日本自動車博物館
館内は、車種別、メーカー別などに1階から3階まで、12,000uの展示空間に約500台が展示されており、その規模には圧倒されます。
- 名称・・・日本自動車博物館
- 所在地・・・石川県小松市二ツ梨町一貫山40番地
- アクセス・・・JR北陸本線「加賀温泉」駅より周遊バス(CANBUS)「日本自動車博物館」下車
- 開館時間・・・9:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日・・・年末(12/26〜31)
- 入場料・・・大人 1,200円/小中学生600円など
- 公式サイト・・・http://mmj-car.com/
1F
まず入場券を買って正面のゲートを入ると、「車の王様」と題したコーナーがあります。
ここには館一押しの車が3台並んでおり、中央のロールスロイス・シルバーレイスは館のシンボルカーだそうで、本物のナンバーがついています。
左のベルリエV-G22は世界で1台しかない車だそうです。
そこから右の方に進むとすぐに、「大型トラック・バスの街」というコーナーがあり、ボンネットバスや消防車をはじめとした古い大型車が並んでいます。多くが1950年代までのボンネットスタイルで、トラックにもバスにも共通する懐かしい形状が一堂に並んでいます。ここまでの数の大型車を並べている博物館は貴重です。
トヨタの広場
トヨタの広場
フォードの広場
1階には、メーカー別のコーナーがあり、ちょうど大型トラック・バスと通路をへだてた「トヨタの広場」では、「いつかはクラウンへ」の宣伝フレーズのある吊り下げ看板の下に、歴代クラウンをはじめ、コロナやカローラなど、時代を彩ったトヨタ車が並べられています。
その隣には、「フォードの広場」が展開しています。
トヨタの広場の片隅に重厚な深緑色のオープンスタイルの車を見つけました。
1938(昭和13)年のトヨタABRで、戦前の姿で残されているのはこの1両だけとのことです。
ブラザー Nander-21(1984年式)
車種型式 三菱ふそう大型トラック K-FT316
全長 12m、全幅 2.5m、全高 3.8m
総排気量 11.149cc
最高出力 270ps/2,200rpm
ミッション パワーシフト方式(前進7段・後進1段)
1階の奥の方には、ちょっと気になる大きなバスのようなものが置いてあります。
これはブラザーのイベントカーで、以前は中に入れるようになっていましたが、今は鉢植えなどでバリケードがなされていて、説明板の姿もありません。
過去の説明板によると、三菱の大型トラックK-FT316をベースにした車両で、室内にはトイレやスライドキャビンを備え、出入口には着脱式階段と電動リフトを備えるという重装備の車両であることが分かりました。
車体は、後ろの方のスタイルから、エアロキングを作った呉羽自工ではないかと想像します。
1991年に役目が終わって同館に寄贈されたものですが、博物館というのは、こういう大きいものをどう維持するかという問題は常にあるのだと想像します。
フォードT型
フォードA型
シボレー
そして、バスの歴史を語る上では欠くことのできない、日本に自動車交通をもたらした米国の自動車たちです。
まずフォードT型が2台並んでおり、左側は1917(大正6)年、右側は1925(大正14)年の車両。自動車を高級品から大衆品へと変えた張本人です。乗合自動車としても多用された車種です。
次がフォードA型で、T型の後継モデルとなります。展示車両は1931(昭和6)年の車両。
そして競合GMが送り出したシボレーのオープンカーが隣りのコーナーに展示してあります。展示車は1929(昭和4)年の車両。
レオ スピード・ワゴン(1927年)
せっかくなので、バスのような車両をもう1両ご紹介します。
米国のレオが生産した車両の1台で、これは東京都がシャーシを輸入したうちの1台だとのこと。一時は消防車となっていたものを、ワゴンに改造したということです。
中1F
ワーゲンの街
モーリスの街(トラバント)
外車の街
1階から階段を上がった中途半端な高さにあるのが中1階です。
ここにはまず「ワーゲンの街」があり、お馴染みのスタイルのフォルクスワーゲン“カブトムシ”が何台も並んでいます。
次に「モーリスの街」があり、その一番隅に、東ドイツで最も有名な車、トラバントがありました。質の悪い車ということで名を広めたわけですが、私は個人的に名車だと思っています。
2F
威容を誇る車たちの広場
2階に上がると、ここはどちらかと言えば個性を主張している車の集まりになっているようです。そういえば、1階の車は「こういう車よく走っていたなあ」と懐かしむようなラインナップでした。
そんな個性の最初の入口付近にあるのが、ツートンカラーのキャデラック・クーペ(1956年)です。昔のアメ車のイメージというのはこういう車でした。こういうのがかっこよくて、こういうのが車に憧れる原動力になったのだと思います。
階段の上で天井にすりそうなのは、日本のくろがね四起(1941年)です。
日産の広場
「日産の広場」には歴代スカイラインが並びます。恐らく、ここで立ち止まる男性は数多いのだと思います。私が立っている間にも、そういうお父さんが二人もいました。
私にとっては、ちょうどここに写っているような昭和40年代に活躍した車が懐かしく感じられます。
2階のフロアには、ほかにも小型トラックやバイクがあったり、プリンスの街、ジャガーの街など、マニアックな人が好みそうな車のコーナーが置かれています。
中2F
輸出の先駆者の街
コニーの街
ホンダの街(シビック)
ここにも中2階というフロアがあります。
まずは、1960年代から日本車を左ハンドルにして輸出した意欲的な車両を集めています。手前の日産チェリーやトヨタカローラ、三菱コルトなどは、国産車としても馴染み深かったのですが、世界に羽ばたこうとしていた車両だったのです。
次が「コニーの街」。1960年代に軽自動車や三輪自動車を製作していたコニーのかわいい車が並びます。
続く「ホンダの街」からは初期のシビックを。子供の頃、リアにワイパーがあることや、軽自動車じゃないのに2ボックスであることにえらく感動したものです。
世界のトイレ
3階もあるのですが、ここでは割愛し、同館のもう一つの売りである「世界のトイレ」の一部をご紹介します。
各階にあるトイレには、世界のトイレが集められており、実際に使うことができるようになっています。
絵で見るバスの歴史
1階の「大型トラック・バスの街」の所で壁を見上げると、奇妙な壁画が目にとまりました。全部で10数枚あり、一番端の絵には「絵で見るバスの歴史」の文字がありました。
スタートは乗合馬車でバスのルーツであると書かれています。時代はすぐに戦後に飛び、ボンネットバス、キャブオーバーバス、天窓付の大型観光バス、そしてセミデッカー、パノラマデッカー、ダブルデッカー「エアロキング」などと続きます。そしてなぜか最後が「エアロバスK」。ここで気づきました。これは呉羽自工が作った「バスの歴史」なのでした。
日本自動車博物館が最初に開館したのは富山県小矢部市。地元メーカーの呉羽から寄贈されたパネルだったのでしょう。
そう考えて見直してみると、キャブオーバーバスの上部がへこんだフロントガラスは、呉羽自工の個性が現われた作品です。
保存車両の概要
- バス(5両):いすゞBXD30型ボンネットバス(1968年式)、日産80型セミキャブバス(1939年式)、トヨタDB100型ボンネットバス(1965年式)、ロンドンバス(1963年式)、ビューティーバス(日産シビリアン)
- 乗用車など(500台以上)