♪2002年3月22日(金)晴れのち雨

今日、都立広尾病院の歯科に行ったら、桜が満開!めちゃめちゃ綺麗だった。
2年前のちょうど今頃、っていうか、その年は、4月になってから桜が咲いたから、もうちょっとあとの出来事を思い出した。
ある日、治療が終わって、コーヒーを飲みながら喫煙所で会計と薬を待っていると、1人の女性が車椅子で入って来ようとしていた。
ドアを開けるのを手伝うと、「ありがと」、と無愛想に云った。
多分、50代後半、ちょっと気の強い感じの人で、足をケガしていた。
それから約1週間後、私はまた広尾病院に行った。
その日、病院の敷地内にある桜が、ほんの少しだけ咲いている事に気が付いた。
治療が終わってからいつものように喫煙所に行った。私1人しか居なかった。
そこに、あの女性が入って来た。しかも、歩いている!ちょっと歩きにくそうだったけど、歩いていた!
その女性は、私が座っていた場所から、1番遠い椅子に座って、おいしそうにタバコを吸い始めた。
なぜか私はとっても嬉しくなった。桜が咲いていたのを見たせいも有ったのかもしれない。
思い切って、その女性に話しかけてみた。
  「歩けるようになったんですね」
  「あー、もう今週、退院なんだよ」
またしても、無愛想に云う。
でも、今週退院と聞いて、私は更に嬉しくなって、
  「桜が咲き始めたんですよ」
と云うと、無愛想なその女性の顔が、一瞬、とっても嬉しそうな表情になった。
でも、言葉は相変わらず、
  「あ、そう」
と無愛想なままだった。
それから間もなく、私は会計から名前を呼ばれたので、喫煙所を出る事になった。
帰り際に、ドアの所で、
  「私の次の予約は来週だから、もう逢えないかもしれないけど、退院おめでとうございます」
というと、遠くの椅子から腕を高く上げて、大きく手を振っていた。
帰り道、「あの女性は、桜が満開になる頃、歩いて桜を見る事が出来るんだな〜」って思ったら、心の中がなんだか暖かくなった。
あの女性は今頃、満開の桜の下を、お散歩しているのかなー。
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DIARY 5