年鑑紳士録
2014(平成26)年
小保方晴子さん(おぼかたはるこ)
2014年1月、STAP細胞を発見したと世紀の記者会見をした後、論文の不正が発覚し、それでも「STAP細胞はあります!」という記者会見をして話題になった。
小保方さんはアイドルなのだから、論文として不完全であっても仕方ない。歌手だってタレントだって、アイドルは歌は下手だし演技も下手だが、誰も文句を言わずに喜んでいるではないか。可愛けりゃいいんではないか。
しかし、学者界ではまだそういうことがきちんと理解されていなかったのが、この小保方さん売り出しプロジェクトが失敗した原因である。
佐村河内守さん(さむらごうちまもる)
全盲の作曲家とか、現代のベートーベンとか呼ばれたという作曲家だが、2014年3月、すべての曲はゴーストライターである新垣隆さんの作曲であると暴露された。
作曲家を気取っていた時は、サングラスに長髪、髭という強そうなイメージだったのに、記者会見の日、予告なく短髪で髭を剃り、サングラスも外して、おすぎとピーコのパロディで現れた。謝罪会見で失礼のないような容姿で臨むのは常識。しかし、あまりのイメージの落差に世間はざわついた。
実はこの時、「ライターがいないので、何を言えばいいか分かりません」とかって言おうと思っていたのに、つい雰囲気に飲まれて、会見を始めてしてしまった。「耳が聞こえないので質問は手話のみでお願いします」とか言う余裕もなくなってしまった。
さらに、記者会見の途中で新垣隆さんが会見原稿もって出てくるという強烈なオチも用意してあったのに、うっかり忘れていたため、その後、新垣さんがヘソを曲げてしまい、関係の修復が不可能になったことも忘れてはならない。
野々村竜太郎議員(ののむらりゅうたろう)
兵庫県議会議員の野々村竜太郎氏は、2014年7月の記者会見で、政務活動費の流用について追及されたが、その時の両手を耳に当てる仕草や号泣があまりにも面白くて、全国ニュースやワイドショーで繰り返し放送された。
その後、岡山市や富山県などでの政務活動費の流用が問題になったのだが、野々村議員がいなければ、このような問題があぶり出されることはなかっただろう。
そうなのだ。世の中のマスコミが暴き出すことのできない政務活動費の問題を、野々村議員は1回の記者会見で立派に社会問題へと昇華させたのだ。
松島みどり議員(まつしまみどり)
2014年10月、地元で配ったうちわが公職選挙法違反に当たるとして野党から追及され、「議員の活動報告を印刷した配布物である」と主張するなどしたが、結局法相を辞任した。
しかし、野党は追求すべき点を誤っている。
このうちわに描かれているのは、どう考えても別人なのだ。
うちわに描かれている女性は目が笑っていて性格がよさそうだ。鼻も細く、美人に描いてある。口も朗らかに笑っており、歯も出ていない。そして髪形もソフトにまとまっていて、手入れをしている様子が見て取れる。松島みどり議員とは明らかに別人だ。
人並みの容姿を持つ別人を描いたうちわを配布しても、公職選挙法違反にはならないんじゃないか?
2015(平成27)年
練子広寿さん(ねりここうじゅ)
雪山で遭難し、救助され大泣きしながら記者会見をした練子さん。
しかし、これを茶の間で見た人たちは、練子さんの計算高さを全く理解していない。
このおかしな髪型は、普通の謝罪会見で企業のトップの人たちの中に大抵一人はハゲ頭がいることに対する大きなアンチテーゼだった。また、せっかくの長い髪を切ってしまった佐村河内さんに対するアンチテーゼでもあった。
また、この大泣きは、野々村議員に負けないようにマスコミでの露出を高めるための作戦だった。
しかし、一つしくじったのは、入山届を出したと嘘をついたことを指摘された際、奥さんが「入山届は、アリマス☆」と小保方晴子さんを真似て答える段取りだったのを、うっかり自分で正直に答えてしまったことくらいだろう。
浪速のエリカ様(なにわのえりかさま)
本名・上西小百合(うえにしさゆり)。元国会議員。
維新の党に所属していたが、2015年3月に衆議院本会議を欠席して居酒屋をはしごしたり、翌日に男性秘書と温泉旅行に出かけたりしていたため、党から除名された。
エリカ様のオリジナルは沢尻エリカだが、沢尻エリカと顔が似ているわけではなく、不愛想な態度が似ているだけ。
同じような勘違い命名の例では、柔道の田村亮子が「やわらちゃん」と呼ばれた事例がある。漫画のやわらちゃんは顔もかわいい女の子だったが、女子柔道家であるという共通点のみで田村亮子にも命名されてしまった。
跡部昌洋村長(あとべまさひろ)
宮城県大衡村の村長であった2015年3月、村職員から、セクハラ、パワハラを受けたとして損害賠償の訴訟を起こされた。そして村議会でも不信任決議案が可決されたものの、議会を解散するという手段に出た。しかし、結局自身も辞職することを選んだ。
合計1300通のセクハラメールを送ったり、自身を「殿と呼べ」などと言ったり、素敵な髪形であったり、いつまでも地域の人気者でいてほしい。
デザイナー佐野研二郎氏(さのけんじろう)
ネットによるいじめが国家的な出来事に発展した。2015年7月、佐野研二郎氏のデザインしたエンブレムが、2020年東京オリンピック・パラリンピックの公式エンブレムに選出されたが、パクリ疑惑が浮上し、エンブレム選定はやり直しとなった。
やっぱり出川哲郎にも似たこのいじめられっ子顔が原因だろう。それに、こんな嬉しそうで間抜けなポーズが全世界に発信されてしまったのも失敗だった。
やり直しで公式エンブレムに採用された市松模様をデザインした野老朝雄(ところあさお)氏は、短髪に顎髭のこわもて顔だったので、何も言われなかった。
2016(平成28)年
鳩山邦夫議員(はとやまくにお)
2016年6月に死去した国会議員。
友人の友人がアルカイダ。
通夜や告別式には、普通、友人の友人までは来ないので、アルカイダも来なかった。
務台俊介議員(むたいしゅんすけ)
2016年9月に、復興大臣政務官として台風被災地の岩手県岩泉町を視察に訪れた際、長靴を持っていなかったため、おんぶされて水たまりを渡ったとして批判の対象となった。
でも、何が悪いんだ? ドロドロになったりビチョビチョになったりしてればいいのか?
大体、どんな政治家だって、現地に視察には行くけど、今にも崩れそうな崖には近づかないし、一般人は絶対に使わないヘリコプターで現地入りするし、炊き出しに並んだり仮設トイレに並んだり水の配給に並んだりしないでしょ。視察は視察でしょ。
だから務台議員は、謝罪しなくてもよかったんだよ。その数ヵ月後の「長靴業界は儲かった」発言だって、「アメリカンジョークだ」と言い切ればよかったんだ。その後の選挙活動の時にも、長靴はいて歩き回って失笑を買えばよかったんだ。
2017(平成29)年
アキエフ人(あきえふじん)
銀河系の常識外の惑星・アキエフ星から来た宇宙人。
その言動や容姿が、地球とは多少異なることから、森友学園の名誉校長、加計学園の名誉園長にも選ばれた過去を持つ。
ファーストレディのハードルを大きく下げたことから、後年、大きく評価されるようになることは間違いない。
今村雅弘復興大臣(いまむらまさひろ)
実はこの人はちょっとかわいそうな人。2017年4月の記者会見の際、記者とのやり取りの中で激怒し「撤回しなさい!」「出ていきなさい!」などと発言し、話題になった。しかし、同じようなことは、米国のトランプ大統領が就任直後の記者会見でやっていた。それを真似しただけなのだ。
その騒ぎがまだ忘れられてない時期に、政治資金パーティの講演で東日本大震災に触れ「あっちの方でよかった」との発言をしてしまい、復興大臣を辞任する結果となった。先の記者会見でのトラブルさえなければ、こんな小人物の講演がクローズアップされることはなかったんだよな。運が悪かったと思うしかない。
豊田真由子議員(とよたまゆこ)
2017年6月に、録音されていた秘書への暴言が公表されてしまい、一躍人気者に。
「このハゲ―!」「ち〜が〜う〜だ〜ろ!」などの名言を生んだほか、それまで重ねてきた数々の暴言も明らかにされた。
せっかくヒールの印象を国民に植え付けた豊田真由子議員だが、この後がいけない。テレビで涙を流して弁明したり、その後の総選挙に出馬した際も、しおらしい態度を強調していた。そんなイメージの転換が成功するわけがない。結局落選し、また涙を流していた。
せっかく明らかになったヒールを前面に出し、選挙では「そんなつもりじゃなくても〜」と自作の歌を披露し、落選会見は「おまえらは、この私の心を傷つけた!」とわめき散らすべきだった。
次の選挙では、また学生時代のように、人に見せられないすっぴん顔を晒して舞台に上がるくらいの自虐ネタを披露してほしい。
伊達勝身町長(だてかつみ)
2017年10月に、岩泉町内のホテルに宿泊していた女性新聞記者に抱き付いて複数回のキスをしたとして、問題になり、12月に辞職した。
離れた場所から「助けて」という声を聴きとれる能力の持ち主なのに、惜しいことをした。それもキスをすることで人を助けられる能力を持ち合わせているのは、白雪姫の王子様以外に私は知らない。
伊達町長さんがもう一つ残念なのは、務台俊介議員が選挙活動のとき、「長靴事件はあったが、岩泉の町長さんからは、いつも感謝されている」と引き合いに出されていたことだ。務台俊介の助けての声は聞こえていなかったようだ。
2018(平成30)年
谷岡郁子学長(たにおかいくこ)
女子レスリングの伊調馨選手に対して栄和人監督がパワハラを行ったとする問題に対して、日本レスリング協会副会長で志学館大学学長の谷岡郁子学長が記者会見を行った。
この記者会見が素晴らしい。日頃、自分のイエスマンたちに対してやっているのと同じ、不機嫌で怒りモードから始まる。パワハラを起こしやすいワンマン社長によくある態度を、分かりやすく再現していただいた。
その後、栄監督について「彼はその程度のパワーしかない人間なのであり、パワーのない人間によるパワハラとは一体どういうものなのか私にはわかりません」と発言。パワハラを起こしやすいもう一つの典型的パターンが、権限を与えられない中間管理職だが、その上司はそれに全く気付いていないということを、遠回しに教えてくれた。
世の中で自分がパワハラをしていないと思い込んでいたり、部下のダメな部長や課長もパワハラなんて出来っこないと思っている経営トップの皆さん。谷岡学長の記者会見の映像のシミを繰り返し見てみてください。自分の足元で起きているかもしれないパワハラに、気付くことができるかもしれません。
多々見良三市長(たたみりょうぞう)
2018年4月に舞鶴市で行われた大相撲舞鶴場所で、土俵上での挨拶中にクモ膜下出血で倒れた。救護のため女性が土俵に上がったところ、「女性は土俵から降りてください」という場内放送が流れ、物議をかもした。まあ、いくら伝統とはいえ、命を左右する問題に、男女は関係ないね。
でも、3か月後に公務復帰の際、多々見市長は「救命処置に男も女もない。助けに行くのが原則だ」と語った。−−−お前が言うな。
力士だったら土俵上で倒れたら負けなんだから、選挙という勝負に勝って市長になった人間なら、分かってもいいんじゃないか。覚悟して土俵に上がらないんなら、プロの力士に対して失礼に当たる。髷を結って、まわしを締めるぐらいの覚悟をもって土俵に上がってほしいもんだ。土俵に上がったら、倒れたら死ぬくらいの覚悟をもってほしいもんだ。
山根明会長(やまねあきら)
この人は、歴史の男であります。
こいつ(こいつ)
台風などで鉄道が混乱したときの新宿駅南口のニュース中継に現れるこいつ。
台風13号来襲のこの日は、午後6時ごろのJチャンネル(朝日系)、Nスタ(TBS系)で映っていて、午後10時ごろの報ステ(朝日系)でも映っていたから、無職の暇人だと思われる。
カメラは右に左にパンするが、こいつはそれについてくる。報ステではアシスタントがどかせようと苦労している様まで映ってしまった。
だが待て。どうしてカメラは逃げる。こいつは映りたいんだから、映してやればいい。鼻のアップとか、股間のアップとか、ダサいリュックのアップとか。逃げようが便所入ろうが家に帰ろうが、追いかけて大写ししてやればいい。
次の大雪か台風でJRが止まるときは、テレビ朝日さん、是非お願いします!
報道がだめなら、「水曜日のダウンタウン」に望みを託すか・・・。
2019(平成31・令和1)年
カルロス・ゴーン会長(かるろすごーん)
日産自動車や仏ルノーのCEOだったが、2018年11月に金融商品取引法違反などで逮捕された。日本のみならず全世界を驚かせた逮捕劇だった。
その後、2019年3月に保釈されたが、その時、日本電装の作業服と帽子をかぶり、マスクで顔を隠すなど、変装して東京拘置所の玄関から出てきたことで、さらに話題をさらった。マスコミに追われることを嫌っての行為だと思われるが、一部のカメラには大写しにされていたし、走り去る軽ワゴンを複数のカメラマンが追跡していたので、作戦は見事失敗に終わった。
特に、その姿を見て「ゴーン会長は意外に背が低かった」「ミスタービーンにこんな場面があった」「BOSSのCMのパロディかと思った」など、新たな発見をした視聴者も多かった。
塚田一郎副大臣(つかだいちろう)
2019年4月に福岡県知事選の候補者の集会で、下関北九州道路の建設に当たり、地元選出の安倍総理、麻生副総理に忖度したと発言し、国土交通副大臣を辞任する結果となった。
辞任の理由は、嘘をついたから。日本人は幼稚園の頃から嘘をついてはいけないと教えられてきたので、嘘をついたら罰がある。何が嘘だったかと言うと、「下関北九州道路の建設に調査費予算が付いたのは、自分が安倍、麻生両氏に対して忖度したから」「吉田博美参院幹事長が副大臣室に来て何とかしてほしいと言った」「吉田博美参院幹事長の髪形」の3点。
しかし、野党は攻撃の方法が甘い。せっかくこんな正直に失言してくれる与党議員は、簡単に辞任させてしまってはいけない。どんな利益供与があったのか、公の場でもっと正確に語ってもらわなければならない。場合によっては、野党議員にスカウトしちゃったっていいはずなんだ。
2020(令和2)年
受賞者なし
新型コロナウイルス感染症の影響で、面白いことをする人がいませんでした。
2021(令和3)年
川淵三郎(かわぶち さぶろう)
森喜朗五輪組織委員会会長が「女性のいる会議は時間がかかる」などと発言し、女性差別だと世間から猛抗議を受けた結果、辞任を決めた2021年2月12日、森喜朗氏から後任の指名を受けたとされるのが川淵三郎氏。
深夜に自宅に集まったマスコミに対し、「もらい泣きした」「是非お引き受けします」「人生最後の大役」などと調子に乗った発言をしてしまい、世間から「勘違い爺さん」とのレッテルを貼られてしまった。
そもそも、辞任する人が後任を指名するのはおかしいし、そんな規定もないし、森氏の83歳に対して川淵氏は84歳と年上。
翌13日には、周りからの助言を受けて、受諾しない旨を発表。人生最後の赤っ恥をかいてしまった。
渡辺直美(わたなべ なおみ)
東京オリンピック開会式の総合統括を務めるクリエーティブディレクター・佐々木宏氏が、1年前のLINEでの会議で、東京五輪の開閉会式に渡辺直美にブタの扮装をさせる案を出したと、2021年3月18日発売の「週刊文春」が掲載し、佐々木氏は辞任した。
渡辺直美はこれを受け、よく分からないコメントを発表した。
さあ、コメディアンである渡辺直美は、これからどうするんだ? 自ら、自分の体形や容姿を武器にして、笑いを取ってきたのではないか? ブタの扮装をしてテレビに出たこともあるんじゃないか?
コメディアンとしては、「私、オリンピッグっていうブタを演じてもいいですよ」「佐々木さんを辞めさせないでください」くらいのこと言ってもよかったんじゃないか?
もし今後、渡辺直美が、自分の体形や容姿を笑いの種にすることがあったら、女性蔑視で問題にされちゃうんだから。
河村たかし(かわむら たかし)
名古屋市長の河村たかし氏は、8月4日、東京五輪ソフトボール日本代表の後藤希友氏が表敬訪問した際、金メダルをかじったとして大バッシングを受けた。
更に8月12日には、その金メダルを新しいものに交換すると報道された。
河村氏の行動の何が問題かというと、1.金メダルはアスリートの宝 2.新型コロナ禍で感染対策として問題 の2点に集約される。
後藤選手が所属するトヨタ自動車も「アスリートへの敬意や称賛が感じられない。不適切かつあるまじき行為」とコメントを発表した。
しかし、そんな大事なものを、他人(河村市長)の首にかけてしまった後藤選手も迂闊だった。首にかけたということは、触ってもいいということだから、ある程度の扱いは予測すべきだった。
また、五輪の金メダルを噛むという行為は、既に外国では1988年からあったらしいが、知られているのは2000年の高橋尚子選手。マスコミもメダルを噛む映像を喜んで放映した。
それでは、そんな高橋尚子選手はバッシングされなくていいのか。「メダル噛んで」とかリクエストしたことのあるカメラマンは謝罪しなくていいのか。本人が噛むのなら、何の問題もないのか。
コロナ感染が問題なら、綺麗に消毒して返せばいいのに、交換するなんて、過剰反応じゃないのか。
世にはびこるいじめと同じで、河村たかし憎しの世論が、ここぞとばかり盛り上がっているだけのようにしか思えない。
2022(令和4)年
高安晃(たかやす あきら)
不運な負けっぷりが素晴らしい元大関。
元大関ながら優勝経験がないまま32歳の前頭7枚目で迎えた大相撲春場所。10日目まで全勝で、13日目まで優勝争いの単独トップを走った。
千秋楽は、関脇若隆景とともに2敗で迎え、勝てば優勝の権利を残す貴重な本割。しかし、阿炎に背中を向けてしまい、「送り倒し」で土俵に四つん這いになるという無様な負け方。素晴らしい。
運よく若隆景も破れて優勝決定戦。故郷茨城県の皆さんがパブリックビューイングで見守る中、強烈なかちあげを食らわせ、終始攻め続けた高安。土俵際では誰もが勝ちを確信したのだが、若隆景の強靭な粘り腰について行けず、一人土俵下に転落。直後になぜかNHKの画面は茨城県の皆さんを大写しに。唖然とする地元の皆さんの映像は、すぐに若隆景の故郷福島県に切り替わった。
そして夢よもう一度。今年最後の九州場所は、千秋楽に優勝争いトップで迎えた高安は、また阿炎戦。そして土俵下にさかさまに落とされるというみっともない姿を晒してしまう。
その後の優勝決定戦も相手は阿炎。立ち合いで頭を押さえられて四つん這い。自分のみじめさに四つん這いのまま立ち上がれなくなっちゃった。呼び出しさんは集まってきちゃうし、SNSでは同情の声が集まるし、本人の思い以上にドラマチックな負け相撲にすることができた。
来年も、千秋楽までは優勝争いに加わって、最後の強烈なオチを見せてもらいたい。
石井章(いしい あきら)
日本維新の会所属の参議院議員。栃木選挙区に擁立した新人女性の事務所開きで、「顔で選んでくれれば1番取るのは決まってるんですけどね」と発言した。候補予定者は5人全員が女性だった。
容姿に触れたことが問題にされたことから、発言を陳謝するに至った。
この発言を受けて、マスコミでは、当人(大久保ゆみ氏)を含む5人の顔写真をテレビや新聞で報道するなどの快挙を成し遂げた。
ちなみに、石井氏も発言しているが、選挙のポスターは公約よりも顔写真を大きく印刷している。結局候補者は顔で選ばれているような気がしないでもない。石井氏の発言を批判するのであれば、選挙ポスターも政見放送も、顔を映すのはやめよう。
2023(令和5)年
谷公一(たに こういち)国家公安委員長
4月15日、和歌山県の雑賀崎漁港で岸田首相に爆発物が投げ込まれた事件の時、視察先の高知県にいた谷公一国家公安委員会委員長が、(四万十の)「うな丼はしっかり食べさせていただきました」と発言したことで、野党が更迭を求めた。
え? 国の要職にある人は、何か事件が起きたときは、昼飯食べたらいけないの?
うな丼だからいけないの? 吉野家の牛丼だったらOK? コンビニのサンドイッチだったらOK? 「昼間は何も食べずに駆けずり回って、ようやく夜になって四万十のうな丼しっかり食べた」はOK?
あと、野党の党首は、その日の昼飯に何を食べたか公開してくださいね。テレビやSNSで谷委員長を批判した人たちも漏れなく公開してね。
あと、国の要職にある人は、これから事件が起きた日は、昼飯食べちゃダメだから気を付けてね。
エッフェル姉さん(えっふぇる ねえさん)
7月24日〜28日のフランス研修中に、エッフェル塔の前でエッフェル塔的ポーズの写真を撮ってSNSに載せたことから非難を浴びた参議院議員の松川るい氏に、世論がつけた名前が「エッフェル姉さん」。52歳なのに「姉さん」と名付けてもらえたことは快挙と言っていい。(写真中央。左右はエッフェルおばさん)
世論の攻撃はすさまじく、自民党女性局長を辞任に追い込まれた。
世論では、3泊5日間の研修中、研修は実質6時間とか、税金を使っての研修旅行で観光気分、とか批判が続く。
しかし、6時間の研修のほかに会食とか移動時間とかがあるし、初日は羽田から飛行機に乗ってるだけだし、そもそも世の中の研修旅行って、1日中研修しているんだろうか。問題のエッフェル塔もスケジュールに組み込まれた観光の時間。わざわざ外国に行くのだから、名所ぐらいきちんと見ないと。
松川議員を批判した皆様、これから研修旅行でのプライベート時間は決して許されませんので、覚悟しておいてください。
兼重宏行(かねしげ ひろゆき)
ビッグモーターの兼重社長(当時)は7月25日、保険金の不正請求等で記者会見を行った。この記者会見が、無責任、感覚がズレている、などと非難されているが、世論は兼重社長の真の狙いを理解していない。
まず兼重社長は、「個人顧客のことなど一切眼中にない」という姿勢を明確にした。なのでこの記者会見も、顧客の車への毀損とは関係なく、「自動車保険金の不正請求に関しての会見」であった。そして、修理担当者がゴルフボールを入れた靴下で車を叩いた事案に関しては、顧客に対してではなく「本当に許せない。ゴルフを愛する人への冒涜ですよ」と怒りをあらわにして見せた。この場面で、「日本の優れた記者会見を見る会」のメンバーのボルテージは最高潮に達した。
もう一つは、「社長は何にも知らないのに、社員が勝手にやった」というコンセプト。これも「社長の謝罪会見」のなくてはならない要素なのだ。例えば「不正請求は板金・塗装部門単独で、経営陣は知らなかったのは事実」「関わった従業員を刑事告発する」と話し、ゴルフボールの一件は「報告書を見て、こんなことまでやるのかとがく然とした」と愕然とした表情をして見せた。
兼重社長は、決して反省とか謝罪を目的に会見を開いたわけではない。「令和で最初の日本の記録に残る記者会見」の舞台を成功させたい、それだけが目的だったのだ。
野村哲郎(のむら てつろう)農相
8月24日、東京電力は福島第一原子力発電所から出た処理水の海洋放出を開始し、これに反発した中国が日本の水産物の輸入を全面禁止した。
こういった状況の中、野村農相が記者団の前で処理水を「汚染水」と発言し、その後発言を撤回した。
言い間違いなんだから、許してあげてもいいんじゃないの? 安倍首相も「Go To」を野党の使う「強盗」と言い間違えたし、麻生太郎も「菅(すが)総理」を民主党政権の「菅(かん)総理」と言い間違えたことあるんだから。
それより問題なのは、中国について「全部停止というのは想定外」と発言したこと。相手の戦術を想定していないとは、もう負け戦だとしか受け取れない。
どうせ問題発言するなら、「中国の輸入全面停止は想定内。日本のおいしい魚介類が食べられなくなる中国人は可哀そうに。代わりに日本人がおいしく食べさせていただく」とか言っちゃえばよかったのに。
2024(令和6)年
ジョー・バイデン(Joe Biden)アメリカ大統領
NATO首脳会議の最終日の7月11日、アメリカのバイデン大統領(81歳)は、壇上でウクライナのゼレンスキー大統領を紹介する際、各国首脳が並ぶ中で「プーチン大統領」と言い間違えてしまった。よりによって敵国の大統領の名前と言い間違えるという痛恨のミスだった。
さらに2時間後の記者会見で、記者から「ハリス副大統領が大統領候補になった場合のトランプ氏との勝負」について質問された際、ハリス副大統領というべきところを「トランプ副大統領」と言い間違えた。これも、腹心の副大統領を宿敵の名前と間違えるというありえないミスだった。
アメリカ世論ではバイデンの高齢問題についての懸念が広がっているが、実はバイデンの言い間違いはわざとだった。
これ以前から世界中で、重要人物を「プーチン大統領です」と紹介することが流行っていたのだ。バイデンはその流行に便乗したアメリカンジョークを発したに過ぎない。
さらに、その2日後の13日、演説中のトランプ氏が銃撃される事件が発生したが、この狙撃犯は実はハリス副大統領を狙っていたのに、間違えてトランプ氏を狙撃してしまったということも判明している。