あるところに太郎というごくごく平凡な少年がいました。
彼は実に平凡でした。テストの点は平均点を前後し、1ヶ月に一度休み、宿題を忘れ、給食を三回お代わりする本当に平凡な小学生でした。
しかしあだ名だけはなぜか「エキセントリック太郎」でした。
ある日、彼は近所の本屋に行きました。そこで「王国の危機」というあからさまに怪しい本が気になり、手にとって見ました。それはこんなお話でした。
むかしむかし、ある王国の美しいお姫様がとっても悪い魔王にさらわれ、王様はとっても困っていました。
しかしある日、王様は夢を見ます。そこには神様が出てきました。
王様は言いました。
「誰だてめぇ。俺の夢の中で何してやがる。」
「わしは神様じゃ。姫を助け出したければ国の中から有志を募集するのじゃ。」
「んだと?適当なこと言ってんじゃねえ。」
王様は神様にコークスクリューパンチをかましました。
しかしあっけなくぶっ飛ばされ、そこで目がさめました。
そして言います。
「これは神のお告げだ!大臣、各地に立て札を立てよ!」
待ってましたとばかりに、ある羊飼いが申し出ました。王様はなんとなくオーケーし、なんとなく送り出しました。
そしてその羊飼いによって魔王は倒され、美しいお姫様は助け出され、王国は平和になりましたとさ。
太郎は途中から、「そんなうまくいきゃあ苦労しねえよ」と思ってバカらしくなりましたが、なんとなくここが山場の始まりだな、などと構造読みをしながら3時間かけてその本を読み終わりました。
そして本屋のオヤジの恨みに燃える視線を浴びながら店を出、思いました。
「・・・かっちょいい・・・」
―そうだ、俺も冒険に出よう―
そう、それが全ての発端だったのです。