ちょっと気になるマンホール蓋|補遺
[幻想と怪奇の地底世界]
(Slightly anxious MANHOLE COVER, SUP.)

-- 2008.06.11 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2008.06.28 改訂

 ■地底世界への誘い

 ★このページは本論(Main-issue)
  ちょっと気になるマンホール蓋(Slightly anxious MANHOLE COVER)
補遺ページ(Supplement-Page)です。


 ようこそ、地底世界へ。遂に「地底世界への扉」を開きましたね!

 私は地底に住む地底人です。貴方(貴女)たちの様な地上人は地底にも人が住んでいるという「事実」を中々信じようとしませんが、現にこうして私を見たら信じない訳には行きますまい。地上人は「百聞は一見に如かず(Seeing is believing)」と言いますからね。
 一方、我々地底人には

    天はマンホール蓋の上に地上人を造り、
      蓋の下に地底人を造り給ふた

という格言が在ります。貴方(貴女)たち地上人が踏み締める大地を我々地底人が下から支えて居るのです。そうで無ければ地表は彼方此方で疾っくに陥没して穴凹だらけです。
 地上人は我々地底人の支えが無いと足の裏が擽ったく成るのです。高い所に行き真下を見た時、足の裏がムズムズした経験がお有りでしょう。あれは高所ムズムズ症と言いますが、「高い所」というのは我々地底人の支えが利かないからなのです。
 マンホール蓋の下に在る地下道は地上と地底をワープ(※1)することが出来る唯一の接続穴、即ちコミュニケーション・ホール(connection hole)です。尤も、迷路の様に成ってるので地上人は良く迷いますね、暗いし。我々地底人は迷うことは有りません、真っ暗でも全然平気です。
 モグラ(※2)やドブネズミ(※3)が居ますね。あれは実は地底からの使者なのです。地上の動向や天体の運行の情報収集をして居ます。貴方(貴女)たちが犬を飼う様に我々地底人もこうした生き物を飼って居るのです。地中のミミズに餌を遣ってるのも地底人であり、地上人が生きて行く上で欠かせない植物の根に日々養分を与えて居るのも地底人です。即ち、地下水の浄化を始め地中で起こる有らゆる種類の化生現象には全て我々地底人が関与して居るのです。
 別に恩を着せる為に言ってるのでは有りませんよ。唯、それが「事実」であると言いたいだけです。まぁ、この様に地上人から見たら地底世界は「幻想と怪奇のワンダーランド」(※4)、吃驚仰天の話で一杯です。そう言えば地上の【エルニーニョの世界】は@想像力のワンダーランド@でしたね。エルニーニョ氏は時々地底世界に遣って来ますよ、あの人は悪魔と契約を結んで居るので地獄や地底世界をワープ出来るのです。おっと、余計な事を喋り過ぎた様ですな。
 それでは、「幻想と怪奇のワンダーランド」へお入り下さい。

 ■幻想と怪奇の地底世界

  ◆マンホール蓋の下に棲むワニ伝説

 「ワニ伝説」をご紹介しましょう。現代という巨大な文明は全てを飲み込むブラックホールにも似て一個人の理解や人智を超えた捉え難い存在として人々に覆い被さり、そこから都市伝説という口コミの奇妙な話がゴミが吐き出されるが如くに尾鰭を付けて膨張して行きます。

 その一つが「都市の下水道には巨大なワニが生息して居る」という話で、人間が飼い切れずにトイレに流したペットの仔ワニが下水道の中で生き延び巨大に成長し増殖したものと説明されます。この話は『アリゲーター』というアメリカ映画にも成り伝説として広く定着しました。ご存知でしたか?

 まぁ、このワニ伝説は1980年頃に日本で流行った「口裂け女」と同じく荒唐無稽な話ですが、それは遡れば「幽霊」という”奇妙な生き物”を創造した人間心理に相通じますね。

 ■モグラは「地底の迷い人」の為り変わり

 これで貴方(貴女)には地底世界に地底人が住んでいるという「事実」を信じて戴けたと私は確信して居ます。でも地上に帰ったらこの事は余り話さない方が良いかも知れませんね。何故ならば、地底旅行(△1)をした経験が無い人に幾ら話しても到底信じて貰えないばかりか、下手したら貴方(貴女)が気狂い扱いされ社会から疎外される確率の方が遥かに高いからです。
 地上では今や宇宙飛行士の数の方が地底旅行経験者よりも圧倒的に多い(=掃いて捨てる程居る)というのが現状です。地球の遠心力の影響の故にか地上人はどうも心が外へばかし向いて拡散し勝ちで、内側を充実させることが足りない様に思えます。だからマンホールの蓋を開けて地底人に向かってウンコをするなどというケツ礼極まりない行為を平気でするのです。実に怪しからないと思います。
                (>_<)

 まぁ、ここに来れたのですから帰りに迷う事は無いと思いますが、迷わない様にして下さいよ。1週間迷った儘で居るとモグラ(※2)にされて仕舞いますよ。実はモグラは皆、過去は「地底の迷い人」だったのです。では、お気を付けて!!

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φ-- 以上 --ψ

【脚注】
※1:ワープ(warp)とは、(「歪(ゆが)み」の意)SFで、空間の歪みを利用して瞬時に目的地に移動すること。

※2:土竜・鼴鼠(もぐら、mole)は、広くは哺乳綱モグラ目(食虫類)、又、その内モグラ科の総称。10数属約30種を含み、日本には4属6種が居る。代表的な種は東日本ではアズマモグラ、西日本ではコウベモグラで、前者は体長10~16cm余り。後者はそれよりはやや大きい。毛色は黒褐色。手は外を向いて、手の平は大きく、頑丈。眼は退化。地中にトンネルを作り、ミミズ昆虫の幼虫を食べ、土を隆起させ、農作物に害を与える。むぐら。うぐら。もぐらもち。うごろもち。田鼠(でんそ)。

※3:溝鼠(どぶねずみ、brown rat)は、ネズミ科の一種。頭胴長20cm、尾長18cm位。類似種のクマネズミと比べると、尾が比較的短く、耳介が小さい。中央アジア原産と言われるが、現在全世界の人家の近く、特に下水溝に生息する。家鼠として害は大きいが、白変種のラットは実験動物として重要。繁殖力が強く、1~8子を年に3~5回出産する。ダイコクネズミはこの畜養品種。七郎鼠。<出典:一部「学研新世紀ビジュアル百科辞典」より>

※4:ワンダーランド(wonderland)とは、不思議の国。御伽の国。







※90:アナクロニズム(anachronism)とは、時代錯誤。時勢に逆行して居ること。

    (以上、出典は主に広辞苑です)

【参考文献】
△1:『地底旅行』(ジュール・ヴェルヌ作、創元SF文庫)。

△2:『アナクロニズム』(種村季弘著、河出文庫)。


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