2006年2月例会『昨日までのベッド』 |
地人会公演 『昨日までのベッド』
作 /ベン・トラヴァーズ
訳 /喜志哲雄
演出/木村光一
出演者/鳳 蘭・篠田三郎・二宮弘子 ・白井圭太
福沢亜希子・北村昌子・森山潤久
団 時朗
「知らなかった、こんな素敵な人生があったなんて」大騒ぎのあとに見つけたハッピーライフ!
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私はあなたと寝たくない あなたも私と寝たくない さあ、これで結婚の条件はそろったわね
【あらすじ】
ロンドンのある邸宅。女主人アルマは、過去に二度の離婚はあるが、ちょっとチャーミングな中年女。再婚願望は満々だ。今日は、男やもめで六十に手の届こうというヴィクターをお茶に招いた。
年金暮らしのヴィクターは、小金を持っている彼女との結婚に大いにのり気になる。その日のうちに話は決ったが、アルマは条件を出した、男女の関係のない夫婦!!≠ニいう。
結婚して二、三ヶ月後のある日。家政婦ホリーが朝の掃除をしていると、ヴィクターの息子で職の定まらぬロビンが、エラという女優志望の魅惑的なガールフレンドをつれて、金の無心にやってくる。アルマは、エラが二枚目役者フレッドと関係があり、ニコラスというやくざまがいの男にそそのかされて娼婦まがいのことをしていると聞き、怒り狂うが、全く知らなかったその世界を知って異常な興奮に身体がふるえるのだった。
そんな騒ぎのあと、ほぼ同年輩で肉感的で陽気な従姉妹ペギーがやってくる。彼女も独り身だが、三人のハンサムな若い男性下宿人を置き、彼らと自由な官能的生活を楽しんでいると上気嫌である。アルマの身体の中で、何かが動き始めた。ペギーが帰ったあと、ヴィクターを寝室に誘う。
“あんな条件は破りすてましょう――。” |
〜日 程〜
会 場 |
日 程 |
昼の部 |
夜の部 |
広島郵便貯金ホール |
2/7(火) |
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18:30 |
2/8(水)
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13:00 |
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18:30 |
イギリスの劇作家ベン・トラヴァーズの89歳の時の作品であるこの戯曲は、恐るべき熟達した喜劇である。“この高齢な作家ならではの成熟した会話と構成は、あたかもチェホフを思わせる”という言葉もあるほどだ。そして、その題材が「性」を扱いながら決して下品ではなく、むしろ中高年の男女が新しい生き方を見出してゆくその経過を通じて、主人公たちの飾らぬ率直さ、純粋さに感動をさえ覚えるものがある。
主人公アルマは二度も結婚に失敗した中年を過ぎようという女性だが、実にさわやかに新しい人生を求めて歩く人物だ。その女性の持っているお金を目当てに彼女と結婚するヴィクターという中老の男も、孤独を引きずっている人生の敗北者だ。マイナスの人生を持つこの二人の男女が、またもや失敗と思わせる混乱の過程がこの喜劇の進行につれて何度もあるが、機転と努力と、なによりも、これまでに失った人生をとりもどそうという大胆な勇気が私たちを励ますことになるのだ。
(地人会 木村光一) 地人会HPより抜粋
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