ラフ・メイカー


涙で濡れた部屋にノックの音が転がった

誰にも会えない顔なのにもう何だよ、どちら様?

名乗るほど大した名じゃ無いが誰かがこう呼ぶ『ラフメイカー』

あんたに笑顔を持ってきた

寒いから入れてくれ

ラフメイカー?冗談じゃない

そんなもん呼んだ憶えは無い

構わず消えてくれ

そこに居られたら泣けないだろう


大洪水の部屋にノックの音が飛び込んだ

あの野郎まだいやがったのか

消えてくれって言ったろう

そんな言葉を言われたのは生まれてこのかた初めてだ

非常に悲しくなってきた どうしよう 泣きそうだ

ラフメイカー?冗談じゃない

あんたが泣いてちゃしょうがない

泣きたいのは俺の方さ

こんなもん呼んだ憶えは無い

ルララルラルララルラ

二人分の泣き声遠く


ドアを挟んで背中合わせ

しゃっくり混じりの泣き声

膝を抱えて背中合わせ

すっかり疲れた泣き声

「今でもしっかり俺を笑わせるつもりかラフメイカー」

「それだけが生き甲斐なんだ 笑わせないと帰れない」


今ではあんたを部屋に入れても良いと思えたが

困った事にドアが開かない

溜まった涙の水圧だ

そっちでドアを押してくれ

鍵なら既に開けたから

ウンとかスンとか言ってくれ

どうした?オイ、まさか

ラフメイカー?冗談じゃない

今更俺一人置いて構わず消えやがった

信じた瞬間裏切った

ラフメイカー 冗談じゃない

逆側の窓の割れる音

鉄パイプ持って泣き顔で「あんたに笑顔を持ってきた」


小さな鏡を取り出して俺に突きつけてこう言った

「あんたの泣き顔笑えるぞ」

呆れたが成る程笑えた

end...





Copyright © 2003 BUMP OF CHICKEN All Rights Reserved.
Unapproved reproduction and diversion of all the contents carried on this page are forbidden.