歌集 八

我も又被災者の如く食事さえ
         通らず毎日点滴を受く
急逝せし姪の家族も新聞に
         記載をされて初めて逢えし
五十年も経ちし父の忌の朝に
         酒を供えて父に語りぬ
教え子に囲まれ花束受く教師
         春の日浴びて輝きており
テレビやら雑誌に新聞オウム教
         幼児迄にも知れ渡りおり
山肌を削りし径を登り行き
         橋立見える丘で蕗摘む
蓬刈りどくだみ車前草採り混ぜて
         軒に吊るしてお茶を愉しむ
夏野菜黄色に雨焼け萎るるに
         野山の草花萌える長雨
ふつふつと日照り続きの神の井戸
         涸れる事無く水満ちており
宿題の得意な科目分担し
         写し書きするユニークな子等は
立ち止まり話をしては歩むる媼
         朝の散歩の愉しき時間
重たいネ頑張ってネと背の孫は
         言葉巧みに吾を励ます
おばあちゃん有り難うネと指吸う
         孫は夢路で我が背にいるらし
遠征より帰りし吾子の大袋
         汗を包んでどっさと帰る
香ばしき匂い漂う豆腐やの
         前を過ぐれば夜明けも近し