その他の生きている
バスの廃車体というと、物置や休憩場所になっているのはいいほうで、大半は放置されて荒廃しています。そういった中できちんと整備され、何かの役に立っている廃車体をここにまとめてみました。もっとも、中にはその第2の人生も既に終えてしまったものもありますので、どんな状態であれ廃車体は安泰ではないということのようです。サーキットの受付・待合所
撮影:中井町(2012.5.12)
信南交通 日野RE100(1974年式)
大人と子供が一緒に楽しめるバイクとカートのサーキットにある黄色いバスの受付・待合所。今もカッコイイつなぎに身を固めた子供たちが、バスの脇でなにやら作戦会議をしています。
車両は金産ボディの前後ドア車。この地域から程遠くない所にも、似たような仕様の車両は活躍していましたが、側面方向幕なしの仕様や右側面に見えた元カラー痕から信南交通だと思われます。
カラオケハウス(廃業)
撮影:樋口一史様(三川村 2004.9.11)
新潟交通 いすゞBU04(1978年式)
撮影:樋口一史様(三川村 2004.9.11)
カラオケハウスとなっていたものが、廃業して廃墟のようになっている風景です。
6台も同じ形のバスを並べ、綺麗にペイントし、系統窓に部屋番号を入れるなど粋なカラオケハウスだったと想像できます。敷地内にはアミューズメントハウスもあり、かつてはかなり賑わったのでしょう。残念ながら今はこのありさま。ガラスもかなり割られています。
車両は、側面中央部の方向幕が示す通り元新潟交通。前ドアのガラスは通しガラスになりましたが、後ドアは窓の小さい折り戸。サッシ窓は上段が下降する後期タイプ。ということで1978年式と推定してみました。
(撮影者によると、2009年現在撤去済みです)
スキーハウス
撮影:菅原義人様(東根市 2005.4.24)
神奈川中央交通 いすゞK-CJM550(1983年式)
黒伏高原スノーパーク「JUNGLE JUNGLE」でスキー場の休憩室として使用されている廃車体。このスキー場でイメージカラーとして使われているラスタカラー(エチオピア国旗の色)に綺麗に塗り分けられているため、ただの建物としておくには惜しい感じです。室内には飲み物の自販機も設置されています。
車両は元神奈川中央交通の長尺のいすゞ車で、中ドア周辺の窓の形から年式を推察しました。
(ストリートビューによると2014年9月時点で撤去済み)
元スキーハウス(?)
撮影:菅原義人様(東根市 2005.4.24)
西武バス 日産デP-U32N
上のいすゞ車と同じ色に塗られていますが、隅のほうで雪に閉ざされているので、もう使われていないようです。こちらのほうが新しいので、ちょっと複雑な感じです。
富士重工製の5E型ボディで、リベットレスのU32ですが後面に通気孔のある1984〜86年式です。サイズや方向幕などから、中古車として流通実績のある西武バスと推察しました。
いずれにせよ、元は送迎バスとして使われていたのでしょうか。
(ストリートビューによると2014年9月時点で撤去済み)
スキー場のキッズハウス
撮影:北広島町(2007.3.3)
広島交通 日産デP-UA32N(1985年式)
自社グループの「八幡高原191スキー場」で子供のための休憩所になっている広交バスです。このスキー場のイメージカラーであるブルーに塗られていますが、ホイールに広島交通の面影が残ります。
子供にとってはスノボで遊ぶのと同じくらいバスで遊ぶのも楽しいようで、運転席に座ったりワイパーで遊んだり、よき遊具と化しているようです。
自販機が置いてあるあたりに中ドアがあって出入口になっています。
(ストリートビューによると、2013年10月時点で撤去済み)
タクシーの共同休憩所
撮影:大阪市(2007.11.21)
自家用 三菱MK115H
新大阪駅の目の前にバスの廃車体があるとは思いませんでした。
タクシー会社の共同休憩所ということで、中型バスが置いてありました。バスそのものは、どこでも見られた自家用の中型バスで珍しくもありませんが、日本でも有数の新幹線駅前にあるということで目を引きました。
正面の社名表示窓に「共同休憩所」の文字が入っています。型式は推定です。
(2018年10月に撤去を確認)
看板代わり
撮影:畦道ノスタルヂィ様(各務原市 2011)
三菱 P-MP725S
バスのシートなどのメーカーである天龍工業の看板代わりに置かれた三菱エアロバス。
車体にはアートが描かれ、「BUS-KAWARU-SYSTEM」という文字が書かれています。
(ストリートビューによると、2012年5月〜2015年7月の間に撤去)
天神PCRセンター
撮影:福岡市役所(2021.4.10)
西日本鉄道 日産デKC-UA460LSN(1999年式)
この当時世界を席巻していた伝染病のPCR検査が車内でできる会場。基本的に据え置きですが、移動できるので、自家用ナンバーがついています。
2020年12月に設置され、当初はいすゞKC-LV380N(1997年式)・車番1211だったようですが、この時は5429に代わっていました。
カミナリ避難所 日野K-RL301(1980年式)ほか
撮影:上田市(2010.7.23)
山の中腹にあるグランドの脇を通る砂利道に3台並んだ茶色いバス。車体には「カミナリ避難所」の文字が。
この場所はグランド利用者だけでなく、登山者も通る道。急な雷雨に見舞われたときに避難する場所のようです。車内の座席はほぼそのままで、運転席には仮設の担架も置かれています。
3両ともかつてはこの地で自家用送迎バスとして活躍していたバスのよう。廃車になり、ここに据えられた後、茶色1色に塗り替えられたようです。
2両目は日野の中型車RL300(1978年式)、3両目は日産ディーゼルの中型車K-RM80E(1983年式)です。2両目のバスの隣にいるのは現役のトラックに水道をつけた給水車で、水道のないこのエリアでの飲料確保のために配備されているようです。
リフト操作室(廃業)
撮影:樋口一史様(加茂市 2004.9.11)
蒲原鉄道 いすゞBF30
撮影:樋口一史様(加茂市 2004.9.11)
スキー場のリフトの操作室になっているバス車体。かなりシュールな光景ですが、考えてみればリフトの操作室と言うのは、マイクロバス程度の大きさです。これを造った人はかなりのアイデアマンだったと考えられます。
運転席付近は切り取られてしまっており、ボンネットバスにも見えますが、キャブオーバーバスのいすゞBF30と推定しておきます。元々このスキー場リフトを経営していたのが蒲原鉄道だったということなので、前歴は蒲原鉄道でしょう。
このスキー場は一旦閉鎖になったものの、現在は自治体が買い取って復活、周囲は公園化されています。
(撮影者によると、2005年に撤去)