DIARY 12
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♪2002年6月7日(金)晴れ

愛知県西尾市に有る、「唯法寺(ゆうほうじ)」。
ここでのライヴのお話しが有った時、「お寺でジャズ?」、と不思議な気持ちだった。
どんな所でやるんだろう?何をやればいいのかな〜。まるでイメージが湧かなかった。
野外って聞いたので、お天気の事ばかりが気になっていた。
午後4時。唯法寺の住職である占部(うらべ)さんが、ホテルまで車で向かえに来てくれた。
お天気は、快晴!風が強かったけど、最高のお天気だった。
私たちが唯法寺に到着すると、会場にはパイプ椅子が並べられ、ピアノ、ベース、ドラムは、なんとお釈迦様の前に!
今回のイベントは、お釈迦様のお誕生日をお祝いする為の物だそうだ。
でも私は今日まで、お釈迦様のお誕生日は4月だと思っていたので、住職に尋ねてみると、
 「はっきりした日にちは判っていないけど、5月の1番最後の満月の日とされています。」
と教えて下さった。そういえば、5月24日か25日が満月だった事を思い出して、私の誕生日の23日と近くて、なぜか嬉しくなった。
福祉の方々の暖かいお手伝いに支えられながら、200人ものお客様の前で、私達のライヴは夕暮れとともに始まった。
実際のライヴはどうだったかというと、曲目については私達の好きな曲、つまり、お釈迦様を意識した曲目は1曲も無く、、、と云っても、もしも「お釈迦様に関する曲をやって下さい」って云われたとしても、何も思いつかなかったかもしれないけど。
だけど、演奏している時の気持ち。これは、今まで感じた事の無い気持ちだった。
私の記憶の中では、というより、ほとんどの人がそうかもしれないけど、お寺に行く時って、悲しい事が多い。
今まで、ライヴハウスで演奏する時に、亡くなった父の事や、瓜坂さんの事を想いながら演奏する事は有ったけど、今日の感じとはぜんぜん違う。
なんていったらいいのか良く分らないけど、「そこに居る」っていう感じがした。そして、その事が、とってもとっても嬉しかった。
私のライヴにも来た事が無いし、CD発売も知らない父。
私にライヴハウスで演奏できるチャンスを与えてくれて、「Blue Prelude」が大好きだった瓜坂さん。
私は、初めて、父と瓜坂さんの前で演奏した気がした。
ライヴが終わり、お釈迦様の前で、すべて手作りのお料理の打ち上げ会。なんだか、とっても暖かい気持ちになった。
ホテルに帰る前に、お祈りをして帰ろうと思い、どうしたらいいのか住職に尋ねた。
 「前に座って、手を合わせて、南無阿弥陀仏、と言って下さい。」、という住職の答えに、私は、
 「何か、お願いをしても良いのですか?」、と聞くと、住職は、
 「お願いはしないのです。お釈迦様は、大切に生きなさい、とおっしゃっているので、南無阿弥陀仏と言いながら、大切に生きます、と思うのです。」
住職のこの言葉に、なぜか、はっとした。
私は、フルピーとヒデピーを呼んで、三人並んでお釈迦様の前に正座して、手を合わせた。
 「大切に生きます。」