古バス考古学

グリーン観光バス

平成が始まってから四半世紀が経ち、もう現役の昭和のバスを探すのは難しくなっています。そんな中で、昭和末期や平成初期のバスが現役で活躍するグリーン観光バス(宮城県栗原市)の画像が届きました。
グリーン観光バスは、貸切バスを主体にしながら、地元栗原市の市民バスを受託運行していますが、それらには色々な中古車両が使用されています。

宮城200か1358            いすゞP-LV314K(1988年式)
LV314K

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

昭和最終期の富士重工5Eボディを持つ車両。古川市、築館町などこの付近のエリアに路線を持っていたJRバス東北からの移籍車です。しかし遡れば東京都交通局の車両で、JRバス東北が非冷房車などの老朽車両の代替目的で購入した中古車。JRでは地元古川営業所で使用されていたようです。
都会で大量の旅客を捌いてきた4枚折り戸は下半分が閉鎖され、中には座席が設置されているようです。自治体から受託の中学校スクールバスに使用されているようで、一般貸切登録です。

JRバス時代(宮城200か156)
LV314K

撮影:左党89号様(古川駅 2002.10.27)

JRバス東北 いすゞP-LV314K(1988年式)

上の車両のJRバス時代の画像です。
撮影者によると、車番は531-8416R9で、1999年度に古川営業所に配置、その後2003年度に二戸営業所に転属し、岩手200か778となった後、2004年度に廃車となり、グリーン観光バスに譲渡されたそうです。
都営バスからのこのボディの譲受車6両のうち、4枚折り戸はこの1両だけだったそうです。

宮城200か1363
LV314K

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

いすゞP-LV314K(1988年式)

上の車両と同じく富士重工5Eボディですが、こちらは中ドアが引き戸の仕様。やはりJRバス東北からの移籍車ですが、遡れば川崎市交通局。
JRでは青森県内の配置だったと聞いていますが、上の元東京都と同じ頃に登録されています。
やはり中ドアは下半分が封鎖されています。

宮城200か1560
RJ172CA

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日野P-RJ172CA(1989年式)
RJ172CA

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

元遠州鉄道の中型車。黒色の引き違い窓で中ドア折り戸と言う遠州鉄道の中型車は、中古車として相当数が流通していますが、その初期のもの。年式の割りに、前照灯角目、テール灯3連、車内はふかふかのハイバックシート、と古さを感じさせない車両です。
宮交グループにも同形車が入っていましたが、その車両の再譲渡でしょうか。

宮城200か1561
RB80G

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日産デP-RB80G(1990年式)

元京阪宇治交通の前後ドア車。日産ディーゼルが西日本車体の低床ボディとの組み合わせで発売した「スペースランナー」です。大きな正面窓が特徴で、サッシ窓の前後ドアはカタログにも載った仕様です。
京阪宇治交通の特徴である系統幕は、「市民バス」を表示する幕として生かされています。

宮城200か1466
MR132D

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

いすゞU-MR132D(1995年式)
MR132D

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

フロントエンジンで前ドア設置を可能にしたいすゞMR「ジャーニーQ」の中でも末期の車両。
このクラスでは珍しい前後ドアの路線バスを実現したモデルです。この車両も、前後ドア仕様で市民バスに使用されています。
車体は北村製作所製。

宮城200か1552
LR333J

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

いすゞKC-LR333J(1995年式)

いすゞLRの前ドア車。大型車LVと異なり、中型車は側面の窓の年次変化が見られないため、外見だけでは古いのか新しいのか判別が難しい型式です。
車内は緑色のシートが並んでおり、自治体バスの中古車のようです。

宮城200か1770
LR233J

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

いすゞKC-LR233J(1996年式)
LR233J

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

一瞬、これも元JRバスかと思いましたが、残念ながら冷房付の平成8年車。ドア上のISUZUロゴや、3連テール、エンジ色のセパレートシートなど、細部は全く別物でした。側面に方向幕はありません。これも自治体バスの中古車のようです。

宮城200か1778・1797
RN252CSN

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日産デKK-RN252CSN

グリーン観光バスが現時点で市民バスの主力として使用していると思しき7mサイズのワンステップバス。21世紀初頭に各地のコミュニティバスにもてはやされた車両です。
2003年で生産を終了していますが、グリーン観光バスでの登録は2010年頃。前歴はどこのコミュニティバスでしょうか。

宮城200か1354
MK116F

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

三菱P-MK116F(1984年式)

今回頂いた写真の中では最古参に当たる1984年式。三菱の短尺中型車で、自家用仕様ですが、市民バスに使えるように行き先板入れが付けられています。現在ではスクールバス用になっている模様。

宮城200か2137
LR312J

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

いすゞP-LR312J(1990年式)

これも自家用仕様の中型バスで、スクールバスに使用されています。
登録番号は新しい方です。

宮城200か964
MK517J

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

三菱U-MK517J(1991年式)

「エアロミディ」という名前がつき、エアロバスファミリーらしい丸みのあるスタイルになった三菱の中型バス。
カラーデザインからしてどこかの自家用バスとして使われていたものと思われます。グリーン観光バスでは貸切用途になっています。

宮城200う2
MS729S

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

三菱U-MS729S
MS729S

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

三菱のスーパーハイデッカー「エアロクィーンMV」。2階建てバス風の低運転台スタイルが人気でしたが、3年ほどで後継の「ニューエアロ」にモデルチェンジされてしまいました。
グリーン観光バスでは複数台を所有しているようですが、譲受車両と思われます。希望ナンバーで貸切バスでの続き番号を維持している模様。

宮城22く4
RA520RBL

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日産デU-RA520RBL(1994年式)

日産ディーゼルの「スペースアロー」と呼ばれる貸切バス。17型と呼ばれるボディは、癖のないまとまったスタイルなのですが、同時期の路線バスともスーパーハイデッカーとも互換性がなくなり、個人的には関心を持てませんでした。
グリーン観光バスの設立と同じ年式なので、設立時に揃えた新車だと思われます。

宮城22く7・8
RM210GAP

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日産デU-RM210GAP(1994年式)
RM210GAP

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日産ディーゼルの「スペースランナーRM」と呼ばれる中型貸切バス。路線バスを基本にしたボディを持つこの系列は、どちらかと言えば自家用を主とした用途を想定していたものと思いますが、この車両は、正面1枚ガラス、後面小型窓のデラックス仕様です。
これも、設立時に購入した新車だと思われます。

宮城200か1553
RR1JGAA

撮影:長谷川竜様(栗原市 2013.6.30)

日野KC-RR1JGAA(1997年式)

宮交栗原バスが宮城県から借り受けて栗原電鉄沿線で運行していた「栗夢号シャトル」のレトロバスが、グリーン観光バスに移籍していました。ほとんど手は加えられていないようです。
市民バスと書いてありますが、スクールバスのマークもつけています。

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80s岩手県のバス“その頃”