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(有珠山)西山山麓火口散策路

2000年の有珠山噴火に伴い形成された西山火口周辺で、被害を受けた建物や道路をそのままの形で残し、災害の様子を体感できるよう整備された散策路。
ひび割れたり隆起した道路や、噴石でガラスの割れた建物などのほか、放置されたままの自動車などもあり、噴火災害の恐ろしさが実感できます。この中に、数台のバス車両があるため、ここに掲載します。
この一帯は、2015年にユネスコ世界ジオパークの一つでもある「洞爺湖有珠山ジオパーク」に指定されています。

DATA

  • 名称・・・西山山麓火口散策路
  • 所在地・・・北海道洞爺湖町泉
  • アクセス・・・
    ・JR室蘭本線「洞爺」駅より洞爺温泉方面バス約15分「西山遊歩道」下車(北口ゲート付近)
    ・同バス約10分「給食センター前」下車(南口ゲート付近)
  • 開園時間・・・4/20〜11/10頃の7:00〜18:00(10/1〜11/10は短縮)
  • 休園日・・・冬期(11/11頃〜4/19)は休園
  • 入園料・・・無料
  • 公式サイト・・・https://www.toya-usu-geopark.org/trail/nishiyama
この情報は、2024年10月現在です。
有珠山の眺め
西山山麓火口散策路

西山山麓火口散策路の西側を走る現在の町道にある「西展望広場」から見た有珠山です。中央に大きく見えるのは有珠山の一部である「西山」(543m)です。
その左奥に見えるのが1977・78年の噴火で誕生した「有珠新山」(669m)、さらにその左奥は1853年の噴火で誕生した「大有珠」(733m)で現在の有珠山の山頂です。

西山山麓火口散策路の全容
西山山麓火口散策路

西山火口散策路の全体図が載った看板です。
左側が南口ゲート、右側が北口ゲートで、西山火口付近を望みながら、勾配を2kmほど(徒歩で1時間弱)歩くコースです。
散策路と並行して下方に点線が描かれていますが、これが旧国道230号線で、噴火による隆起などで寸断され、歩くことはできません。
散策路は周遊路ではないため、全部を見るためには同じ道を行って帰る必要があります。

北口ゲート
西新山沼と国道230号線
西山山麓火口散策路

北口ゲートのすぐ脇にある沼は、噴火による隆起によって沢が堰き止められてできた「西新山沼」です。
沼の向こうにセンターラインのある舗装道路が見えますが、元は手前から続いていた国道230号線です。それも下り坂だったものが、今は上り坂になっています。その部分が隆起したためで、沼が堰き止められた原因も同じです。

西山山麓火口散策路

西新山沼には、自動車が沈んでいます。マツダファミリアで、噴火を取材に来た報道関係者のレンタカーだそうです。噴火が始まり道路上に放置されました。
一時停止の標識や、電柱、電線があることから、ここが道路の交差点だったことが分かります。
池の向こうの建物は、旧西胆振消防本部。

西山山麓火口散策路

西山山麓火口散策路

西山山麓火口散策路

北口ゲートには駐車場やトイレがありますが、観光客を対象にした店や休憩施設はありません。
そこに立てられた看板を頼りに、散策路を歩いて行くことが唯一の方法です。
道路の脇に、三菱の観光バスの廃車体がありましたが、これが災害と関係あるかどうかは分かりません。

町道を横切った断層
西山山麓火口散策路

散策路は国道230号線と並行に走る町道(旧泉公園線)に沿って進みますが、間もなく旧町道は大きな段差により通行できなくなり、散策路はその脇に作られた木道に変わります。
西山山麓は75m隆起し、この断層はグラーベン(地溝)が形成されたことによるものだそうです。
アスファルトを切り刻んだ断層から、1本の木が育ってきています。噴火から20年以上を経て、自然環境の力強さも感じます。

第1・第2展望台
第2展望台を望む
西山山麓火口散策路

散策路を進むとまず第1展望台が、続いて散策路のピークである第2展望台が見えてきます。
第2展望台は、約75m隆起した2000年新山の頂部に当ります。
散策路が整備された当時は、断層が露出し、噴煙も見られたそうですが、時とともに植物が茂り、普通の野山にさえ見える光景に変わりつつあります。

噴火を予測していた重機
西山山麓火口散策路

地中に埋まりつつあるショベルカーがありました。
2000年の噴火の際、マグマの上昇によりずれた水道管を修理する工事の最中に噴火が始まり、そのまま置き去りにされたそうです。
この場所は、「旧町道ルート」というマイナーなルートの更に枝道にあり、見つけにくい所にあります。

割れ目噴火
西山山麓火口散策路

噴火によりできた「割れ目火口」が池になっています。その向こうの上の方に第1展望台があります。
崖の上は噴火前にあった町道の断面だそうですが、時の流れで木が茂ってしまい、大きな段差を隠しつつあります。

南ゲートへの後半ルート
西山山麓火口散策路

ピークの第2展望台からは、木製の散策路を下ります。
向こうに見えるのは、内浦湾(噴火湾)です。

破壊されたお菓子工場
西山山麓火口散策路

破壊されたお菓子工場です。
当然、平らなところに建っていた工場ですが、地面の隆起により変形し、屋根には噴石で穴が開いてしまいました。

傾いた電柱
西山山麓火口散策路

お菓子工場の近くで傾いたままになった電柱。ここには並行して旧町道が走っているのですが、断層により形を大きく変え、更に緑が生い茂って原形を偲ぶことはできなくなっています。

住宅と乗用車
西山山麓火口散策路

破壊された住宅と、置き去りにされた乗用車です。2000年にしては古い日産スカイラインですが、愛着を持って乗っていたのでしょう。
住宅の破損は、散策路完成当初から時がたち、自然破壊も加わっており、必ずしも噴火による影響だけではないようです。

南口ゲート
西山火口散策路

南口ゲートには、「とうやこ幼稚園」の建物があります。幼稚園では、新年度の入園式の準備をしていた時に被害に遭ったそうです。もっとも、噴火2日前の3月29日には住民に避難指示が出ており、死傷者はいませんでした。
南口ゲートにも駐車場があります。散策路を通り抜ける場合は、観光バス(または仲間の一人)に反対側の駐車場に回って待っていてもらう必要があります。

幼稚園バス
西山山麓火口散策路

とうやこ幼稚園の通園バスが割れたガラスそのままで置かれている象徴的な風景。
黄色いバス停標識もそのままで、時間の流れが止まっています。

西山山麓火口散策路

幼稚園のグランドの遊具の奥にある道南バスの廃車体。地面に刺さったような石は噴石でしょうか。

保存車両の概要
  • バス(3両):マツダパークウェイなど廃車体
  • 乗用車(2両):廃車体
  • 重機(1両):廃車体

洞爺湖町火山資料展示室

洞爺湖町火山資料展示室

西山山麓火口散策路の北口ゲートの近くに、旧西胆振消防組合本部庁舎を利用した火山資料展示室があります。この建物も、噴火の影響で建物が傾斜し、1階は沼で浸水しているそうです。

洞爺湖町火山資料展示室

こんなのが展示されていました。
手押しポンプ車でしょうか。

火山科学館

洞爺湖町火山科学館

洞爺湖畔の洞爺湖温泉の近くに、洞爺湖ビジターセンターと火山科学館があります。
この近くには洞爺湖文化センターやサミット記念館などもあり、分かりにくいですが、木でできた三角屋根の建物が火山科学館です。

洞爺湖町火山科学館

2000年の有珠山噴火で被災した軽トラック(スズキキャリイ)です。
洞爺湖温泉側の金毘羅山麓火口から300mほど離れた場所に駐車してあったもの。噴石の直撃により、窓ガラスが割れ、屋根が窪んでいます。

洞爺湖町火山科学館

2000年の火山活動の地殻変動により歪んでしまったJR室蘭本線のレールも、展示されています。

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