天人午睡 趣味のコーナー<読書日記>
森博嗣「四季 冬」 2026/10/01―10/02:講談社 2004年3月
(ネタバレあり)もうウォーカロンまで出てきていた。このあとすぐにWシリーズに突入できる! とはいえ、「F」から「冬」まではゆうに数十年、いや百年は経っているはず。したがって四季はもう生きてはいない。この本に登場する四季も「本人」ではない。ただ、四季がロボットになったわけではない。たぶん人工超知脳(ASI?)となってネットを通じて世界を支配しているのだ。つまり「神」になったわけである。こうなってはもうついて行けない、といいたいが、W、WWシリーズはとても面白いから十分ついていける。最近のAIにまつわる大騒ぎを、作者はすでに数十年前に予測し、それを小説にしたわけである。当時の私に理解できなかったのは無理もない。四季のような人格が神になるのならおそらく人類は平穏だろうが、神のいないままAIが進化したら本当に人類はAIに滅ぼされるだろう。それはそれでいいかなと思えてしまうのがコワい。最後に、四季の創ったウォーカロンに、手塚治虫先生の「火の鳥・復活編」のロビタを思い出してしまった人は意外に多いのではないだろうか。
(ネタバレあり)もうウォーカロンまで出てきていた。このあとすぐにWシリーズに突入できる! とはいえ、「F」から「冬」まではゆうに数十年、いや百年は経っているはず。したがって四季はもう生きてはいない。この本に登場する四季も「本人」ではない。ただ、四季がロボットになったわけではない。たぶん人工超知脳(ASI?)となってネットを通じて世界を支配しているのだ。つまり「神」になったわけである。こうなってはもうついて行けない、といいたいが、W、WWシリーズはとても面白いから十分ついていける。最近のAIにまつわる大騒ぎを、作者はすでに数十年前に予測し、それを小説にしたわけである。当時の私に理解できなかったのは無理もない。四季のような人格が神になるのならおそらく人類は平穏だろうが、神のいないままAIが進化したら本当に人類はAIに滅ぼされるだろう。それはそれでいいかなと思えてしまうのがコワい。最後に、四季の創ったウォーカロンに、手塚治虫先生の「火の鳥・復活編」のロビタを思い出してしまった人は意外に多いのではないだろうか。
森博嗣「四季 秋」 2026/09/30―10/01:講談社 2004年4月
(ネタバレあり)結局、「夏」と「秋」の間に「F」があったのだった。「秋」は「F」以後のそれぞれの登場人物の「その後」だった。「秋」の主人公は真賀田四季ではなくて西之園萌絵ではないか。萌絵と犀川先生はとうとう二人でイタリアへ婚前旅行?にまでいっている。周りの人はみな承認済みのよう。つまるところ、萌絵は四季への嫉妬をどのようにして克服したかという小説だった…ような読後感。保呂草と各務もまとまってめでたしめでたし…って、四季はみんなのまとめ役?仲人?ってな感想ではダメか。萌絵は瀬在丸紅子にも会い、犀川先生とのことも認めてもらう。彼女と話しているところに林も来る。林といえば「夏」でかれの名字が「犀川」だと四季に話している。つまり「四季」は彼女を取り巻くすべての人物の相関関係を読者に知らしめる役割、言い換えれば狂言回しになっているといえる。もちろん四季の研究のその後もちゃんと描かれ(そのため?の犠牲者も出ている)、W、WWシリーズにつながっていくらしい壮大な未来がほのめかされている。さあ、いよいよ「冬」に突入だ。
(ネタバレあり)結局、「夏」と「秋」の間に「F」があったのだった。「秋」は「F」以後のそれぞれの登場人物の「その後」だった。「秋」の主人公は真賀田四季ではなくて西之園萌絵ではないか。萌絵と犀川先生はとうとう二人でイタリアへ婚前旅行?にまでいっている。周りの人はみな承認済みのよう。つまるところ、萌絵は四季への嫉妬をどのようにして克服したかという小説だった…ような読後感。保呂草と各務もまとまってめでたしめでたし…って、四季はみんなのまとめ役?仲人?ってな感想ではダメか。萌絵は瀬在丸紅子にも会い、犀川先生とのことも認めてもらう。彼女と話しているところに林も来る。林といえば「夏」でかれの名字が「犀川」だと四季に話している。つまり「四季」は彼女を取り巻くすべての人物の相関関係を読者に知らしめる役割、言い換えれば狂言回しになっているといえる。もちろん四季の研究のその後もちゃんと描かれ(そのため?の犠牲者も出ている)、W、WWシリーズにつながっていくらしい壮大な未来がほのめかされている。さあ、いよいよ「冬」に突入だ。
森博嗣「四季 夏」 2026/09/29―09/30:講談社 2004年4月
(ネタバレあり)「夏」にはこれという「事件」はなかった。あったのは四季の妊娠と彼女による両親殺害という、「F」への布線である(美術品の窃盗事件もあるが、これは読者サービスのようなもの)。このまま「妃真加島」の密室に閉じ込められて「F」に至るのか、それとも次作「秋」で新たな展開が始まるのか…☺️。この作品でもっとも惹かれたのは緻密に描かれた四季の内面である。5章の2節以降、四季が単身妃真加島へ向かう途上の四季の心理描写と世相批評は秀逸である。また、この作品にはいくつかの「未来」予想が述べられている。第4章5節で四季は「女性が日本の首相になるには、まだ二十年以上はかかります」と言っているし、第5章3節では「人の顔を機械が識別できるようになるのに、あと何十年かかるだろう。(中略)ハードがそのレベルに到達するのにあと二十年。ソフトはさらに十年…」云々。これらは四季というより作者の予想であろうが、この作品の発表時期をみればまさにそうなっている。W、WWシリーズがより現実味をもって感じられる。四季よりも現実に存在する森先生がコワい☺️。
(ネタバレあり)「夏」にはこれという「事件」はなかった。あったのは四季の妊娠と彼女による両親殺害という、「F」への布線である(美術品の窃盗事件もあるが、これは読者サービスのようなもの)。このまま「妃真加島」の密室に閉じ込められて「F」に至るのか、それとも次作「秋」で新たな展開が始まるのか…☺️。この作品でもっとも惹かれたのは緻密に描かれた四季の内面である。5章の2節以降、四季が単身妃真加島へ向かう途上の四季の心理描写と世相批評は秀逸である。また、この作品にはいくつかの「未来」予想が述べられている。第4章5節で四季は「女性が日本の首相になるには、まだ二十年以上はかかります」と言っているし、第5章3節では「人の顔を機械が識別できるようになるのに、あと何十年かかるだろう。(中略)ハードがそのレベルに到達するのにあと二十年。ソフトはさらに十年…」云々。これらは四季というより作者の予想であろうが、この作品の発表時期をみればまさにそうなっている。W、WWシリーズがより現実味をもって感じられる。四季よりも現実に存在する森先生がコワい☺️。
森博嗣「四季 春」 2026/09/27―09/28:講談社 2004年4月
(ネタバレあり)同氏作「赤緑黒白」の読後、あるブログの批評に「ラストシーンでは紅子とも対峙。ここで、四季シリーズに繋がっていくのか、と。」(「魚がとれた」https://note.com/sakanagatoreta/n/n4336ef892a19)とあり、これは「四季」を読まねば、ということですぐに図書館に予約。実は「四季」も以前に読んでいるはず(おそらく20年以上前)なのだが、その時の印象は何も残っていない。森作品は何十冊という作品がすべてつながっていて、時系列を無視して読むと登場人物どうしの関係が知りたくなって再読の必要に追い込まれる。「四季 春」は天才科学者真賀田四季博士の少女時代(5〜13歳)を描いている。「F」に登場する四季はすでに成人なので、これにつながるまでには「四季」すべてを読まなくてはならない(らしい)。それにしても四季の天才ぶりの描き方がすごい。自分の近くにいたら困るだろう(実際彼女の家族は大変な目にあっている)。いろいろ疑問が浮かんでいるが、理解度があまりにも不足しているのでコワくて突っ込めない。四季の多重人格はその後の作品にも登場していることをすでに読んでいるので、森作品の全貌がうっすらわかってくると、作者自身の天才性にも驚きを禁じ得ない。
(ネタバレあり)同氏作「赤緑黒白」の読後、あるブログの批評に「ラストシーンでは紅子とも対峙。ここで、四季シリーズに繋がっていくのか、と。」(「魚がとれた」https://note.com/sakanagatoreta/n/n4336ef892a19)とあり、これは「四季」を読まねば、ということですぐに図書館に予約。実は「四季」も以前に読んでいるはず(おそらく20年以上前)なのだが、その時の印象は何も残っていない。森作品は何十冊という作品がすべてつながっていて、時系列を無視して読むと登場人物どうしの関係が知りたくなって再読の必要に追い込まれる。「四季 春」は天才科学者真賀田四季博士の少女時代(5〜13歳)を描いている。「F」に登場する四季はすでに成人なので、これにつながるまでには「四季」すべてを読まなくてはならない(らしい)。それにしても四季の天才ぶりの描き方がすごい。自分の近くにいたら困るだろう(実際彼女の家族は大変な目にあっている)。いろいろ疑問が浮かんでいるが、理解度があまりにも不足しているのでコワくて突っ込めない。四季の多重人格はその後の作品にも登場していることをすでに読んでいるので、森作品の全貌がうっすらわかってくると、作者自身の天才性にも驚きを禁じ得ない。
森博嗣「赤緑黒白」 2026/09/20―09/22:講談社 2002年9月
(ネタバレあり) Vシリーズ最後の10冊目。なんともはやすごい小説。単なるミステリィではない。瀬在丸紅子の謎解きで事件はあざやかな解決を見せるが、多くの読者は「う〜ん、どうもなあ」だろう。原因と結果、動機と犯行、それらが常識とは異なった形で行われる犯罪が現実にありえるだろうかと思わせる。章が進むにつれて真犯人が予想されるが、さらにその奥に謎めいた黒い影を感じさせながら事件が終わる。ただ、私がもっとも驚いたのは奇抜な犯行でもトリックでもなく、愛知県警の林刑事についてである。香久山紫子さんの「「うーん、川と、林」…「こんな字、見たことないで。日本の字とちゃうな」というセリフ。「あっ」と思わず叫んでしまった。詳しくはいわないが、森博嗣を何十冊も読んできてこんなに驚いたのは初めてである。森マニアには常識かもしれないが。これに気づいて私も森ファンの端くれに加われるだろうか☺️。(9/23)
(ネタバレあり) Vシリーズ最後の10冊目。なんともはやすごい小説。単なるミステリィではない。瀬在丸紅子の謎解きで事件はあざやかな解決を見せるが、多くの読者は「う〜ん、どうもなあ」だろう。原因と結果、動機と犯行、それらが常識とは異なった形で行われる犯罪が現実にありえるだろうかと思わせる。章が進むにつれて真犯人が予想されるが、さらにその奥に謎めいた黒い影を感じさせながら事件が終わる。ただ、私がもっとも驚いたのは奇抜な犯行でもトリックでもなく、愛知県警の林刑事についてである。香久山紫子さんの「「うーん、川と、林」…「こんな字、見たことないで。日本の字とちゃうな」というセリフ。「あっ」と思わず叫んでしまった。詳しくはいわないが、森博嗣を何十冊も読んできてこんなに驚いたのは初めてである。森マニアには常識かもしれないが。これに気づいて私も森ファンの端くれに加われるだろうか☺️。(9/23)
小泉八雲「チータ・ユーマ」(ラフカディオ・ハーン全小説) 2026/09/14―09/19:河出書房新社/河出文庫 平川祐弘訳 2025年12月
「チータ」メキシコ湾のある島が巨大なハリケーンによって住人・観光客が全滅した中、ただ一人助かった女の子=チータの話。L. ハーンの来日以前の 出世作として興味を引くが、叙情的な文体に「怪談」などとの共通点が感じられる。ハリケーンや島の自然現象などの描写が比喩が多くわかりにくい。 訳者の苦労が思いやられる。この本を知ったのは、永井荷風の「濹東綺譚」中に「背景の描冩を精細にするには、季節と天候とにも注意しなければ ならない。例へば、ラフカヂオ・ハーン先生の名著チタ 或はユーマの如くに。」
とあったことによる(引用は角川書店 昭和文学全集5「永井荷風集」より)。
こういう出会いは大事にしたい☺️。(9/14)
「ユーマ」 メキシコ湾の「マルティニーク島」(ドミニカ国の南部 フランス領海外県)にまだ奴隷制度のあった時代、首都サン・ピエールのペロンネッ ト夫人の「所有物」であった黒人女性ユーマの一代記。夫人の娘エメーの乳姉妹として大切に育てられ、エメーが結婚して夫君の領地アンス・マリーヌへ嫁ぐときに も付き従い、エメーに娘マイヨットが生まれるとその乳母として献身的な世話をする。だが、恋人との結婚を拒否されたことで自分が奴隷であることの「強烈な自覚」 に目覚める…。物語の最後、ユーマは奴隷たちの暴動に抗し、必死にマイヨットを守るが、ついに彼女とともに死を迎える。この物語は「風と共に去りぬ」のマミー を思い起させる。この二作の黒人女性の生涯の違いをどのように考えたらいいだろう。(9/19)
「チータ」メキシコ湾のある島が巨大なハリケーンによって住人・観光客が全滅した中、ただ一人助かった女の子=チータの話。L. ハーンの来日以前の 出世作として興味を引くが、叙情的な文体に「怪談」などとの共通点が感じられる。ハリケーンや島の自然現象などの描写が比喩が多くわかりにくい。 訳者の苦労が思いやられる。この本を知ったのは、永井荷風の「濹東綺譚」中に「背景の描冩を精細にするには、季節と天候とにも注意しなければ ならない。例へば、ラフカヂオ・ハーン先生の名著
「ユーマ」 メキシコ湾の「マルティニーク島」(ドミニカ国の南部 フランス領海外県)にまだ奴隷制度のあった時代、首都サン・ピエールのペロンネッ ト夫人の「所有物」であった黒人女性ユーマの一代記。夫人の娘エメーの乳姉妹として大切に育てられ、エメーが結婚して夫君の領地アンス・マリーヌへ嫁ぐときに も付き従い、エメーに娘マイヨットが生まれるとその乳母として献身的な世話をする。だが、恋人との結婚を拒否されたことで自分が奴隷であることの「強烈な自覚」 に目覚める…。物語の最後、ユーマは奴隷たちの暴動に抗し、必死にマイヨットを守るが、ついに彼女とともに死を迎える。この物語は「風と共に去りぬ」のマミー を思い起させる。この二作の黒人女性の生涯の違いをどのように考えたらいいだろう。(9/19)
森博嗣「捩れ屋敷の利鈍」 2026/09/13―09/14:講談社 2005年3月
(ネタバレあり)相変わらず面白い。オープニングからエンディングまで一気に読ませてしまう。「捩れ屋敷」はメビウスの帯がわかればなんとなくわかるが、 その屋敷の中の描写を追っていくのは、自分でイメージしているものと作者が描いているものが一致しているのかを確認しなければならない。ちょっと骨が折れる。 西之園萌絵の活躍にもかかわらず「エンジェル・マヌーヴァ」をめぐる攻防では、萌絵は結局保呂草潤平に敗れるが、エピローグで保呂草が「驚愕」する 「瀬在丸紅子の話」によって、萌絵は保呂草に勝ったといえるだろう。ただしそれは敬愛する犀川先生のおかげであろう…。
森博嗣「短編集・虚空の逆マトリクス」 2026/08/26―08/27:講談社 2006年7月
「トロイの木馬」読み出して、すぐにわけがわからなくなっていたが、あるところで急にWシリーズの世界を思わせる近未来の話だとわかる。 最後の深遠な問いかけには何とも答えられない、戸惑うだけだ。でも面白い。最後に明かされる千宗とサヲリの正体に、なんとなく納得してしまった。 14章の終わり近くの「これほどエラーの多いスクリプトなのに、/何故か止まらずに走り続ける、/それが人間の仕様だ。」という文にも共感を覚える。 自分としてはこういう近未来感は嫌いではない。
「赤いドレスのメアリィ」 実はこの短編集は既読で(いつかは忘れた)、後半に出てくる老人が経緯を話すところで今回も O・ヘンリーの「二十年後」 を思い出した。作者の真意はわからないが、ありきたりのロマン小説ではないのだろう。AIに聞けば何かわかりそうだが、やめておく(また自分の不甲斐なさを 暴露されそうで☺️)。
「不良探偵」主人公「僕」のいとこであるシンちゃんは、嘘がつけない、口止めされたことは絶対言わないというくっきりとした性格を持っており、 それが事件のプロットを成立させている。作者は時々障害のある登場人物を注意深く描くが、これは人物の性格付けを意味しているに過ぎない。 障害とは個性である。
「話好きのタクシードライバ」どんなオチにもって行くのかなと思っていたが、ダイヤのネコババよりも同じハナシを聞くのが3回目だということ のほうに驚いた。
「ゲームの国(リリおばさんの事件簿1)」森先生の才気が爆発? 次から次へと出てくるとんでもない回文。ちなみに先生は特に回文のマニアでは ないとのこと。驚きです。特にリリおばさんの「三重シリーズ」の「近鉄津駅も雲消えつつ天気」や、「見来し河で待つ、…いつまで若し君」という102文字の 回文などはプロといっていいかも(プロがいれば)。ミステリィとしては特に謎が深いわけではないが、主人公(=作者と自分で言ってる)と彼氏との一番楽しい だろう時期の描写が微笑ましい。ところで「リリおばさんの事件簿1」とあるからにはシリーズ化されているのかな? (いないそうだbyAI)
「探偵の孤影」 有名なハードボイルド小説「さらば愛しき人よ」のような始まりだが、オチはかなりひどい。駄作という意味ではなくてカッコ 良くないのだ。「タフでなければ生きていけない」のに。まあチャンドラーのパロディとして読むのかな。
「いつ入れ替わった?」 森先生の短編集には必ず1,2編、犀川・萌絵コンビが登場する。この本ではただ一作だけ本編がそうだ。疑似誘拐らしい事件で いつ身代金が盗られたかという推理をやっぱり犀川先生が鮮やかに解いて見せる。またしても萌絵は有頂天、最後にはプレゼントまでもらって我を失う…。 ただ、トリックは実際にはほとんど不可能であろう。そうでなくては映画「天国と地獄」みたいに模倣者が出てくるかもしれない。
「トロイの木馬」読み出して、すぐにわけがわからなくなっていたが、あるところで急にWシリーズの世界を思わせる近未来の話だとわかる。 最後の深遠な問いかけには何とも答えられない、戸惑うだけだ。でも面白い。最後に明かされる千宗とサヲリの正体に、なんとなく納得してしまった。 14章の終わり近くの「これほどエラーの多いスクリプトなのに、/何故か止まらずに走り続ける、/それが人間の仕様だ。」という文にも共感を覚える。 自分としてはこういう近未来感は嫌いではない。
「赤いドレスのメアリィ」 実はこの短編集は既読で(いつかは忘れた)、後半に出てくる老人が経緯を話すところで今回も O・ヘンリーの「二十年後」 を思い出した。作者の真意はわからないが、ありきたりのロマン小説ではないのだろう。AIに聞けば何かわかりそうだが、やめておく(また自分の不甲斐なさを 暴露されそうで☺️)。
「不良探偵」主人公「僕」のいとこであるシンちゃんは、嘘がつけない、口止めされたことは絶対言わないというくっきりとした性格を持っており、 それが事件のプロットを成立させている。作者は時々障害のある登場人物を注意深く描くが、これは人物の性格付けを意味しているに過ぎない。 障害とは個性である。
「話好きのタクシードライバ」どんなオチにもって行くのかなと思っていたが、ダイヤのネコババよりも同じハナシを聞くのが3回目だということ のほうに驚いた。
「ゲームの国(リリおばさんの事件簿1)」森先生の才気が爆発? 次から次へと出てくるとんでもない回文。ちなみに先生は特に回文のマニアでは ないとのこと。驚きです。特にリリおばさんの「三重シリーズ」の「近鉄津駅も雲消えつつ天気」や、「見来し河で待つ、…いつまで若し君」という102文字の 回文などはプロといっていいかも(プロがいれば)。ミステリィとしては特に謎が深いわけではないが、主人公(=作者と自分で言ってる)と彼氏との一番楽しい だろう時期の描写が微笑ましい。ところで「リリおばさんの事件簿1」とあるからにはシリーズ化されているのかな? (いないそうだbyAI)
「探偵の孤影」 有名なハードボイルド小説「さらば愛しき人よ」のような始まりだが、オチはかなりひどい。駄作という意味ではなくてカッコ 良くないのだ。「タフでなければ生きていけない」のに。まあチャンドラーのパロディとして読むのかな。
「いつ入れ替わった?」 森先生の短編集には必ず1,2編、犀川・萌絵コンビが登場する。この本ではただ一作だけ本編がそうだ。疑似誘拐らしい事件で いつ身代金が盗られたかという推理をやっぱり犀川先生が鮮やかに解いて見せる。またしても萌絵は有頂天、最後にはプレゼントまでもらって我を失う…。 ただ、トリックは実際にはほとんど不可能であろう。そうでなくては映画「天国と地獄」みたいに模倣者が出てくるかもしれない。
森博嗣「短編集・まどろみ消去」 2026/08/23―08/25:講談社 2000年7月
「虚空の黙祷者」読んでいる途中で落ち?がわかったが、これはハッピーエンドなのか?それとも…。
「純白の女」理解不能。森先生にはときどきこんなのがある。わからないことが悔しい。
「彼女の迷宮」設定が面白い。増毛殺人事件や義足の死者に生足が…、ぜひトリックが知りたいが、無理だろうなあ…。
「真夜中の悲鳴」最後の一行、エスプリが効いている。
「やさしい恋人へ僕から」これも最後の一行で「あれ?」って思わせる。スバル氏の名を知っている人には興味津々。
「ミステリィ対戦の前夜」西之園萌絵のキャラを活かした短編。この人が登場するだけでワクワクする。ミステリィ研の連中と同じ。
「誰もいなくなった」前作と同様N大のミステリィ研の話。犀川先生の面目躍如。萌絵の悔しさがこちらにまで伝わってくる。
「何をするためにきたのか」この短編集の中で唯一面白くなかった。AIや他のWEBに、RPGの進行に現実を寄せているという解説があったが、自分はRPGを まったくやらないので意味不明・理解不能に陥ったらしい。
「悩める刑事」刑事だが風彩のあがらない夫と美人で才能のある妻のちょっと倦怠気味の悩みを乗り越える?話。
「心の法則」意味不明。英語の題は「Constitutive Law of Emotion」(「情動の構成主義」や「構成主義的情動理論(構成主義的感情論)」と(AIによる)。
「キシマ先生の静かな生活」大学研究者の理想形。最後の数行で現実の厳しさも示しながら、それでも希望を持って。
「虚空の黙祷者」読んでいる途中で落ち?がわかったが、これはハッピーエンドなのか?それとも…。
「純白の女」理解不能。森先生にはときどきこんなのがある。わからないことが悔しい。
「彼女の迷宮」設定が面白い。増毛殺人事件や義足の死者に生足が…、ぜひトリックが知りたいが、無理だろうなあ…。
「真夜中の悲鳴」最後の一行、エスプリが効いている。
「やさしい恋人へ僕から」これも最後の一行で「あれ?」って思わせる。スバル氏の名を知っている人には興味津々。
「ミステリィ対戦の前夜」西之園萌絵のキャラを活かした短編。この人が登場するだけでワクワクする。ミステリィ研の連中と同じ。
「誰もいなくなった」前作と同様N大のミステリィ研の話。犀川先生の面目躍如。萌絵の悔しさがこちらにまで伝わってくる。
「何をするためにきたのか」この短編集の中で唯一面白くなかった。AIや他のWEBに、RPGの進行に現実を寄せているという解説があったが、自分はRPGを まったくやらないので意味不明・理解不能に陥ったらしい。
「悩める刑事」刑事だが風彩のあがらない夫と美人で才能のある妻のちょっと倦怠気味の悩みを乗り越える?話。
「心の法則」意味不明。英語の題は「Constitutive Law of Emotion」(「情動の構成主義」や「構成主義的情動理論(構成主義的感情論)」と(AIによる)。
「キシマ先生の静かな生活」大学研究者の理想形。最後の数行で現実の厳しさも示しながら、それでも希望を持って。
森博嗣「月は幽咽のデバイス」 2026/08/21―08/23:講談社 2003年3月
「密室殺人事件」の謎を解く瀬在丸紅子たちの活躍。この題は満月の夜に起こる惨劇を示唆するか。結論的には荒唐無稽で理解も納得もできないが、会話の面白 さや登場人物たちのキャラ立ちがすばらしく、読み終える頃には一人ひとりに感情移入しているくらい。しかしいくら何でも立て続けに同じ人物たちが次々に 不可思議な殺人事件に巻き込まれ過ぎると思う(作者?もそこはわかっていて保呂草にそれを言わせている)。
「密室殺人事件」の謎を解く瀬在丸紅子たちの活躍。この題は満月の夜に起こる惨劇を示唆するか。結論的には荒唐無稽で理解も納得もできないが、会話の面白 さや登場人物たちのキャラ立ちがすばらしく、読み終える頃には一人ひとりに感情移入しているくらい。しかしいくら何でも立て続けに同じ人物たちが次々に 不可思議な殺人事件に巻き込まれ過ぎると思う(作者?もそこはわかっていて保呂草にそれを言わせている)。
森博嗣 短編集「地球儀のスライス」。2026/08/18―08/20:講談社 1999年1月
「僕は秋子に借りがある」不思議少女?の秋子のちょっと切ない話。
「気さくなお人形、19歳」漫画でも読んだ。漫画の再現度がすごいとあらためて。
「河童」幻奇小説?。
「有限要素魔術」意味不明
「マン島の蒸気鉄道」実際にあるマン島の話でGoogleMapを見ながら楽しめた。大御坊さんのクイズ(パズル?)は難問だったのでAIに教えてもらった。 なあんだが感想。
「石塔の屋根飾り」インドの古代石窟寺院の謎を推理する。
「僕に似た人」小学生の作文。自分と自分の母親と近所の若いお母さんとその子との交流。前作とこの作が不思議な関連を持つことをネットの情報から 知る(石塔は無関係)。自分で気づきたかった。ネットはもっとあとで見るべきだった😖…。
「素敵な日記」
「片方のピアス」アニメの「タッチ」のような設定から残酷な結末まで。
「小鳥の恩返し」民話に寄せながら見事なリアリズム。
「僕は秋子に借りがある」不思議少女?の秋子のちょっと切ない話。
「気さくなお人形、19歳」漫画でも読んだ。漫画の再現度がすごいとあらためて。
「河童」幻奇小説?。
「有限要素魔術」意味不明
「マン島の蒸気鉄道」実際にあるマン島の話でGoogleMapを見ながら楽しめた。大御坊さんのクイズ(パズル?)は難問だったのでAIに教えてもらった。 なあんだが感想。
「石塔の屋根飾り」インドの古代石窟寺院の謎を推理する。
「僕に似た人」小学生の作文。自分と自分の母親と近所の若いお母さんとその子との交流。前作とこの作が不思議な関連を持つことをネットの情報から 知る(石塔は無関係)。自分で気づきたかった。ネットはもっとあとで見るべきだった😖…。
「素敵な日記」
「片方のピアス」アニメの「タッチ」のような設定から残酷な結末まで。
「小鳥の恩返し」民話に寄せながら見事なリアリズム。
森博嗣「人形式モナリザ」 2026/08/16―08/18:講談社 1999/9月
長野県諏訪市の人形博物館で起きた連続殺人事件をWシリーズの瀬在丸紅子、保呂草潤平たちが解決(というより推理)する。トリックより動機がはるかに 問題視される。人形と人間、神と悪魔、夢と真実などいろいろな対比を考えさせられる。
長野県諏訪市の人形博物館で起きた連続殺人事件をWシリーズの瀬在丸紅子、保呂草潤平たちが解決(というより推理)する。トリックより動機がはるかに 問題視される。人形と人間、神と悪魔、夢と真実などいろいろな対比を考えさせられる。
永井荷風集 2026/08/12―:角川書店「昭和文学全集5」昭和28年
「おもかげ」 (9/25)昭和初期の「タキシイ」の運転手二人の会話。客待ちの深夜、雲間の月の間に「豐」さんの身の上話を「爲」さんがせがみ、 しぶしぶでもなく話す豐。恋女房・おのぶを三月で無くした豐は、そのおもかげを追って浅草の踊り子・露子を追っかけるが、いつのまにか病気で田舎に戻ったと 知り、自分はつくづく女には縁がないと思い、それからはわけもなく女を「買ひ散す」ようになった―。荷風の体験が元かも。味のある短編。
「濹東綺譚」(9/5―9/7)荷風の代表作のようにいわれている。若い頃、題名のイメージから外国の怪奇小説かと思っていた。何のことはない、 東京・墨田区の東の一区画、花の井での老作家と売笑婦の情愛のこもった交流を描いている。そんな男女の交情が、震災後の東京の下町、それも娼窟ともいうべき 退廃の極みのような花の井の、微に入り細を穿った描写を背景に、不思議な懐かしさを感じさせる。それこそがこの作品の生命であろうか。事件らしいこともなく 淡々と筆を運びながら飽きさせない描写は荷風の真骨頂である。今では死語(古語?)ともいうべき言葉も丹念に調べながら読み進めた。 「古本を鬻 ぐ」「稀覯 の古書」
「草双紙の帙 」「丁年 」
「七ツ下りの雨」「陋巷 」「大阪格子」等々…。鴎外もそうだが、明治・大正の作家たちは実に多くの
言葉を知っていたと、いつも感心する。もう一つ、「第五章」の末尾に「トスカは逃竄の貧士に食を与え…」とあって、荷風が歌劇にも造詣が深いことを知って
意外だった。
「ひかげの花」 (9/1)題名から大体の想像はつく。女給とヒモ男の話である。が、不思議と暗くはない。「花」という題もそれを暗示するか。 女はお千代、男は重吉といってこの二人の楽天的な心理描写がリアルで説得力があり、どん底の凄惨さ(例えば心中など)に陥ることなく淡々と世知辛い世を 渡っていく。最後の方でお千代が若くして生んだ実の娘が登場し、十何年ぶりの再会に特に恨みもいわず、母に似た境遇を母に似た人生観で乗り越えていくだろう ことを、恩人への手紙で述べて作品を閉じている。
「つゆのあとさき」(8/30) 昭和初期の東京で女給をしている君江は、カネに執着するでもなく恋愛に溺れることもなく、同時に何人もの男を 渡りながらその日暮らしのような呑気な生活をしている。その対照ともいえる女が鶴子で、過去の過ちからすでに愛も未練もない夫(君枝のオトコの一人)との 苦渋に満ちた生活をしている。が、ふとしたことから某外国婦人の秘書として洋行することで新境地を見出していく。舅はそれを喜んで送り出す。君枝は昔の男 から手酷い仕打ちを受け、10日余り寝込むうち梅雨も明ける。久しぶりに逍遥するうち、今度はすっかり落ちぶれた昔の恩人・川島に出会い、一晩飲み明かして みると、翌朝川島は死を覚悟した置き手紙をしていなくなっていたところで、話を結んでいる。
「夜の車」 震災前の人力車が近頃は自動車になり、芸妓も素人になって手練手管で客を引くという話。小説というほどのこともない。(08/29)
「榎物語」 ある小さなお寺の住職が自分が死んでも50年経った時にしか開けるなという遺言を箱に残し死去。遺言を守って箱を開け、中の遺言書を 叙述するという形式の物語。遺言を擬古文で語ることで幕末の雰囲気を醸し、読みにくそうでわかりやすい。小心者が大金を手にしたことで数奇な運命に 翻弄されるという教訓に満ちている。(08/29)
「あぢさゐ」(08/12〜08/14)三味線弾きの宗吉がお世話になった旦那に、惚れた芸者との顛末を話す。初心ながら男を手球にする君香に怒り心頭に なって殺そうとするが、既のところで他の男に先を越される。(08/16)
「かし間の女」 関東大震災直後の荒廃と復興の東京を背景に、男の身勝手さに翻弄されながら妾と私娼を繰り返している女がついに警察に拘留される までの、男女の相克を描く。
「おもかげ」 (9/25)昭和初期の「タキシイ」の運転手二人の会話。客待ちの深夜、雲間の月の間に「豐」さんの身の上話を「爲」さんがせがみ、 しぶしぶでもなく話す豐。恋女房・おのぶを三月で無くした豐は、そのおもかげを追って浅草の踊り子・露子を追っかけるが、いつのまにか病気で田舎に戻ったと 知り、自分はつくづく女には縁がないと思い、それからはわけもなく女を「買ひ散す」ようになった―。荷風の体験が元かも。味のある短編。
「濹東綺譚」(9/5―9/7)荷風の代表作のようにいわれている。若い頃、題名のイメージから外国の怪奇小説かと思っていた。何のことはない、 東京・墨田区の東の一区画、花の井での老作家と売笑婦の情愛のこもった交流を描いている。そんな男女の交情が、震災後の東京の下町、それも娼窟ともいうべき 退廃の極みのような花の井の、微に入り細を穿った描写を背景に、不思議な懐かしさを感じさせる。それこそがこの作品の生命であろうか。事件らしいこともなく 淡々と筆を運びながら飽きさせない描写は荷風の真骨頂である。今では死語(古語?)ともいうべき言葉も丹念に調べながら読み進めた。 「古本を
「ひかげの花」 (9/1)題名から大体の想像はつく。女給とヒモ男の話である。が、不思議と暗くはない。「花」という題もそれを暗示するか。 女はお千代、男は重吉といってこの二人の楽天的な心理描写がリアルで説得力があり、どん底の凄惨さ(例えば心中など)に陥ることなく淡々と世知辛い世を 渡っていく。最後の方でお千代が若くして生んだ実の娘が登場し、十何年ぶりの再会に特に恨みもいわず、母に似た境遇を母に似た人生観で乗り越えていくだろう ことを、恩人への手紙で述べて作品を閉じている。
「つゆのあとさき」(8/30) 昭和初期の東京で女給をしている君江は、カネに執着するでもなく恋愛に溺れることもなく、同時に何人もの男を 渡りながらその日暮らしのような呑気な生活をしている。その対照ともいえる女が鶴子で、過去の過ちからすでに愛も未練もない夫(君枝のオトコの一人)との 苦渋に満ちた生活をしている。が、ふとしたことから某外国婦人の秘書として洋行することで新境地を見出していく。舅はそれを喜んで送り出す。君枝は昔の男 から手酷い仕打ちを受け、10日余り寝込むうち梅雨も明ける。久しぶりに逍遥するうち、今度はすっかり落ちぶれた昔の恩人・川島に出会い、一晩飲み明かして みると、翌朝川島は死を覚悟した置き手紙をしていなくなっていたところで、話を結んでいる。
「夜の車」 震災前の人力車が近頃は自動車になり、芸妓も素人になって手練手管で客を引くという話。小説というほどのこともない。(08/29)
「榎物語」 ある小さなお寺の住職が自分が死んでも50年経った時にしか開けるなという遺言を箱に残し死去。遺言を守って箱を開け、中の遺言書を 叙述するという形式の物語。遺言を擬古文で語ることで幕末の雰囲気を醸し、読みにくそうでわかりやすい。小心者が大金を手にしたことで数奇な運命に 翻弄されるという教訓に満ちている。(08/29)
「あぢさゐ」(08/12〜08/14)三味線弾きの宗吉がお世話になった旦那に、惚れた芸者との顛末を話す。初心ながら男を手球にする君香に怒り心頭に なって殺そうとするが、既のところで他の男に先を越される。(08/16)
「かし間の女」 関東大震災直後の荒廃と復興の東京を背景に、男の身勝手さに翻弄されながら妾と私娼を繰り返している女がついに警察に拘留される までの、男女の相克を描く。
獅子文六「自由学校」 2026/08/01―08/10:角川書店「昭和文学全集4」昭和28年
駒子という女性とその旦那である五百助が夫婦喧嘩の果に五百助が家出をし、波乱万丈の半年間の末、家に帰って仲直りするという話。終戦直後の世相を かなりリアルに描いている。
駒子という女性とその旦那である五百助が夫婦喧嘩の果に五百助が家出をし、波乱万丈の半年間の末、家に帰って仲直りするという話。終戦直後の世相を かなりリアルに描いている。
獅子文六「てんやわんや」 2026/07/15―07/30:角川書店「昭和文学全集4」昭和28年
太平洋戦争終戦後の世相の中、四国の田舎に都会の喧騒を逃れた男を巡るてんやわんやの騒動を描き、最後には南海地震の壊滅的状況を経験して東京に 帰る話。
太平洋戦争終戦後の世相の中、四国の田舎に都会の喧騒を逃れた男を巡るてんやわんやの騒動を描き、最後には南海地震の壊滅的状況を経験して東京に 帰る話。
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