自然の多い土地に住むようになって分かったこと。
秋の晴れた日にはヤツがあらわれる。
貧乏性です。
子供の頃、我が家は外食をしない家で、いわゆる中食ですら、おいしくないからと、母は買いませんでした。
ほぼ毎日家庭料理を食って育ってきたわけですが、
さすがにこんな年になると、外で食うこともあるわけです。
自分で働くようになると、ある程度いいものも食える機会ができるわけです。
しかし、最近の外食ときたら、何でしょうか。
「何これー! すごいうまーい!」
目からウロコのような料理に出くわすことも多いわけです、ある程度以上の金額を払えば。
わたしの外食に対するイメージが低すぎたのか、うまい店の敷居が低くなったのか、
メシに贅沢できるほど自分が裕福になったからなのか。
こんな料理が世の中にある! というか、
自分の舌がこれほど繊細な味まで分かる能力を持っていたことに驚きます。
きっと普段はその能力の60%くらいしか使っていないんだろうなあ……、舌よスマヌ。
で、味に感動する反面、いつも思うことがあります。
「分不相応だよ〜」
ちゃんと料理を食する対価を支払っているわけだから、そんな卑屈な思いを抱く必要はないはずなんですが、
でも、その対価って、やっぱりわたしにとって結構「痛い」もので。
(「げ! お茶とケーキでこれ!? 立派に一食分だよ!」みたいな)
「痛い」ということは「無理」をしているわけで。
やっぱ「分不相応」なのかもしれない……。
家庭料理をひとくち食って、
「ムッ!? このわしにこんな料理を出すとは!」
などと卓袱台をつかみ華麗に海原投げをかますくらいであれば、こんな思いは抱かないんでしょうけど。
多分わたしには一生ムリ……。
そんな「無理」な旅行をしてきました。
「なんにもしないを、しよう」とか「仕事を休んで、わたしに戻る。列車の旅」とかいうキャッチフレーズでおなじみ(なのか)、JR東日本の女性専用パック旅行。
しかし、
この貧乏性に、めったに行かない旅行で「なんにもしない」なんてムリ!!
分かっていたけどさあ〜。
生まれて初めてグリーン車に乗り、すんごい立派なホテルで、うまい料理を食って、
また思ってしまったよ。
「分不相応だよ〜」
唯一、わたしを現実に立ち戻させてくれたのが、
部屋に大量侵入したカメムシどもでした。
山深い自然豊かな場所なものだから、カメムシもでかいでかい。
ヨコスカのカメムシなんて奴等に比べりゃ赤ん坊ですよ。
一晩でざっと15匹くらい捕まえて外へ放り投げた(殺すと間際の一念で例の臭気を発するから)。
優雅な旅のはずが、部屋にたちこめるカメムシの臭い……。
ハエは結局最後まで周囲を飛び続けてたし。
これがわたしの「分相応」か。
そんなのヤダ。
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