は「白南風(しろはえ)」という宿泊施設でした。

白浜温泉

撮影:白浜町(2025.1.24)

聖地に行って、白浜温泉の風景を眺めてみました。地形は当時と変わりませんが、温泉旅館などの建物は、ほとんどが建て替えられています。湾の向こう側で「く」の字に建てられている「白浜荘グランドホテル」はそのままです。これは、ちょうど1968年に新築されたホテルなので、カタログ撮影時にはまだ真新しいホテルだったのでしょう。

白浜温泉

撮影:白浜町(2025.1.24)

聖地の「白南風」ですが、残念ながら数年前に閉館していました。
その入口はこんな急坂になっています。カタログでライトバスが乗り入れているのは、合成写真ではなく、本当の急坂だったのです。
しかし、こんなところにわざわざバスを持ってきてカタログ撮影をしたのはなぜでしょう。「白南風」は以前は企業の保養所だったそうで、ダイハツの職員の皆さんが実際にお世話になっていた保養所をロケに使ったのかも知れません。

ダイハツライトバス

画像:ダイハツ工業カタログ(1969)

こちらは短尺22人乗り。
車内の女性たちに手を差し伸べられたりしながら笑われている男性は、白浜温泉でバスの最後尾から身を乗り出していた人と同一人物でしょうか。

登場人物の今
ダイハツライトバス

撮影:畦道ノスタルヂィ様(土岐市 2016.2.3)

カタログで白浜温泉への慰安旅行に使われていたブルー系のカラーの長尺車です。
「登場人物の今」とは言ったものの、残念ながら撤去済みだそうです。

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