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「トラウマンパンジー」
 怪獣が現れ、それを人間が変身、巨大化して戦うというよくある特撮ヒーロー物の続編。

    「ニセトラウマン現るの巻」

 地球防衛隊コジロウ隊員が、公園でチビッコたちから金を巻き上げている。そこへ本物のコジロウ隊員が登場。
「みんな!だまされちゃいけない!そいつは偽物だ!」
 ニセコジロウは巨大化した。その正体は宇宙一凶悪なキョウカツ星人だった。暴れるキョウカツ星人。このままでは街が破壊されてしまう。コジロウも正義のヒーロー、トラウマン・パンジーに変身した。プロレス技の連発。キョウカツ星人は弱った。最後の必殺光線を発射しようとしたとき、キョウカツ星人が弱々しいうめき声をあげた。
「もう・・・なぐらないで・・・痛いよ・・・痛いよ・・・」
 パンジーは苦しんだ。かつて自分も幼い時に、弟の友達から金を巻き上げたことを思い出したからだ。必殺光線を浴びせれば、星人は死ぬ。しかし殺してしまったことに対する罪が、さらに自分を苦しめる。どうなるトラウマンパンジー!

 場面は変わり、学校の体育館、フロアの中央に椅子がある。真っ暗な中でコジロウ隊員が座っている。どこからともなく声が聞こえる。
「何故、あのとき金を巻き上げたのだ?」
「仕方なかったんだ。弟の友達が僕の財布から¥30円を抜き取ったからだ。」
 主人公が答える。
「たった¥30円のためにその子を殴ったのか?」
「そっ・・・そうだ。」
「そして、代償として¥600円を脅し取ったのか?」
「ちっ・・・ちがう! 受け取ったのは¥450円だ!」
「暴行を加えてまで、金が欲しかったのか?」  
「ちがう! ちがう!」
  〜このような場面が前後編あわせて、約40分間続く〜
 主人公の幼い姿が現れる。
「いまからでも遅くはないよ・・・」
「そっ、そっ、そうか!解ったぞ!」
 主人公に光が射し、元の決闘の場面に戻る。

 パンジーが天に向けて指をさすと、全身の気が送られた。光を放つ気の固まりに日本中から硬貨、札束が集まり始めた。次第に巨大になっていくお金の固まりは、富士山ほどの大きさになった。
「ン〜〜 フン!」
 パンジーのかけ声とともに巨大な固まりは、キョウカツ星人の上に落下した。星人は押しつぶされた。そして絶命した。
 トラウマンは勝利した。正義の味方は、凶悪星人に勝利しただけでなく、自分のトラウマにも勝利したのだ。あの金は借りただけだったのだ。借りた金は利子を付けて返せばいいんだ。カネの問題はカネで解決! 闘え!トラウマンパンジー! 地球の平和のために! そして自分の過去の清算のために!

 次回のトラウマンパンジー 「犯人役はもうイヤだの巻」 どうぞお楽しみに・・・・!
by 古原 & w

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