落札予想価格1万円の絵画が、ゴッホと鑑定されて、6600万円で落札されました。会場は900人の人が集まり、400人以上がオークションに参加したと報道は伝えています。
会場に遅れて着いた私は、その異様な光景を目の当たりにしました。
通常、このオークションは1階を会場とするのですが、人数が多すぎるために地階と1階の2会場として、モニターとマイクで連絡しあいながら、オークションは行われました。(音声がうまく伝わらず、上階の進行役のオークショニアはときどき大声が必要でした。)
階段までも人で埋め尽くされた会場で、途中から空いた席に座れたのはラッキーでした。しかし、オークションに参加することは出来ませんでした。
なぜなら、ほとんどの品物がエスティメイト(落札予想価格)の10倍から100倍もの高値で次々と競り落とされていくのです。そこで、入札はすぐに諦めて、この前代未聞の狂劇の見物と記録に行動を転じることにしました。
故中川画伯のコレクションとはいえ、墨や硯一つに何百万円もの値段が付いていく様は、まさに狂気です。
ゴッホの絵の落札予想価格が1万円だったからといって、他の1万円の物が何十倍もの価値があるとは思えません。集団心理も働くのでしょうが、過熱しすぎといわざるを得ません。
周りの雰囲気と何とか自分が手に入れたいという心理から、つい競ってしまう。オークションとは、多かれ少なかれそういう心理が働くもので、後で考えてみると失敗したなと思うことがあります。
ご高齢の方も多数参加されていましたが、長年にわたって築きあげた財産ではないのでしょうか。人ごとながら妙な心配をしてしまいます。
冷静になって、それでも満足できるのならいいのですが…。
オークションでは、ハンマーが打たれたその瞬間に、品物の所有権は落札者の手に移ります。ハンマーの後から手を挙げてもダメだし、返品も利きません。オークションにはクーリングオフ制度はないのです。
皆さまもくれぐれも過熱しすぎないようにオークションに参加してください。
そういう私も、実は、自分自身に言い聞かせなくてはいけないところなのですが……。