判 決 文


5 説明義務違反,転院勧告義務違反について(争点(3))

(1)  原告らは,平成11年6月29日の心エコー検査によって判明した検査結果を,被告Sが悦子と原告らに説明しなかったことを問題とする。
S医師が説明をしていたら、母と私たちは、S医師を能力がないとみなし、即座にS医師を見限ります。
S医師は、平成11年6月29日の心エコー検査によって判明した検査結果を、隠蔽したのです。
 被告Sは,その心エコー検査の結果,悦子に右心系の拡大と肺高血圧を認め,肺高血圧症の疑いと診断している。しかし,この時点ではまだ確定診断はできておらず,被告Sは,さらに肺血流シンチグラム検査やCT検査,血管造影検査などを行って疾患の原因を探求することを予定していた。
 したがって,6月29日の時点で,被告Sが検査結果について悦子や原告らに明確に説明しなかったとしても,不適切であるとはいえない。
この判決文は、医師に対して隠蔽をしても良いといっているのと同じです。裁判官は自分たちが書いた判決文の内容を理解しているのでしょうか?
(2)  原告らは,6か月半の外来通院中に被告Sが肺高血圧や右心不全を全く予見できていなかったこと,また,β遮断薬は肺高血圧による右心不全に禁忌であったことを,被告Sが説明がすべきであったと主張する。
 しかし,悦子の外来通院中に肺高血圧症を疑うことは困難であって,それを予見できなかったことに過失があることはいえないから,被告Sが悦子や原告らに対し,肺高血圧やそれに伴う右心不全を予見できなかったことを説明すべき義務はない。
 また,被告Sには,β遮断薬が肺高血圧による右心不全に禁忌であったことを説明すべき義務がないことは,前期のとおりである。
平成11年6月29日には、S医師でも、肺高血圧症も右心不全も判断できたのです。ですから、この日に説明すべきこととして私たちは主張しているのです。したがって判決文の理由付けは意味不明です。
(3)  原告らは,被告Sには,肺高血圧症の治療方法としてプロスタサイクリン持続静注法があることと,その療法を受けるためには熟練した施設での治療が必要であることを説明し,さらに,その治療に適した施設への転院を勧告すべき義務があったとも主張する。
 プロスタグランジンI2製剤については,その能書きに,適応関連注意として「原発性肺高血圧症と診断された患者にだけ使用する」,あるいは,効能や効果に関連する使用上の注意として「肺動脈性肺高血圧症と診断された患者にのみ使用すること」,「原発性肺高血圧症及び膠原病に伴う肺高血圧症以外の肺動脈性肺高血圧症における安全性・有効性は確立していない」との記載がある(乙B5,6)。 
 そして,悦子が肺高血圧症の疑いと診断されたのが平成11年6月29日であり,その後も肺高血圧症の原因を探求するために各種の検査が行われていたのであるから,被告Sが悦子を循環器内科の外来で担当していた段階では悦子が原発性肺高血圧症であると診断することはできなかった。
「肺高血圧症の疑い」は事実誤認。「被告Sが悦子を循環器内科の外来で担当していた段階では悦子が原発性肺高血圧症であると診断することはできなかった。」も事実誤認。S医師は陳述書(乙A4)に「肺高血圧症は原因不明の原発性肺高血圧症の可能性が高いと考え、入院も含め精査をしていくことにしました。」と書いています。裁判官は書面で確かめていませんね。
 したがって,悦子が循環器内科の外来を受診している間において,被告Sには,悦子や原告らに対し,原発性肺高血圧症の診断を前提として,プロスタサイクリン持続静注法について説明をしたり,その治療が可能な施設への転院を勧告すべき義務があったものとは認めることはできない。
プロスタサイクリン持続静注法はJで実施不可能な治療ですから、これ以上の検査、即ち肺高血圧症の原因診断をJで行う意味がないのは常識的な考えです。裁判官は理解出来ないようですね。
 なお,原告らは,本件のような慢性肺血栓性の肺高血圧症にもプロスタサイクリン経口薬が有効であると主張するが,悦子に対しては平成11年8月7日からプロスタグランジンI2製剤であるドルナーの経口投与が開始され,その投与後も肺動脈圧は低下しなかったという経過がある。原告らの主張する内容が平成11年当時において,医学的知見として確立していたのかどうか明らかではない。
弁論終結前に、裁判所はJに「プロスタグランジン持続静注法が本件では効果がないとすることの根拠となる証拠を提出してほしい」と言いましたが、Jは提出しませんでした。当然です。そんなものありませんから。そうしたら裁判官は判決文に「原告らの主張する内容が平成11年当時において,医学的知見として確立していたのかどうか明らかではない」と書いたのです。
これは明らかにJの肩を持った判決文です。

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