高速バス「あすなろ号」開通(1987.8.1)
レールとの対決
「あすなろ号」は、JR東北本線の特急「はつかり」に完全併走するものの料金面ではバス優位です。競合するJR線の「身内」であるJRバスも参加していますが、盛岡駅のJR駅構内への乗り入れは認められないなど、複雑な内部事情も垣間見ることができました。
この高速バスは、盛岡−弘前間の「ヨーデル号」が運行開始以来好調なのを受け、レールと完全競合する区間へ打って出た最初の高速バスです。
「ヨーデル号」運行会社である、JR東日本、岩手県北自動車、岩手県交通、弘南バスに加えて、中間地点の事業者である秋北バスも加わり、5社での運行となりました。
盛岡駅の始発地は、これまでの高速バスがロータリー内に乗入れたのに対し、ロータリー向かい側となっています。
初日の光景
岩手県北バス出発式
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撮影:盛岡駅(1987.8.1)
「あすなろ号」の第1便は岩手県北バスの7:45発便。岩手県北バスでは、これに合わせてテープカットを実施しました。
盛岡駅の発着場所は、駅の向かいの路上です。これまでの高速バスでは考えられなかった場所ですが、電照式のポールが立てられています。
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撮影:盛岡駅(1987.8.1)
バスの横では、社長あいさつが始まっています。
その脇では、バスへの乗車も始まっています。
弘南バス到着
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撮影:盛岡駅(1987.8.1)
9:35、青森からの2便目である弘南バス便が到着。
車両は、購入後しばらく貸切車として暫定使用されていたいすゞ車でした。
岩手県交通出発式
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撮影:盛岡駅(1987.8.1)
岩手県交通でも独自の出発式を実施。乗務員への花束贈呈です。
この路線への大きな期待が読み取れます。
その後のあすなろ号
4枚回数券発売
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ヨーデル号の好調さを受けて運行開始したあすなろ号ですが、期待通りの旅客数を確保するまでには行かず、傍目にも苦戦が見て取れました。
最初のてこ入れ策として、1988年3月から割引回数券が発売されました。4枚で通常運賃の2割引に設定されたこの回数券は、各窓口のほかバス車内でも販売し、また通信販売もするというものでした。
また、記念乗車券風に「ねぶた祭り」や「チャグチャグ馬っこ」の写真がついており、使い終わった後も手元に残る工夫が施されていました。
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回数券の実物の一部が残されていました。
恐らく友人と2人で分け合って利用し、自分で使った券の写真部分を持っていたのだと思います。
表紙にくっついているのは、「青森ねぶた祭」。道路いっぱいにねぶたを引いて踊り歩く光景が写されています。
もう1枚は盛岡の「チャグチャグ馬コ」です。滝沢村の蒼前神社を出たあたりの牧歌的風景の中を晴れ着で着飾った馬が引かれて行きます。