いすゞプラザ
通常、このような施設では、役割を終えた古い車両の展示を目的にすることが多いのですが、ここではメインフロアに最新モデルを置き、その車内や運転台への立ち入りを自由にしていたり、疑似生産ラインにより自動車製造の模擬体験ができるなど、ミュージアムというより自社製品を知ってもらうためのPR施設という側面が強いように見えます。
入場料は無料ですが、平日は完全予約制で、日曜日や大型連休は休業となるなど、見学チャンスは限られています。工場と連動しているため、それはやむを得ないことかも知れません。
- 名称・・・いすゞプラザ
- 所在地・・・神奈川県藤沢市土棚8
- アクセス・・・小田急江ノ島線/相鉄いずみ野線/横浜市営地下鉄ブルーライン「湘南台」駅よりシャトルバスで約10分
- 開館時間・・・10:00〜16:30(入館は15:30まで)
火〜金曜は完全予約制、土曜と祝日は自由見学日 - 休館日・・・日曜、月曜(祝日の場合は翌平日)、GW、夏季休暇、年末年始
- 入場料・・・無料
- 公式サイト・・・http://www.isuzu.co.jp/plaza/
この情報は、2023年10月現在です。
元々がいすゞの工場隣接地のため、朝晩には通勤用のバスはあるものの、日中の足がないため、いすゞプラザ自身で見学者用のシャトルバスを走らせています。
湘南台駅の東口(いすゞプラザのある西側とは反対側の出口になります)に「いすゞ行バスのりば」があり、そこにシャトルバスがやってきます。この時は、いすゞガーラのスーパーハイデッカーがやってきました。いすゞのデモ車と思われるカタログカラーの観光バスで、10分程度の乗車ではもったいないような車両です。
広々としたエントランスホールに入ると、そこから展示が始まると同時に、受付があります。入館料は無料ですが、ここで受付を済ませる必要があります。
受付では、服に貼るシールが渡され、受付を済ませた見学者であることが識別できるようになっています。
エントランスには、いすゞが最初に作ったトラック「ウーズレーCP型」(1924年式)が展示されています。経済産業省の「近代産業遺産」の認定を受けています。
いすゞのジオラマ
奥に進んでいくと最初に広がるのが、日本最大級のジオラマと謳われているミニチュアワールドです。
高速道路の高架が走る都会から神社がある山あいまで、リアルな街が再現されていて、そこにはいすゞのミニカーがこれでもかと並べられています。自走するミニカーもあり、交差点を器用に曲がってゆきます。
時間を決めて、夜明けから夜までの1日が、様々な仕掛けで楽しめるようになっています。また、細かいところでは、色々な隠し味があるようです。私は「街の遊撃手いすゞジェミニ」が見たかったのですが、大勢の子供たちがかぶりつきで見ているところに割って入ることはできませんでした。
1階のメインフロアに置かれているのは、いすゞの最新モデル。
左から、路線バス「エルガ」、大型トラック「GIGA」、中型トラック「フォワード」です。いずれも、車内に入ったり、運転台に座ったりすることができ、普段触れることのない大型車両に、子供たちは大興奮します。
ここにビンテージではなく最新モデルを置くところに、この施設の目的がよく表れています。
トラックができるまで
2階に上がると、トラックの仕組みを知るコーナーや、トラックができるまでの行程を知るコーナーなどがあります。ここは体験しながら製造工程や運送システム、環境対策などを学べるようになっており、この施設の真骨頂が表われています。
まるで本物の工場のラインような製造工程の1/20模型もあります。その隣には、実物大の製造過程も並んでいます。
この一角も、子供たちが、クルマを素材にいかに楽しめるかを追求しているコーナーで、運転シミュレーターが3台並べて置かれています。
車離れなどという言葉もありますが、こうやって夢中で遊ぶ子供たちを見ていると、やっぱり男の子は車が好きなんだということが分かります。こういう興味を掘り起こし、将来のファンになってもらうことが、この施設の目的なのでしょう。
いすゞの歴史
しかし、この2階の奥の方には、突然薄暗い空間が姿を現します。
まずはレストアされたスミダM型バス、TX80型トラック、いすゞエルフが見えます。
そしてその奥には、乗用車のベレル、シボレーLUV、ジェミニと、いすゞが作ってきた代表的な小型車がカラフルに並んでいます。
一番奥に見えるのは、いすゞが作ってきた歴代ディーゼルエンジンです。綺麗に磨き出された大きなエンジンは、美術館に飾られた芸術作品かのように錯覚するほどです。
歴代の名車は、実物には限りがあり、それ以外は模型になります。
しかしこの模型が圧巻で、1/43スケールの模型が年代順に過去から現在に向かって並んでいます。いすゞプラザ展示のためにすべて作られた模型だそうで、驚きです。
右の写真には、高速バス用に作られた“オバQ”バスや、ライトバス、ボンネットバス、BC型リアエンジンバスなどが見えます。ほかにも、ハイデッカーⅣ型やキュービック、初代ガーラなどがカタログに載ったカラーの懐かしい姿で再現されています。
歴史コーナーの出口付近に置かれているのは、未来の自動車。2017年のモーターショーで出展されたコンセプトカー「FD-SI」です。
未来の配送をコンセプトとしたもので、昆虫の群知能を集配方法に応用したという物。側面の六角形の窓は蜂の巣をモチーフにしたものです。そういう説明を受けて改めて眺めると、全体のフォルムも昆虫的に見えます。
サクラカフェ
見学を終えた後には、隣りにある「プラザ・アネックス」のサクラカフェで食事も楽しめます。
ランチなどもありますが、私は軽食にとどめました。
「選べるデニッシュ」とコーヒーです。お勧めのクロワッサンもあったのですが、「選べる」に惹かれてしまいました。
保存車両の概要
- バス(2両):スミダM型バス、いすゞエルガ
- トラック、乗用車など多数