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 〜The Electromagnetics of Columbus'Egg〜

コロンブスの電磁気学

 本書は、従来の電気に関する根本的理論を殆ど全て塗り替えている、まったく新しい「電磁気学」の本である。
ファラデー(Michael Faraday)が、本著者が実験に使用した最新の各種装置を使っていたら、本 著者と同じ理論を形成していたかもしれないが、ファラデーは当時の貧弱な装置を用いて、余りにも見事な理論を構築してしまったがゆえに、150年以上もの間、彼の理論を疑う人がいなかったいうわけである。

 特に、私達の電気的生活の全ては、ファラデーの電磁誘導の法則を基礎にしていると言って過言ではないが、本著者は、この「電磁誘導の法則」を本書の中で覆している。
さらには、「電流は、電荷(電子)の流れ」との固定観念も完全に破棄し、直流と交流の壁を取り除いたのである。
 従来電気の世界で存在していた「直列接合」、「並列接合」に加えて『縦列接合』を登場させることに成功し、その結果として、「コンデンサ」、「コイル」、「トランス」、「発電機」、「アンテナ」などに関する新しい理論の構築にも成功している。

    本書の中で取り上げている一事例をご覧ください。     
                             

直流と交流は同じ電気!
 
一般的には、直流と交流とはあたかも異なる電気であるかのように教わってきた。
電流の流れを、図:2のような「ところてん方式」による説明が存在している。(米田聡氏DOSVmagazine2003.6.1)
               

(なにしろ、電気は光速で移動するが、電子は光速で移動することは不可能。なにしろ、光速で移動する物体の質量は、相対性理論上では無限大となってしまうため。)
 この説明からは、いわゆる交流の流れが分りません。
 交流も「電子の流れ」であったら、この電子は、その電子の量を常に変化させて流れなければならない。それもプラスになったり、マイナスになったりするには、どうしたらよいのか!?
 そこで、後藤尚久氏(拓殖大学工学部教授)は、図:3のような水の流れモデルを持ち出し、直流と交流の流れ方の相違を表現しようとしている。

図:3
    

 でも、おかしくないだろうか?

 一般的に、「太陽電池からは直流が発生する」と考えられている。
 しかし、屋根の上に載せられた太陽電池は昼間は盛大に発電するが、夜は沈黙。このような発電状態をマクロ的に(例えば1日を1秒と考えるとか)観察すれば、この太陽電池は交流を発生していると看做す事が可能ではないか?
 そこで、1本の回転軸に2枚の太陽電池を背中合わせにはり合わせて(暗箱の中に入れ)回転させながら、一方づつの太陽電池に懐中電灯の光を当てる(図:4)と、「測定結果:2」を得る
.

      

        

 即ち、直流発生電源である太陽電池から立派に交流が得られる。
 又、乾電池の出力電圧も、僅かであっても温度依存性があるだろう。
 だからこそ、乾電池の周辺温度を周期的に変化させれば、(ミクロ的に観測すれば)、又、可変抵抗器に接続してその抵抗値を周期的に変化させた場合も、乾電池から交流が発生していると看做すことが可能なわけである。
 従って、直流も交流も電気的の本質は全く同一であることが分かる。そして、又、重要な事は(特に乾電池の場合が分りやすいが)電気は瞬間瞬間(乾電池の電極と原子間で電子をやり取りするごと)に発生していることである。
 交流を例に取れば、波状の電気が発生しているのではなくて、その波を構成する電気が瞬間瞬間(パルス的に、或いは量子的に)に発生していて、それらを集約すると波的な変化をしていると言うことなのである。このことは、LPレコードに刻まれた波と、CDに記録されるパルス波の相違に似ている。(44.1KHzのパルスの集合体がLPレコードに刻まれた波であり、又、私達に聞こえてくる音波の形状でもあるわけである。)
 さらには、重要な事は、デジタル信号などで一般的に使用されているクロック信号も、従来は、フーリエ分解されて種々周波数のサイン波の集合体として解釈されていますが、この件も誤解なのである。なにしろそのフーリエ分解されたサイン波自体が量子的な電気なのである。
 これらの認識の重要な背景は、ファラデーが唱えた「電気は近接作用である」である。ある地点で電気の流れを観測している場合、直流か交流か、ひいてはパルス波かが判明するのは、それらの電気が流れた(少なくもその一部が流れた)後である。電気がその観測点に来た瞬間には、直流か交流化の区別はなくただ電気が来た!だけが分かるのである。

こんな具合に、固定観念を捨て、常識の罠にはまらず、全編を通じて、理路整然と新しい理論を構築している興味深い本です。    

 目次

第1章 コロンブスの電磁気学の序文
第2章 電気への疑問
 第2章 第1項 電気とは
 第2章 第2項 電気の流れ
第3章 伝送路
 第3章 第1項 伝送路について
 第3章 第2項 伝送路の反射係数
 第3章 第3項 伝送路中の抵抗と反射係数の関係
 第3章 第4項 伝送路のインピーダンスによる多重反射
 第3章 第5項 特性インピーダンスの測定
 第3章 第6項 特性インピーダンスの異なる伝送路の測定
第4章 アースに対しての誤解
 第4章 第1項 アース地点はゼロボルトの嘘
 第4章 第2項 アース処理してゼロボルトと過程
第5章 縦列接合の登場
 第5章 第1項 縦列接合とは
 第5章 第2項 縦列接合伝送路を終端処理した場合
 第5章 第3項 縦列接合点に於ける反射係数
第6章 マクスウェル方程式の解釈の変更(電流は存在しない)
第7章 コンデンサに対する新しい認識
 第7章 第1項 コンデンサも伝送路です
  (補足)市販コンデンサの内部電圧変化に於ける異常な突起についての考察
  (補足)「コンデンサない電圧変化のイメージ」
第7章 第2項 スタックト・ペア型とマイクロ・ストリップ型伝送路のコンデンサ
 第7章 第3項 コンデンサの動作原理(フィルタ型)
  (補足)フィルターコンデンサに到るまでのバイパス長
 第7章 第4項 バイパス型コンデンサの動作原理
  (補足)バイパスコンデンサまでの距離
 第7章 第5項 低インピーダンス電源ラインはバイパスコンデンサ
 第7章 第6項 異型伝送路コンデンサ
 第7章 第7項 従来説によるコンデンサ内の電圧変化式
 第7章 第8項 新しいコンデンサ論によるコンデンサ内の電圧変化式の導入
 第7章 第9項 誘電率への私見
第8章 コイルに対する新しい認識
 第8章 第1項 コイルも伝送路です
 第8章 第2項 コイルの式的考察
第9章 新しいクロストーク論の確立
 第9章 第1項 新たなクロストーク論
 第9章 第2項 新しいクロストーク論の実証実験(1)
 第9章 第3項 新しいクロストーク論の実証実験(2)
第10章 非TEM波でのクロストークに対する新たな理論
 第10章 第1章 スタックド・ペア伝送路1組で非TEM波環境での伝送
 第10章 第2章 コ・プレーナ伝送路の非TEM波環境での伝送
第11章 ネットワーク・アナライザー結果への誤解
(補足:1)入力クロック信号の波長と、先行波、後進波の時間的ズレと、S2.1の関係
(補足:2)TEM波伝送の場合
第12章 ファラデーの誤解
第13章 新たなトランス理論の確立
 第13章 第1項 新しいトランスの理論の序
 第13章 第2項 直流でそして交流でトランスが動作する原理
 第13章 第3項 トランスの低周域特性
 第13章 第4項 新しいトランスの理論の確立
第14章 新しい発電原理
第15章 新しいアンテナ理論の確立
 第15章 第1項 新しいアンテナ理論の確立の序
 第15章 第2項 新しい送信アンテナ理論の確立
 第15章 第3項 新しい受信アンテナの理論の確立
 第15章 第4項 インピーダンス・マッチングしたアンテナ
第16章 表皮効果は誤解です
 第16章 第1項 表皮効果の序
 第16章 第2項 表皮効果の嘘を暴く
 第16章 第3項 伝送信号の立上り立下り特性劣化の原因究明
 第16章 第4項 送電ロスの低減
  (補足)光に対する私見