その他の箱型バス
箱型バスにも色々あり、ボンネットバスと共通のシャーシに箱型ボディを乗せたキャブオーバーバス、中央の床下にエンジンを置いたセンタアンダフロアエンジンバス、そして車体後部にエンジンを置いたリアエンジンバスなどに分類できます。現在では、バスの主流はリアエンジンバスになりましたが、歴史の経過の中で生まれた個性的な箱型バスが、まだ何両か保存されていました。
キャブオーバーバス
動態保存車
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撮影:小野澤正彦様(栗原市 2009.9.13)
元塩釜交通 トヨタBM(1948年式)
終戦後のボンネットバスを1953年にキャブオーバーバスに更新したもので、元塩釜交通(宮城県)。2007年にレストアが完成し、現役時代をイメージするカラーになりました。
現在では個人所有となり、車検を取得しています。写真は栗原市でのイベントで展示されている姿。
保存車
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撮影:東武博物館(2005.1.22)
東武鉄道 日産180(1951年式)
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撮影:東武博物館(2005.1.22)
珍しいキャブオーバーバスの保存車。終戦後に製造された小型ガソリンエンジン車です。車体は富士重工製で、米GMCに範を取ったとされるくぼんだ正面窓が特徴のT5型ボディ。側面窓の形状も独特ですが、スタンディーウィンドウ(いわゆるバス窓)が現れるまではこんな形でした。
1989年に東武博物館を開設する際、倉庫となっていた廃車体をレストアして保存車にしたそうです。
なお、エンジンはバスの後ろで別に展示されています。
保存車(三角バス)
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撮影:飯能営業所(2015.11.21)
西武バス いすゞBF20(1966年式)
奥秩父の中津川線で狭隘トンネルを通過するため、窓から上を絞り込んだ特注バス。通称「三角バス」。
いすゞ製のキャブオーバーバスで、ボディは川崎製。(注1)
1978年に廃車になったものの、愛好家の手で動態保存され、1986年に西武バスの手に戻り、車庫内で保存されています。写真は、西武バス感謝祭で展示された時のもの。
センター・アンダー・フロア・エンジンバス
保存車
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撮影:ヒツジさん様(松本市 2004.8.8)
中山文庫 日野BK32(1958年式)
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撮影:ヒツジさん様(松本市 2004.8.8)
非常に特徴あるスタイルですが、テレビが普及する前に企業が宣伝活動に使用した宣伝車。オーバーデコレーションが時代を表していますが、流線型のヤナセ自動車のボディと非常にマッチしている気がします。ライト周辺をまとめた大げさなグリルと後部のデッキが印象的です。
この車両、松本市の中山文庫が日本経済新聞社から寄贈を受けて2001年に修復したものだそうで、屋根の下に置かれているほか、立派な解説板に詳細な諸元も書かれており、大切に保存されているのが分かります。
シャーシは日野のセンターアンダフロアエンジン車「ブルーリボン」の一員で、ショートWBの「ブルーリボン・マイナー」。
動態保存車(ゼブラバス)
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撮影:森之宮検車場(2008.3.23)
大阪市交通局 日野BT11(1964年式)
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撮影:酉島車庫(2005.3.22)
大阪市交通局が保存している日野センターアンダーフロアエンジン車。センターアンダーの特性は、完全にフラットな床面で、最後部まで有効に使えることですが、前後ドアの都市用車両では、その特性を十二分に生かすことが出来ます。この車両は、更に前後同一プレスという特徴も併せ持っています。
現役時代のものと思われる方向幕、広告看板、局番(34-3367)で長らく保管されていましたが、再塗装され、イベントなどの際に出動するようになりました。
当時のカラーデザインから「ゼブラバス」と呼ばれています。
動態保存車
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撮影:海さん様(信州バスまつり会場 2012.9.9)
元信南交通 日野BT51(1967年式)
元信南交通のセンターアンダーフロアエンジン車。
金産の丸型ボディですが、サッシ仕様のため比較的新しく見えます。非常口は後面にあります。方向幕両脇のスピーカーや中扉枠のある側窓配置など、当時の特徴的な仕様が偲ばれます。
現在、日本バス友の会(NPOバス保存会)の所有。
保存車
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撮影:洛西営業所(2006.8.26)
京都市交通局 日野U-CG3KSAU(1992年式)
京都市が往年の京都市電をイメージした観光用急行バスとして3両製造した「チンチンバス」のうちの1台。
ミッドシップエンジンの特殊車両用シャーシに東京特殊車体がレトロ調ボディを架装したもの。ダブルルーフで後部に展望デッキつき。
2006年に引退した後、1両(茶色)が営業所内に保管されました。写真のようにブルーシートをかぶせられて、鳩害防止が図られています。
電気バス
保存車
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撮影:洛西営業所(2006.8.26)
京都市交通局 三菱ME460(1979年式)
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撮影:洛西営業所(2006.8.26)
京都市交通局が環境対策として3両導入していた電気バスのうち1両が保管されています。
この電気バスは、三菱自動車・日本電池などと共同開発したもので、当時の一般的な三菱B35型ボディを架装しています。充電により鉛電池でモーター駆動する方式だそうです。
1987年に廃車となり、1両が現在も営業所構内で保管されています。