−− 2006.08.01 エルニーニョ深沢(ElNino Fukazawa)
2006.12.04 改訂
{このページは、元々「私の昆虫アルバム・日本編(My photo album of INSECTS in Japan)」というページの中で全ての昆虫を同一ページに扱っていたのを、数が増えたので06年9月15日に分類学の「目」毎にページ分割し、構成を一新しました。その後は個々の「目」毎に個別に改訂されて居ます。}
甲虫の仲間は昆虫綱コウチュウ目(旧:甲虫目)に分類され、しかも完全変態の昆虫です。
昆虫屋(=昆虫マニア)の多くは蝶と甲虫にのめり込みますが、私は甲虫には然程入れ込みませんでした。それは飛翔する蜻蛉 −特に蜻蜒(ヤンマ)− や蝶を捕虫網で捕獲する瞬間に喜びを感じていたからで、殆ど樹木に止まっている甲虫にはその醍醐味が無かった所為です。しかもマイナーな蝉以下の好感度なのは、蝉は近付けば大抵飛んで逃げるのに、甲虫はそれも無く面白味に欠けていたからです。
甲虫の中では唯一、あの美しい虹色のタマムシ(玉虫)(※1)が榎などの高木の上を飛翔 −その際は大抵ゴマダラチョウも混じって飛翔− して居て、私は飛んで居るタマムシを捕獲するのが楽しみでしたが、今は都会からタマムシを見る機会は激減しました。
<撮影日=06.08.01:撮影場所=大阪市>左は「私の庭」にしてトンボの生息地である淀川左岸入江(都島区毛馬町)で見付けたゴマダラカミキリ(胡麻斑天牛/碁斑天牛)です。
一般にカミキリムシ科の甲虫は鋭い大顎で竹木類を咬み、結髪を元から切る魔力が有ると信じられて来たので和名が髪切虫(かみきりむし)、天牛は中国名です。成虫は木の皮を齧(かじ)り、幼虫は樹木に穴を開け生木に食害を及ぼす為に特にテッポウムシ(鉄砲虫)と呼ばれる嫌われ者です。
ゴマダラカミキリは黒い光沢色の中に白斑が有り無花果(いちじく)・桑・桃・蜜柑などの旨そうな果実の成る木を好み、幼虫は生木の中を食べます。
顎は左右に開閉する鋏の様な構造で、子供の頃はてっきり「紙切虫」だと思っていたので紙を切らせて遊んだことが有ります。すると小さな声で「キーキー」と鳴き乍ら茶色い唾液を出して、紙を切るのです。何かの拍子にこれに咬まれ大変痛い思いをしたことを覚えて居ます。
ゴマダラカミキリは日本では有り触れた甲虫ですが都会で見ることは少なく成りました。
<06.10.13:香川県善通寺市>右は大麻神社境内に居たハンミョウ(斑猫)で、実物の約2倍です。ハンミョウ科に属し、ご覧の様に青緑色地に赤・青・黒・白などの金属光沢の斑紋がとても美しい虫です。山道に多く、人が近付くと道の先へ飛ぶ性質が有ると言い伝えられ、別名をミチシルベ、ミチオシエなどと呼ばれます(※2)。その様な人懐っこさと甲虫の中では複眼が相対的に大きいことから、漢字で斑猫(まだらねこ)と書かれるのでしょう。
幼虫・成虫共に肉食性で、本州以南・南西諸島・朝鮮半島・中国に分布します。
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【脚注】
※1:jewel beetle、玉虫。タマムシ科の甲虫の総称。又、その一種。体は紡錘状で長さ4cm。金属光沢の有る金緑色で、金紫色の2条の縦線が有る。美しいので装飾用にされる。成虫は夏に現れ、エノキなどの樹に付く。幼虫はサクラ・ケヤキなどの幹を食害。ヤマトタマムシ。尚、タマムシ科は日本には約150種が分布。樹木の害虫も多い。季語は夏。
補足すると、玉虫は法隆寺の玉虫厨子に翅が敷き詰められて居たことで有名です。
※1−1:玉虫厨子(たまむしのずし)は、法隆寺に伝来する飛鳥時代の厨子。高さ226.6cm。須弥座上に単層入母屋造・錣葺(しころぶき)の宮殿形を置く。総体は檜造り、外面は黒漆塗り、縁に張った透彫の金具の下に玉虫の羽を敷く。内側には金銅押出しの千体仏を張る。三方の扉及び須弥座の四面に六朝風の古様の彩色画(捨身飼虎図など)を施す。当代の建築・絵画・工芸の優れた技法が渾然と纏め上げられて居る優品。国宝。
※2:斑猫(tiger beetle、はんみょう)は、コウチュウ目ハンミョウ科の甲虫の総称。又、その一種。体長約2cmで美しい。山道に多く、近付くと道路に沿って人の行く先へ飛ぶ。幼虫は土中に穴を掘って棲み、成虫・幼虫共に食虫性。毒の有るマメハンミョウ・ツチハンミョウとは別科。ナミハンミョウ。ミチシルベ。ミチオシエ。季語は夏。
(以上、出典は主に広辞苑です)
【参考文献】
△1:『学研生物図鑑−昆虫II 甲虫』(中根猛彦監修、学習研究社)。
●関連リンク
@参照ページ(Reference-Page):昆虫の分類学と特徴▼
資料−昆虫豆知識(Insect Trivia)
「私の庭」とは▼
ここが「私の庭」だ!(Here is the territory of Me !)
「私の庭」の淀川河川敷▼
私の淀川(My Yodo-river, Osaka)