BSモルちゃん(1) 2003年2月

日本のブリヂストンサイクルとイギリスのモールトンバイシクルが共同で開発したブリヂストン・モールトンです(BSモールトン)。詳しいことは自転車のカタログ(詳しすぎて読むのが大変なの)にありますので省略しますが、この自転車でわたしが最初に注目した点は、全体のバランスの美しさでした。一般的なものには折りたたみ方式もありますが、小径折りたたみ自転車の設計は大きく分けて2つの要素を同時に満足させなければならないのですね。1つは走行時の性能、2つめは折りたたみ時のコンパクトさ(折りたたみやすさ)です。

折りたたみ自転車は設計時のせめぎあいの中で2つの要素のどちらに比重を置くかによってどちらかに片寄ったものになりやすいのです。折りたたみ時はコンパクトでも走行状態でライダーの乗車姿勢がおかしいもの(乗り手の容姿は別としてね)もあります。


市販の小径折りたたみ車にもときどき見かけますね、全体のポジションがおかしくて、乗り手の乗車姿勢がカッコ悪く見えるもの。あんなものはタダでもらっても乗ってはいけません。 その点、分割式は比較的、理想のポジションがとれるので美しい小径自転車が作りやすいように思えます。

全体のバランスがとれて、設計寸法がしっかりした自転車は乗る人を美しく、躍動的に見せるものです。 この自転車はきれいだと思います。また、乗る人を美しく見せてくれます。(くどいようですが、乗り手の容姿は別ですからね!)


と言うことで、今一番乗っている自転車はこれです。半日ぐらいのサイクリングに最適です。使用時に特に荷物があるというわけではありませんが、何かを収納する場所が欲しかったんですね。オプションパーツも販売されていますが、全体に大きくて、オオゲサ。もっと小振りで車体にマッチするものでこんなものを考えました。フレームとキャリヤが構成する四角形の部分にボックスを付けようと思ったんです(写真2)。


テーマは入れ物(物入れ?)です。

リヤキャリヤの下に設置します。キャリヤの上面部に手が入り物を出し入れできるスキマがあります(写真3)。写真のものはウレタン発泡材で形状を出してからグラスファイバー(FRP)で固め、表面をポリパテで整形したものです。表面仕上げはグレーの塗装をしてみました。手を出し入れするところは黒のテーピングで表現してみました。これを原型(マスターモデル)にしてFRP取りをしてボックスを完成させます。実際のボックス製作は次回までにやっておきます。今回はこの原型を取り付けて大きさ、形状を確認しました。側面にマーク(それもわざわざBSモールトンのを手作り、、、ご苦労様です)もそれらしく貼り付けてみました。全幅はギヤクランクの回転軌道がありますから80ミリぐらいで抑えてあります。

箱を作るにはいろいろな方法があります。今回は簡単なFRP成形ということでやってみます。FRPは曲面の成形が得意なので今回のものには適していると思います。ちゃんと手順を踏めば難しくはないのですが、ベタベタしているのでできれば触りたくない材料です。FRPは応用範囲が広いのでモデルから製品まで多く使っています。このボックスを作ってから実際に取り付けて使用してみますね。でもコレ、なにを入れればいいんだろう?


このBSモールトンも1月号でも書いた分割式モールトンのワイヤージョイント(変速ワイヤーも)と同様の不具合があります。モルちゃんとの共同開発だそうですから、そんなところも共同したかったわけですね。気持ちはわかります。こちらの場合はメインパイプの側面にワイヤーが通ってますから走行時の上下振動でキズがつくことはなさそうです。でも対策をした方(対策済かな?)がいいと思うんですね。

そういえばこんなことわざを思い出しました。「三尺去ってモルちゃんの影を踏まず」たぶんこのワイヤージョイント部で日本的な奥ゆかしさ・ひかえめさを表現しているのでしょう。自転車製作修行の厳しさを感じます。

いろいろ書きましたが、いい自転車なんですから長く生産してもらいたいものです。(できればもう少し安くね)

自転車ってほんとにむずかしい。


次回のおはなしは3月8日までに更新しておきます。ボックス製作の工程を紹介。

こんな話しですがわかってもらえますか?

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