省エネ・マシンの製作 97年

ラットエンジニアリングは自転車がメインで活動していますが、モータースポーツもやっていた時期があります。スズカサーキットで開催されていた省エネカーレースのマイレッジ・マラソンです。1997年、99年、2000年の3回です。ふつうは1台作るとそれを何年か使用していくのですが、ラットエンジニアリングは技術的な実験から毎回新車を作って出場しました。


チーム態勢、考え方

1)すべての作業を一人でこなす。(1チーム5人まで参加できます)

2)燃費での勝負は考えない。500チーム前後の参戦で、自動車メーカーが参戦しているくらいですから。でも自分の考え方をモノとして作り、どこかでインパクトを与えられるかもしれない

竹ヒゴを使った1/5サイズ検討モデル。ずっと前から出場を考えていたので、プランだけは膨らんでいました。わたしは自転車関係ですから前1輪、後2輪が自然でしたし、一般的なマイレッジスタイル(前2、後1)はとりたくありませんでした。

車体は細いパイプ溶接、前輪はハブステアリング、旋回性を高めるリーン機構、3輪自転車の機構を使ったトーションバーによる復元機構、一人で鈴鹿サーキットの乗用車往復を考えた分割式車体などの盛り合わせです。

車輌は2ケ月で製作しています。全長2022ミリですから小さい方ですがさらに乗車部と駆動部で2分割でき、乗用車の車内に積載できます。サーキット往復1000キロをなるべく楽にできるように、また、小さくなることも省エネの精神にかなうと考えました。ボルト、ナットの固定と電装系の接続だけで組み立て完了です。

製作で夢中でしたので、鈴鹿に行ってから他チームのマシンとあまりにもカタチが違うのでビックリしました。エッ! 違うモノを作っちゃったの? (写真手前側が後ろです)

タイヤ径は16インチで前ハブ内に操舵機構を組み込んでいるのでへッドパイプが見当たりません。ハブ内にヘッドパイプが入っていると言った方が分かりやすいかもしれません。目の前になにもありませんから前方の視界が良くなります。細いタイロッドで操作します。ドライバーの足はフレームの前側まで、タイヤを挟む形になります。FRP製球面ディスクを付けました。

ハンドルはなるべく幅が狭くなるように作りました。電気のメインスイッチ、スターター、ブレーキ2系統、アクセルレバー、空走時の噛み合いクラッチ操作レバー、バックミラーが左右についています。

こんなに付けたくないんですがレースのレギュレーションで決まっているものもあるんですね。

車体の分割部です。ここで前後分割でき、また、乗車する前部のみコーナリング時に自転車のように傾けることができます。トーションバー(ねじり棒ばね)を中央に設置し、ばね力で復元します。トーションバーで車体の剛性も向上しています。

車載時は前部を助手席に、後部をトランクに入れました。もちろん道具、工具、材料、万力など満載です。これでさらに車中泊ですから、、、夜逃げみたいなスタイル。

エンジンはホンダ製ボーカル型、49cc、4ストです。エンジンは自宅にあった800キロしか乗っていないスペイシーから調達しました。エンジンからチェーンで減速して遠心クラッチにつながります。2軸3段のギアで減速してシャフトにより駆動されます。最後のスプラインシャフト部に噛み合いクラッチがついていて、ハンドル部からワイヤーで操作できます。

技術賞をいただきました。燃料タンクをかたどったトロフィです。

こんなモノをもらっちゃって、また作って出ろってことなのかな?

テスト走行もしないで鈴鹿に行きましたので完走はできませんでした。リタイヤです。

技術賞をいただきましたので報われました。たいへん苦しいレース(製作)でしたので今でも思い出すとどこかが苦しくなります。この受賞がドロ沼の始まりでした。

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