バス図書館
「バス図書館」という言葉があるそうです。その一つは小さなバスに本を満載して地域をめぐる移動図書館なのですが、もう一つは廃車になったバスを地域で購入して子供のための図書館として使用するというもの。今回ここで取り上げるのはもちろん後者です。小さな地域で図書館を建てるのはお金がかかるので大変です。しかし廃車になったバスを安価で譲り受ければ、開設費用を低く抑えることができ、その上子供たちも喜ぶので一挙両得と言うことができます。ここではそんなバス図書館のいくつかを並べてみます。
大欠なかよしバス図書館
撮影:ソルティドッグ様(鹿角市 2006.5.13)
日産E690
撮影:ソルティドッグ様(鹿角市 2006.5.13)
廃車になったバスを図書館として活用している事例です。図書館というだけでなく、車体には子供たちの絵が描いてあり、イラストバスのようになっています。
後部は車体が切断されて壁と入口が設けられています。雨漏り防止にちゃんと屋根も設置されています。
車両は新日国工業製ボディを持つ日産キャブスター。キャブオーバー車なので、エンジンは前部にあります。
市立図書館のある市街地から10km離れた過疎地の子供に本を読んでもらうため、1976年に開設されたそうです。(注1)
バス図書館
撮影:稲沢市(2009.2.8)
名古屋市交通局 日野RB10
団地の敷地内に置かれたバス図書館。子供が喜びそうな派手な色に塗られていますが、古い団地の中でひときわ目立つこの色は、逆に時代の移ろいを感じてしまいます。
金産ボディの中ドア車で、窓は開けやすいようにすべて横引き式に変えられています。1963年式くらいでしょうか。
(稲沢団地の取り壊しのため、2010年頃には消滅しています)
児童文庫
撮影:茨城県(2013.1.13)
大利根交通自動車 いすゞBA30(1971年式)
自治会の集会所の隣に「とねっ子文庫」と名付けられた児童文庫が置かれています。水色をベースに、子供たちが描いたのか動物や宇宙、新幹線などの絵が散りばめられています。
バスの横には、カバやパンダの遊具も置かれています。
ひまわり文庫
撮影:旅男K様(高槻市 2007.1.27)
三重交通 いすゞBU10D(1976年式)
団地の中にあるバス図書館。中ドアが出入口になっているようです。
この年式で大型方向幕になっているあたり、いかにも元三重交通というスタイルです。
現役時代の登録番号は三22か671、車番は1220です。
(2019年5月に撤去)
バス図書館
撮影:京都府(2010.11.3)
京都交通 日野RV731P(1979年式)
小学校の校庭に置かれたバスの図書館。子供たちの手によるペイントで、綺麗に維持されています。
車両は、京都交通が園部方面の急行用に投入した観光シャーシに路線ボディを載せた特徴ある車両。おまけに、後年の車体更新時に正面方向幕をスケルトンタイプの大型枠に改造したため、独特な顔立ちになっています。
バス図書館
撮影:旅男K様(比島交通公園 2007.6.17)
県交北部交通 日産デP-RM81G
交通公園にあるバス図書館。元高知県交通の車両で、最終的には分離子会社に所属していたようです。
公園の中にあり、かつ図書館として活用されているため、車両の状態は非常によいようです。正面の方向幕には「未来」の文字が入っています。
かいづか文庫
撮影:朝霞台様(千葉市 2007.1.20)
京成電鉄 日野P-HT235BA
団地の中で児童図書館になっている2台の日野車。中ドアが入口になっているようで、ヒサシがつけられています。車内には本棚などが設置されていると思われますが、外からではよく見えません。
色は完全に塗り替えられていますが、場所柄京成電鉄と推察します。
(2014年に後継車両に代替され撤去)
かいづか文庫
撮影:千葉市(2018.9.8)
京成バス 日野U-HT2MMAA
2014年に代替された「かいづか文庫」は、それまでの2台体制から1台に“減車”されました。
これまでと同じ京成バスの日野車で、正面方向幕周りが変わり、前照灯は丸灯のままという1990〜95年式。中ドアが交換されて出入口になっている点も、これまでの車両と同じです。
(注2)