店長の個人的道具考察

ブログにアップした記事で道具の考察に関する内容はこちらにまとめます。
これから徐々に整理して増やしていきます。よかったら一度目を通してもらえるとうれしいです。


2024/11/2 300gと285/280gどっちがいい?

ラケットを買い替えるときに多いご相談のひとつです。
各メーカーの主力ラケットには黄金スペックと呼ばれる300g/100平方インチのスペックがあります。そして、そのスペックより扱いやすい特性の285gもしくは280gが用意されていることが多いです。
さらに軽い270gも用意されているラケットもありますが、今回は300gと285g/280gを迷ったときのお話を。

以下、私の個人的な考察を書きますので参考になれば幸いです。

結論(要約)から言いますと、

重いほうを選択したほうが有利に働くことが多いと思います。試合で勝つこと優先なら重いほう。
ただし、フィジカルに合った重量でないとその人の最大パワーは出せません。
重さに焦点が行きがちですが、剛性の差もパワーとフィーリングに大きな影響があります。

大雑把にそれぞれの特性を言うと
■300gは弾きが強めで、しっかり打てばスピードが出せて、相手のスピンボールにも打ち負けにくい。ただし300gを使えるフィジカルがあること。
■285/280gは300gより柔らかめで、ホールドが長く衝撃吸収もよい。疲れにくい。ただしスピンのかかったボールには打ち負ける場面もある。



10段階の数値、年齢は目安として考えて下さい。私個人の考えであり、あくまでも相対的な数値です。

あと、ベテラン女子の人は300gはほんの少し厳しいかもしれませんが、重さ、硬さを利用したシャープな弾道を使うプレイスタイルであれば300gを選択してもよいと思います。
ジュニアで体ができている人は中学1年から300gを使ってもよいと思いますがケアも忘れずに。

それから肩の調子が悪い人は軽いほうを強くおすすめします。パワーダウンを感じる瞬間はあるかもしれませんが、プレイスタイルを少し変えればパフォーマンスはほぼ落ちないと思います。
長くテニスを楽しめるほうがいいですよね。
どちらにしてもセッティングを出すことが重要です。いろいろ試してみて下さい。

2024/08/19 0.05mmの違い

長くテニスを続けている経験者でも、ご自身が愛用しているガットの太さが何ミリなのか気にしていない、または知らない人がたいへん多いです。女性はとくに多いです。

ガットの太さの差は、「パワー、スピン、体力消耗、衝撃吸収、スウィートスポットの広さ」に大きな差をもたらします。
一概に言えませんが、細いほうが「パワー、スピン、体力消耗、衝撃吸収、スウィートスポットの広さ」は良い方向に作用することが多く、プレイ中のパフォーマンスは高まります。
デメリットは耐久性の低下、ハードヒット時にボールを持ちすぎる可能性がある、テンション持続性の若干の低下でしょうか。

時々、接客中にこれは提案したほうがよいな。と思う場面があります。
大半はポリストリングを使用しているケースです。

ポリを数か月使ったけどガットは切れていない状態でお店に来られる方で、もっと回転がかかってほしいという方、もっと軽快にボールを飛ばしたいという方です。

1.25のポリストリングを使用しているのであれば、1.20~1.18を提案します。
1.20のポリストリングを使用しているのであれば、1.18~1.15を提案します。

状況によりますが、細くしたら面圧が下がるので1lbsアップをすすめます。
変更した場合、8割から9割ぐらいの方がメリットを感じてそのまま使い続けることが多いです。

変更後にホールドしすぎるので太いほうがよかったという方もいますが、それはフィジカル強めでしっかりハードヒットできている方、そしてストローク主体の方が多いです。そういう方は細くしないでください。(私のその方の接客時の理解不足です。申し訳ありません)

でも、耐久性過多は前述の、「パワー、スピン、体力消耗、衝撃吸収、スウィートスポットの広さ」を低下させて練習している状態なのでほんとうにもったいないです。

細いと耐久性は低下しますが、メリットはしっかり感じ取れると思います。
もちろんナイロンストリングでも同じことが言えます。
耐久性に不満を感じていない方や勝率を重視する方は自分の現在のパフォーマンスを検討して、該当するようであればぜひ試してみて下さい。



これから始める学生さん、初心者の方へ 2023/04/26

この時期は新入部員の中高生さんが、よく中古ラケットを買い求めに来店されます。
安価なアルミ製のラケットや低品質なカーボン素材のラケットを新品で購入するより、中古でも品質の高いカーボンとちゃんと設計されたラケットのほうが性能がよいのでおすすめです。

部活を続けるかどうかわからないけど、とりあえず。という方にも安価で最低限必要なレベルのものを準備できますのでご相談ください。体格、運動経験などでラケットの重量、ストリング、テンションを設定させていただきます。


新品のラケット購入でよくある失敗は、ラケットは軽いほうがよいと考えている親御さん。
体格のよいお兄ちゃんに中高年向けの軽量デカラケを購入してしまったパターンをよくみます
クセのあるフォームになったり、重いボールに打ち負けたり、ストリングが切れやすかったりといいことがありません。

それから、ポリストリングを先輩が使っているから、いきなり1.30のポリを張ってしまったというパターン。しっかりヒットできる技術、体格がまだできていないから、体に負担がかかるうえにパワーは出ずに疲れるばかり。
試合でも不利になるかもしれないので、そうなると楽しくないでしょう。
気が付いて張り替えればよいですが、まわりにアドバイスできる人がいなければ伸びたポリストリングは切れにくいので長期間その状態が続くかもしれません。最悪は、故障の原因になるので要注意です。


ストリングの選択ですが、最初は扱いやすくクセのないナイロンストリングでよいと思います。
いきなりポリストリングを選択するのは前述のとおりおすすめしません。

そして、ストリング選びの失敗でよくあるのは、いきなり3500円前後するような高価なストリングを張ることです。間違いではありませんが最初は必要ないです。
1700円~2400円ぐらいの価格で、オールラウンドな特性で打球感がわかりやすいタイプのナイロンストリング(モノフィラメント)をおすすめします。

高校生になった人で練習量が多い学校であったり、ソフトテニス経験者、体格がよくてすぐ切れてしまう場合は1.25~1.30のポリに切り替えてもよいと思いますが、まずは半年ぐらい1.30mmのナイロンストリングで練習することをおすすめします。

あと、女子は慎重に選択してください。初心者でストリングが切れない女子が、耐久性優先のストリングを選んでしまうのはちょっともったいないです。パワーが出ないしんどい状態で練習を続けることになります。練習量、体格にもよりますが、1.25~1.30のナイロンストリングをおすすめします。

それから、テンションですがラケットの適正テンションの真ん中にした場合、硬すぎることが多いです。
ヨネックスは日本人に合った推奨テンションなので大丈夫だと思いますが、海外メーカーはほとんど硬めなので注意してください。体格、運動経験を考慮して設定してください。

あとオーバーグリップ。汚れてズルズルになった状態で使い続けている人がひじょうに多いです。
そうなると力が伝わらないので、パワーが出しにくかったり、ムリなフォームになったり、すっぽ抜けてラケットが破損するかもしれません。
指導できる人がついていない環境が多いと思うので、定期的にチェックするといいですね。
高校生の部活なら3週間に1回は交換したほうがよいと思います。

それからラケットバッグはすぐ購入せず、使用状環境などをじっくり考えてから自分に合ったタイプのものをゆっくり選べばよいと思います。

シューズは入門用で十分ですが、オールコート用、オムニクレー用を間違えないようにしてください。
学校側で、オールコート用を指定されていることが多いようですが、例えば広島市の学校の環境、試合会場の状況を考えるとオムニクレーが正解だと思います。ただしハードコートの広島市広域公園テニスコートなどでの練習が多い場合はオールコート用が必要です。
メーカーによってはクレーコートで滑りやすいオールコート用があるので注意したほうがよいです。

あとソックスも消耗品なのでスポーツ用をとりあえず3足ぐらい用意したほうがいいです。カジュアルソックスは簡単に破けるので注意してください。3足1200円ぐらいのソックスでもいいと思います。


適正なセッティングと道具で、楽しく部活を頑張ってください
もちろん相談だけでも大丈夫ですからお気軽にご来店ください。


振動止め考察 2022/11

振動止めの種類の選択は、プレイに大きな影響を与えることがあります。
すべての人にあてはまるわけではないので、こういう考え方もあるかもぐらいで読んでいただければ。


まず個人的な考えですが、

「振動止めは付けても付けなくてもどちらでもよいけど付けたほうがほんの少し、振動吸収がどうこうよりも、狙ったところに飛んでくれやすくるから、自信をもってしっかりしたスウィングでヒットできて、ポイントをとる確率があがる」

そんなパーツだと思っています。

振動止めでコントロール性能がアップ?と思われるかもしれませんが、
これは、装着するとほんのちょっとだけストリングの動き(おもにメインストリングのセンター2本)を抑制するからストリング本来の反発力、弾力を低下させて結果、飛びすぎを抑えてよい方向に作用しているのではないかと。

微妙に反発力を抑えるのであれば、テンションを05~1lbsアップでもよいかといえば、そんなことはなくて振動止め装着は、微妙に硬くなるけど、05~1lbsアップの感触とは違って不要な飛びすぎを抑えつつ、食い付き感は残す。そんなかんじだと思います。ごめんなさい、うまく表現できなくて。

なので普段、振動止めを使っていない人が、張りたてのテンションが少し緩くて飛びすぎるかな?と感じたときは、振動止めを装着してみてもいいかもしれません。逆に普段、振動止めを装着している人が、なんだか今日は飛びがよくないな。と感じたときは振動止めを外してプレイしてみてもいいかもしれません。


そして振動止めの効果アップには条件があると思います。
たとえば、競技向きラケットにはコンパクトで柔らかめの振動止め、軽めで面が大きめのラケットにはやや大きめの振動止めが相性がよいと思います。
競技向きラケットに大きい振動止めを装着すると、打球感が伝わりにくく、どこで打っているかわからなくなり、食い付き感も減少して上達を阻害する傾向が強くなると思います。なので競技向きラケットにワームタイプなどの大き目の振動止めはおすすめしません。

軽めで面が大きめのラケット(ベテラン層が使用するとして)に、コンパクトで柔らかめの振動止めを装着するとほんのちょっと振動を吸収してくれるけど、打球感の変化は少なめで飛びすぎを抑える効果は薄いです。メインストリング数本にがっつりかけるワームタイプでもよいと思います。
ベテラン層は食い付きを必要とするプレイスタイルは少ないと思うので、大きい振動止めでシャープな打球にしたほうがよいと考えます。


それから、振動止めの素材ですが、たまに硬いゴムを使っている製品があります。
硬いゴムは振動吸収をしてくれないうえに、打球感の低下につながる作用があると思うので、いますぐにチェックするべきだと思います。いいことがなにもありません。

ゴムにもいろんな種類があると思いますが、振動止めはシリコン系が多いのではないでしょうか。水分に強いですが経年劣化で硬質化するようなので、早めの交換がよいと思います。ウレタン系は加水分解で粘着性をおびてベタベタになったりしますが、こちらのほうが効果が高いと思います。


例えば、キモニーのクエークバスターは構造もよく考えられていると思いますが、着目するのは素材の柔らかさだと思います。
インパクト直後の不快な振動を少し吸収して、必要なインフォメーションだけを残すからシャキッとした爽快な打球感に変化させてくれます。パワーダウンもせずミスショットの判断もしやすいですね。




柔らかい振動止めは劣化も早いですが、評価もよいと思います。
1年でダメになるぐらいのものが実はよいのかなと思ったりもします。
メーカーさんももっとおもしろい振動止めを開発してほしいな
スピンがかかりやすくなる振動止めとか作ったら画期的ですよね。


それから重量増によるスウィングウェイトの変化も意外とスウィングに影響を与えると思います。

キモニー サウンドバスター 2.1g
ルキシロンの紫色のリングタイプ 2.2g
キモニー クエークバスター 2.4g
バボラ 穴が開いてるリングタイプ 2.4g
トアルソン ショックバスター 2.7g
バボラ 丸くて紺色で稲妻のマークのやつ 2.8g
りんご IKIさんが販売してるやつ 3.2g
ヨネックス バイブレーションストッパー5(三角形のやつ) 4.2g

数値を見ると、評価が高いのは密度が小さい軽い振動止めなのかもと考察します。
人それぞれ使用環境が違うので重いのがダメなわけではありません。



今回、TOALSONさんから新しい振動止めが発売されましたが、とても興味深いです。
うちは発注を出遅れて11月中旬入荷ですが、使ってみようと思います。



それなりに大事なファクターだと思います。ぜひチェックしてみて下さい。


スナップバック 2021/02

ラケットメーカーさん、ストリングメーカーから怒られるかもしれませんが、、、

僕は、アンチスナップバック派です。
どうすればスナップバックが効果的に発生するか開発されている商品が多いですけど、、、

簡単にスナップバックするということは、ストリングの反発力のタメが少なく小さな力しか生まれない、回転エネルギーに転換されにくいと考えています。

インパクトの瞬間にストリングが面の水平軸に引っ張られる力は、衝撃吸収にスウィングエネルギーが使われてしまい、そのぶんだけパワーとスピンを削っているケースがほとんどではないかと。

しかも、インパクトの時間が長いのでテンション設定に失敗すると、ラケットとストリングのパワーが同調せずに、パワーダウンしたり、面にくっつきすぎて飛び出しが遅くフラストレーションを感じたり、とメリットは少ないと思うのです。

フレームのパワー過多をスナップバックで調整してるようなかんじかも。
ラケットとストリングのパワーが同調したシナジー効果を期待する人は一瞬のスナップバックでカチッとしたセッティングのほうが快適にプレイできると推測します。ロディックがウーファーを使わなかったように。

個人的にスピンがかかるガットというのは、コーティングに粘りがあるモデルがよくかかるイメージがあります。インパクトの瞬間に縦糸がすぐに動かずに、タメを作りながら小さく動く。そんなイメージです。

完全否定ではなく、もちろんメリットもあると思います。ほどよいパワーのロスを作り安定感を高めたり、コントロール感を向上させたりと。

そして、テンション設定も重要です。合わないと思ったストリングでも、3lbs変えると化けるかもしれません。
テンション、ゲージ、いろいろ試してみて下さい。


ナチュラル(ナイロン)とポリのハイブリッド 2019/07/23

さて、あいかわらず話題が1周遅れのこのブログですが、
ウィンブルドン決勝のジョコビッチVSフェデラー。この二人に共通するセッティングがあります。

メインナチュラル、クロスポリのハイブリッドです。
フェデラー張り。と呼ぶのが一般的なのかな。ヘンマンのアドバイスのようです。


20年前に、全仏でクエルテン、モヤらセンセーショナルな選手の活躍により、ポリのシェアが飛躍的に拡大していきます。
そしてもう少しスピン回転をかけやすくとか、ツアーを安定してまわるために衝撃を抑えて、過酷な練習から腕の各部位を守るためにクロスにナチュラルを入れる選手が増えました。女子選手のほうが割合が多くて、スピンよりもパワー重視の選手の使用率が高い気がします。

個人的には、クロスナチュラルはマイルドにはなるけど、抑えがちょっとききにくくて直線的な弾道になりやすい。インパクト長くなったけど、それほどスピンかかってない。
これならナチュラルでもポリでもどちらかの1本張りのほうがいいなぁ。とあまり好きではありませんでした。もちろん相性のいい人もいるでしょうけど。

ナチュラル以外にクロスにマルチなど何パターンか試しましたが、お客さんたちも同じようなインプレだったので、縦にポリはあまりおすすめはしていません。

7,8年前からフェデラー張りを試すお客さんが増えだし、あまり期待してなかったのですが、そのときたまたまお客さんに借りて打たせてもらったところ、、、

打感がよくボールコントロールがよい、スピンもパワー感もまあまあ。

何パターンか試しましたが、ハズレはほぼない。ハズレと感じたのはテンション設定を大きくミスったとき。
耐久性も意外とあるのでコスパはよいと思います。
この数年は、ナチュラルを使用するハイブリッドのお客さんはほとんどフェデラー張りです。
打っていけるオールラウンダー、ベースライナーが多いです。

↓セッティングは固定ではありませんので参考までに。


ツアープロのクロスはLUXILONが主流だと思いますが、他にも相性のよいポリはたくさんあると思います。
個人的にはBLAST、POLYTOUR PRO、STRIKE、REDCODE WAX、G-TOUR3、FIRESTORMなどもいいと思います。
メインに反発系マルチフィラメントをもってきても、まあまあ近い打感になります。柔らかめモノフィラメントでもいいでしょうね。爽快な反発力はナチュラルにかないませんが。

メイン:XR-3、addixion、aeron850、ICONICALL
クロス:BLAST120、POLYTOUR PRO120、FIRESTORM120、TCS

上記の組み合わせなら2つのストリングを足して半分に割った価格で出来ますので興味のある方はご相談ください。フェデラー張り!じゃないけど近い感触は感じ取れると思います。

ちなみにロペスなんかはメインにアルパワー、クロスに極細ポリの組み合わせです。うちでも近いセッティングのお客さん多いです。ツアー選手もいろんなハイブリッドが増えてますね。